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312 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 05:15:54
小林泰三「人獣細工」1/3

主人公「私(女)」は幼少時から体が弱く、
臓器移植の専門家だった父の手で様々な臓器を移植されて成長した。
父の専門は「遺伝子操作による移植臓器」。実験対象はブタ。
私の体には、ヒトの臓器を持つように遺伝子操作されたブタから取り出された内臓が詰まっている。

その父の死後、私は父の残した研究資料の整頓を始める。
体の大半をブタと取り替えられたおかげで、私はしっかりしたアイデンディティを持てずにいる。
自分は、何者なのか?
その答えが、父の資料の中から見つかるのではないか?という淡い期待を込めて。

私の肩には魚の形のアザがある。
そのアザのおかげでお前を見分けることが出来たんだよ。父はそう言っていた。
アザがなければ、自分の娘を見分けることも出来なかった父。
私の体に残る無数の移植の傷跡。失敗のないようにしっかりと縫われているが、
娘の体に跡を少しでも残さないように、と言う配慮の感じられない傷跡。


313 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 05:17:10
2/3

私は、父の愛情を疑っている。必死で信じようとしながら、つい疑ってしまう。
父が残した言葉。
「ほっといてくれ!ブタの内臓など俺に入れるな!けがらわしい!」
その言葉さえ聞かずにいたなら、父の愛情を信じ続けることも出来たのに。

研究資料。ノートとビデオ。
私に対する移植手術の詳細が綴られている。
思った以上に多くの、殆どの臓器がブタと取り替えられていることに気づき、狼狽する私。
私はヒトなのか?ブタなのか?

呂后の、人豚のエピソードを、私は思い出す。
自分の政敵である戚夫人ののどをつぶし、鼻と耳をそぎ、手足を切り落とし、
眼をえぐって「人豚」と呼ばせた、と言うエピソード。
呂后は、何故そんなことをしたのか?
復讐なら、耳は残したはずだ。自分を人豚とさげすむ声を聞かせるために。

思うに、彼女は復讐したかったのではない。
ただ、人の命を弄ぶ残酷な全能感に酔いしれていただけなのだ。
父も、おそらくは。


314 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 05:18:21
3/3

それでも、私のベースは人間だ。
私の脳と、この肩のアザ。少なくともそれだけは人間だ。
それを支えにしながら、私は、私に対する記録ビデオの一番初めにたどり着く。

数日後、私を訪ねて来た友人が、私を助けてくれたらしい。
彼女の話では、私は裸で庭の泥の中をはいずっていたそうだ。

私は、病院のベッドで、あのビデオを見たことを後悔している。
何故、父の記録を検証しようなどと思ったのか。
もし、あの光景を忘れられるなら、あれを見る前の私に戻れるなら、何でもする。
もし立ち直れたら、私は、父の記録を全て処分し、二度と見ないことを誓う。
誰にも見て欲しくない。あれが他人の眼に触れたら・・・

私の網膜に焼きついたビデオの映像。
母ブタのおなかから次々と生まれる、遺伝子操作された異形の仔ブタたち。
そのうちの、ひときわ弱々しい一匹が声を上げる。
その肩には、魚の形のアザがあった。


330 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 12:43:43
>>312-314のオチがイマイチわからないのだが。
主人公は遺伝子操作の結果、ブタから産まれた人間の子供って事?
それとも、人間と思わせて実はブタでしたーっていう叙述?

331 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 12:52:53
>330
たしか、豚から作られた人間だったよ。
もともと豚のところを豚で作った臓器をどんどん移植してできた人間。

332 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 13:00:21
>>331
なるほど。外見を人間にして産むことは成功したが
中身が不完全だったので、移植を繰り返して完成させた訳か。
Thx

333 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 13:17:48
>332
なんどもすまん。
元はブタだ。
ブタに、各種器官の移植、外見の整形を行って人間にしてるんだ。
結局は自分は父の研究成果に過ぎないという話。

338 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 13:36:32
自分は人間の姿と自我を持った「豚」だったってこと
多分
人間の神経系を持った豚に
他の臓器を次々と移植してったんだろうな

339 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 13:38:20
脳はどこから持ってきたんだろうな。豚の脳だと人間のような理解は出来ないだろうしな。

 

人獣細工 (角川ホラー文庫)
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