選択間違い
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809 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/31(日) 01:27:27
- 諸星大二郎の漫画。タイトル失念。
昔の中国。
不老不死を得る為に仙人になりたいと願う青年が、霊峰に登り神仙に弟子入りを願う。
が、「不老不死など、才覚の有る者が100年修行した所でそうそう成れるものではない。諦めろ」
と言われてしまう。
どうしてもと食い下がる青年に神仙も心を動かし、自分の杖を与えて言う。
「この近くの庵に二柱の神が現れ、争い事を始めるだろう。お前は双方の言い分をよく聞いて
正しいと思う方に荷担し、他方をその杖で倒せ。成し遂げられればお前は不老不死を得るであろう」青年が庵の物陰に隠れて待っていると、神仙の言った通り、白い服の神と黒い服の神が現れた。
彼らは互いに世の中で起こった事について言い争い始めた。
Aという事象が起きたのはお主がああしたからだ、いやそれはそもそも天帝のお考えを遂行した
ものであり、途中でお主がこうしたのが宜しくない、いやそれは・・・という具合に
互いに己の正当制を主張する。
物陰で耳をそばだてている青年も、夫々の神が持論を展開する度に
「こっちが正しい」「いやいや、やはり正しいのはこっちだ」と、どちらに付いたものか右往左往する。
いい加減議論も煮詰まって来たあたりで、片方の神が青年の存在に気付く。「何故人間がここに居る?」
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810 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/31(日) 01:33:47
- ろたえる青年。が、彼が持つ杖を見て黒服の神が言う。
「それは神仙の剣!人間よ。それを我に貸せ。我に味方すれば一国の王にしてやろう」
それを受けて白服の神。
「わしに味方すればお前を仙人にしてやろう。不老不死を授けてやるぞ」
心を動かされる青年。
「人間よ、不老不死などつまらぬぞ。男たるもの国を動かす主となりたいと思わぬか。
わしはお主を皇帝にしてやろう。栄耀栄華思いのままじゃ。絶世の美女もな」
と、美女の彫刻を指して黒服の神が言った。この言葉が決め手となり、青年は白い服の神を斬る。
煙のように消え去る白い神。
残ったのはうっとりと彫刻に見入る青年と、黒服の神。
「その女が気に入ったと見えるな。よかろう。お前は来世に皇帝となり、その女を妻に迎えるであろう」
黒服の神がそう言った途端、青年の体は消滅した。
そこへやって来る神仙。
黒服の神が問いかける。
「これでよろしかったのでしょうか?」
神仙が答える。
「うむ・・・。久し振りに気骨のある者が来たかと思うたが・・・人間の心とは弱いものだのう」
そして青年の魂を捕らえて男の姿をした彫刻に押し込み、美女の彫刻の横に並べる。
「せめてもの手向けじゃ。望み通りその女はそなたの妻となるであろう」
去ってゆく神仙達。
そしてモノローグが入る『後にこの女は、西太后と呼ばれた』
一人の若輩の選択違いで、後の数万単位の人間と国の歴史が暗黒に落ちる。
知らぬ間に歴史を背負わされた青年も気の毒だし、
彼の選択の結果エライ目に遭う後世の人々が更に気の毒。
分不相応な高望みをするな、て事だとしても代償がデカ過ぎる・・・と思た。
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815 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/31(日) 15:00:18
- >>810
ただの愚かな青年の話を寓話風に描いたのだと思えばイイ出来なのに、
(芥川の「杜子春」のバッドエンド版みたいで)
無理やり西太后をオチにつけたのがとってつけた感じで残念だ。
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817 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/12/31(日) 16:07:02
- >>810
西太后は新しすぎ。w
「この女は楊玉環……貴妃となってこの国に災いをもたらすだろう」みたいなことを
仙人が言って言ってエンド。
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823 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/01/01(月) 02:16:36
- >>809
西太后じゃなくて楊貴妃じゃねーか?