ホーム » 小説 » 小説/や行 » 山のあなたに(レイ・ブラッドベリ)

508 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 15:44:01
ブラッドベリ「山のあなたに」

山奥の谷間にある寒村に夫と2人きりで暮しているコーラおばさん。
テレビとかがまだない時代で、コーラは「文通」に憧れているが、彼女も夫も文盲。
そこへ、コーラの甥のベンジーが一夏だけ遊びに来てくれる。

大喜びのコーラ。その上、ベンジーは学校で「字を習った」のだという。
コーラはベンジーに手紙を代筆してもらいたがるが、出す相手がおらず、
ベンジーの持っていた少年雑誌の広告へ片端から手紙を出してもらうことにする。
切手のカタログ、探偵入門術の案内、無料の花の種プレゼント、各種サンプル…。
くだらないものばかりだったが、「誰かから手紙を貰う」ことに憧れていたコーラは嬉しくて、
夫に大きな郵便箱を作ってもらい、何度も空の郵便箱を覗き込む程だった。

やがて初めて郵便局員が村を訪れ、郵便箱に手紙が配達される。
コーラは早速ベンジーに手紙を読んでもらう。
「拝啓 コーラ様、当社のカタログのご請求ありがとうございます…」
それからも手紙は続々と届き、コーラはベンジーに頼んで返信をしてもらい、
新たに別の色々な会社にどんどんと手紙を出してもらった。
毎日のようにたくさんの郵便が郵便箱へ届くようになった。
コーラは嬉しくてたまらなかった。憧れていた「山のあなた」の誰かがコーラに関心を
持ってくれている。世界中がコーラに語りかけて来る!


509 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 15:45:08

しかし、手紙を書いてもらったり読んでもらったり夢中になっているうちに、夏は終わった。
コーラはベンジーに字を教わるつもりだったのに、手紙を誰かとやりとりする嬉しさに
舞いあがるうちに、とうとう1字も習わずに、ベンジーの帰る時が来てしまったのだ。

ベンジーが居なくなっても、しばらくは郵便箱に沢山の手紙が届き続けた。
しかし手紙を手にとっては撒き散らしてコーラは嘆く。
「わからない!わからない!
 なんて書いてあるの?私あての手紙なのに、せっかく皆が、誰かが私に手紙をくれたのに、
 私はわからないから返事がかけなくて、だから向こうだってもう返事が書けないんだわ!」
読めない手紙は半年ほどの間、それでもぽつぽつと届き続けた。
やがて手紙は絶え、何年かが経ち、郵便箱は朽ち果てて倒れた。
コーラは外へ出るたびにその空の郵便箱を覗いたが、
山のあなたの世界がコーラに何かを語りかけてくれることは、もうなかった。


511 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 16:06:40
何が後味悪いかって、その夏を最後に二度とベンジーが遊びに来てないってとこだね。

512 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/23(土) 16:20:23
>>508-509
後味悪いというか、ちょっと悲しい話だな…
待ち望んでいた手紙が届いても読めない絶望感がorz

その後の展開を想像すると ・゚・(つД`)・゚・

 

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