ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その61 » 夢の木の下で(諸星大二郎)

39 名前:夢の木の下で1 投稿日:2006/12/16(土) 10:16:11
諸星大二郎『夢の木の下で』。

ツーライは東西を高い『壁』で閉ざされた長細い谷にような形をした土地だった。
今まで「壁」を越えた者はなく、人々は「壁」を越えるという考えさえ持つことはない、
ツーライの人々にとって「壁」は「世界の果て」と同義であった。

それだけでなく、ツーライの人々はモボクという樹木と共生関係にあった。
人々は一人一人自分のモボクを持ち、小動物などの餌を与えるかわりに樹液を得て食料とする。
それだけでなく、人々はモボクと夢を交換する。毎晩寝る前に樹液の原液を飲むことで
モボクに自分の夢を与え、変わりに人々はモボクの夢を見る。
人々とモボクとは精神的にも深く結びついていた。

ある日、主人公の女はモボクの餌を集める途中、「壁」を越えて現われた男を見かける。
あり得ないと思いつつ、「壁」の向うの世界が気になり、女は男と話すようになる。

男はいくつもの「壁」を越えてやってきた流れ者だった。
男によると、世界にはツーライと同じように「壁」で仕切られた世界がいくつもあり、
どこも似たような生活をしていると言う。
男と会って以来夢の内容が少し変わったようだと言う女。
しかし、余計なことは考えるなと男は言う。
男もかつてはモボクと共生していたが、自分の夢に興味を持って夢の交換をやめたために、
モボクが枯れ、それ以来流れ者になったのだと言う。


40 名前:夢の木の下で2 投稿日:2006/12/16(土) 10:17:51
女が自分に興味を持ち過ぎることを心配し、出て行こうとする男。
しかし女は必死で引き留め、二人は深い関係になってしまう。
しばらくは女は男にモボクの餌を見つけるのを手伝ってもらったり、
おかえしに男に樹液を分け与えたりしながら生活を続けるが、女のモボクは日に日に衰えて行く。
女とモボクの精神的なつながりが薄れたためだった。

ある日、女は自分が空を飛んで「壁」を越える夢を見る。目覚めると女のモボクは枯れていた。
女は男と「壁」を越えて旅立つことを決意する。
しかし、村人はそれに気付き、何とか行かせまいと二人を攻撃する。
村人達にとって、「壁を越える」ことはあってはならないことだった。
必死に「壁」をよじのぼる二人。しかし、男は村人が投げた石にあたり、
女に「一人で逃げろ」と言い残して落ちて死んでしまう。
女は泣きながら「壁」を登り続け、ついに頂上にたどりつく。
そこで女が見たものは、果てしなくどこまでも「壁」が続く世界だった。
女はきっと本当の「世界の果て」を見つけてみせると誓い、「壁」の向うを下りてゆく。

 

夢の木の下で (Mag comics)
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