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275 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/11(水) 04:15:47
菅浩江「雨の檻」

宇宙船の中で生まれ 無菌室に隔離されて暮らしている少女シノ
ゴムの肌を持つロボット フィーが彼女の身の回りの世話をしてる
両親とはモニタで話をするだけ

宇宙船は他所の星への移住の途中で 長旅でだいぶガタが来てる
ときどき部屋全体が振動したりする
彼女の部屋の「窓」はもともといろんな景色を映し出すマルチスクリーンなのだが
壊れてしまい 今ではずっと雨の丘が映ってるだけ
フィーは宇宙船のメインコンピューターの端末でもあり
極めて人間っぽい情緒と感情を有するのだけれどやはり最近調子が悪く
自覚なく毎日毎日同じ食事を作り続ける
シノは閉鎖された同じ毎日に少しいらだちながらも
フィーを傷つけないように 「少女の狡猾さ」で子供らしく振舞ってる

フィーの様子はますますおかしくなり
ある晩 両腕がドラムのようにテーブルを叩き続けて止まらなくなる
シノは彼女の要請で 彼女の両腕を切り離す
片腕がはずれたとき フィーは(調子の悪い彼女なりにシノに気を使って)
「あといっぽーん!」とおどけるように宣言したあと
「もう 抱きしめてあげられないね」と呟く


276 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/11(水) 04:17:25
ある日 部屋全体が凄まじい振動に襲われてひっくり返り 破壊される
フィーはシノを瓦礫から守り そして完全に「壊れる」

メインコンピューターがシノに真実を告げる
目的の星にはとっくに着いていた
しかしそこは間断なく地震が起こり とても人間が暮らせる世界ではなかった
特に ただひとりの生き残りであるシノが生きていける可能性はなかった
だから コンピューターはフィーのほかに モニタ越しの「両親」を演じ
旅行が継続中と言うことにして 宇宙船内でシノを生かし続ける道を選んだ

壊れてブラックアウトした窓に シノの顔が映る
つやのない白髪に囲まれた しわだらけの顔

シノは 宇宙船の外に出る
「雨 好きです 私の身体をノックしてください」みたいなことを呟きながら
延々と続く乾ききった荒野を歩いてゆく

コンピューターの中に形成されたフィーと両親の人格は
「とても見ていられない」と音声と映像のモニターをつぶし
冷却装置が停止して壊れてゆくコンピューターの中でぶつぶつと狂ってゆく

・・・・・
「もう 抱きしめてあげられないね」で泣いたよ


278 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/11(水) 09:38:03
>>275-276
切ねぇ・・・

 

雨の檻 (ハヤカワ文庫JA)
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