一九八四年(ジョージ・オーウェル)
-
245 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/24(火) 07:28:34
- ジョージ・オーウェル「1984年」
1940年代に書かれた小説でスターリン独裁と管理社会を批判する長編
主人公は社会主義体制下のイギリスで情報と世論操作に関わる部門に勤める公務員。
世界は3つの巨大な独裁国家に分割され、3国は同盟を組んだり裏切ったり常に戦争状態にある。
主人公の所属する国家では、国民全体を全て「党」が監視するシステムがしかれていて
独裁者「ビックブラザー」が長年にわたり支配している。
主人公は内心「党」の方針に疑問を抱いているが、隠し切って暮らしていた。
ところが、別の方法で党に反抗する同僚の女性と親しくなったことで、
次第に党への批判を口にするようになるが信頼していた人間に密告され、逮捕される。主人公は陰惨な拷問を受け、心から「党」を愛するよう完全に洗脳され、釈放される。
そして、本心から洗脳が完了したと確認されてから、本人が満足したまま処刑されて終了。この小説はストーリーより、構成している理論がすばらしくて
あ、こりゃ絶対この独裁体制破壊できないって納得させてくれる。情報も操作されていて、かつ他の地域と交流することもなくて、国民は階級ごとに分断されていて
本当に戦争があるのか、本当に敵国があるのか、本当に「ビッグブラザー」は実在するのかもわからない。
主人公が逮捕後元上司にそう問い詰めるんだが、「どちらでもいい」らしい。
大部分の無知な労働者層は無条件に「党」と「ビックブラザー」を支持
中間の下級公務員は主人公のように、疑問をもっても「党」に十分に監視されている
上級公務員は現状に満足していて「党」を崇拝している。
さらに常に戦争状態で愛国心鼓舞、政府の(嘘かもしれない)戦勝報告にみんなわくわく。
国民監視体制は完璧で、次第に歴史も操作される。洗脳もばっちり。
これが3大国とも同じと思われる。「永遠に続ける」(上司)だそうだ。翻訳だからか、作者が小説に向かないのか(もともとジャーナリスト)
すごく読みにくいけど、面白いし感心する。
後味悪すぎてすっきり。
-
246 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/07/24(火) 07:32:57
- 1984年、続き
内容も後味悪いけど、この小説は扱われ方後味わるくて
作者はもともと左よりの人で、共産主義を否定したかったんじゃなくて、
独裁者スターリンと独裁に向かったソヴィエトを批判しているのだが
冷戦中、反共小説の代表扱いされてしまう。(作者は冷戦初期に死去)
作者としては、あらゆる独裁を警告したかったのだし、
むしろ後の西側諸国の共産主義防ぐためなら何してもいいって体制も批判の対象になっているはずだが
アメリカで紹介されたときにはそこらへんは軽くスルー。