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168 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/11/02(木) 20:06:24
桐野夏生の短編集「錆びる心」より

ある日、いきなり妻が実家に帰ってしまった。
主人公はごく平凡な夫で、会社でも家庭でもなにもおかしな事はしていない。
そんなありきたりすぎるところに嫌気がさしてしまったのだろうかと考える。
だからといって、理由も言わずにそっけない置手紙だけ残して消えなくてもいいのに。
妻の実家に電話をしても、妻の親族が出て、無言で電話を切ってしまう。
そういえば、妻の消えた前日の夜の記憶がなかった。
その日は酒を飲んでいて、記憶が飛んでしまったようだ。
妻の前であそこまで泥酔したのははじめただろうから、
酒で酔っている姿に嫌悪感を抱かれたのかもれないと思う。
知人たちにその事を話すと、皆一様に気まずそうな表情をする。
彼らの前では泥酔した事も何度かあったので、どんな風だったか訊ねてみる。
だが恐れるように彼らは口をつぐむだけだった。

意を決し、妻を実家まで迎えに行く主人公。
主人公は目の前に現れた妻の姿に驚愕する。
顔はまるでリンチされたかのように赤黒く腫れており、
腕にもギブスをつけており、足にも包帯が巻かれていた。
一体どうしたんだと心配する主人公に、
「なにも覚えていないのね」と妻は言った。

 

錆びる心 (文春文庫)
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