コスモス(山岸凉子)

141 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 02:54:19
いつ読んだかわからんけど漫画だった

少年には料理上手で優しい母親がいた。
いつもお弁当の袋を振り回す少年のために、卵焼きのケチャップは上にかけずに
中にくるんでくれたりして、味も見栄えもかなりよく周りからうらやましがられるというエピソードがあった。
少年は喘息持ちで特に風の強い日は同調するように自分の呼吸もどんどん荒くなって行く。
母は車の免許を持ってないので、そんな時は会社にいる父を呼び出し病院に連れていってもらう。

少年が喘息の話を友達たちに話していると、そのうちの一人が言った。
「喘息って気のせいだってお母さんが言ってた 気の持ちようでなるものだって」
なった事がないからわからないんだ、気のせいでなるわけないと少年は思う。

クリスマスになり、母は七面鳥を焼いてくれた。一口食べて少年は苦い顔をした。
少し大人の味付けにしてしまった、まだ少年には食べられなかったと母は困り顔。
とりあえず父の帰りが遅いので七面鳥以外の料理を二人で食べた。
やがて父から帰れないと連絡が入り、母は泣きながら残った料理をすべて捨てた。
「お父さんが七面鳥食べてくれると思ったの ごめんね」
泣き続ける母親。少年も一緒になって泣いてしまった。

正月は例年の通り母の実家に行った。父は同行しなかった。
少年が親戚の子たちと楽しく遊び回る中、集まった大人たちは深刻な顔だった。
離婚するよう母に促す親戚たち。しかし母は頑ななに拒み続ける。
「あの子には父親が必要なんです 絶対に別れるわけにはいきません」

春風の強くなる頃、ふと母が言った。
「大丈夫?今日みたいに風が強い日はまた喘息が…」
心配そうに少年の顔を見つめ続ける母。少年も不安になって行く。
やがてその不安は荒い息に変わり、喘息を起こす少年。
少年の視界の端ですぐさま電話に飛びつく母の姿が見えた。
「貴方早くきてください あの子がまた…」必死で父を呼ぶ母。
少年はぼんやりとした意識の中で、父は自分が喘息になった時しか現れないと思った。


145 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 03:26:45
よくある展開の悲しい話だけど、後味が悪いのとは違うような

147 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 03:44:14
>>141
山岸涼子の短編集の一話かな たぶん

149 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 03:47:55
>>141
私も読んだことあるかも!確かに母としてどうかなぁと後味わるかった

150 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 03:58:37
変な味なのは七面鳥になんか仕込んでたってことなの

152 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 04:21:26
少年の喘息の原因のアレルゲンになるものを、食べ物に仕込んでたのかも。
あと、発作を起こしやすいように、しょっちゅう少年の不安を煽っていた。
夫に会いたいがために。

156 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 04:26:45
会社で必死こいて家族のために働いてる父と
夫を信頼しながらも逢いたくて寂しがってる母。
両親を鋭い感性で見つめる子供。
ただの美しい話ではないか。
なんでみんなそんなサイコホラーみたいな見方をするんだw

160 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 04:35:46
>>141だけだと、どこが後味悪い???だったけど、
後のレスで、うわあああって思った。
自分は代理ミュンヒハウゼン?って捉えたよ。

161 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/05(木) 04:38:27
>150
七面鳥の味が子供にとっては「変な味」だったのは、
不倫してて家に滅多に帰ってこない旦那の味覚に無意識のうちに合わせて作ったから。
「このスパイスは●●ちゃん(子供)にはまだ早かったわよね、ごめんなさい」みたいな
感じで母親が子供に謝ってた。
そんで子供が「ママごめん。僕食べるよ」と言ったけど「これがまずいものだったのよ」と
母親が泣いて子供も泣いてクリスマス台無し、だった気がする。

 

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