ホーム » 小説 » 児童文学・絵本・昔話 » 大和怪異記

987 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/05(木) 01:22:47
その昔、下総国のある村でのこと。

村の鎮守の社殿の上には、大木が覆いかぶさるように繁って、樹上に幾年来、コウノトリが巣をかけていた。
その巣でコウノトリが、獲物の亀やら蛇やら貪り喰らって骨を吐き散らし、
大いに糞を垂れるので、社殿の汚れようは見るに堪えないものだった。
参拝に来た氏子たちは憤慨した。
「この社に神体はいらっしゃらないのか。これほどまでに穢されながら、罰をお与えにならないことの口惜しさよ!」
と罵って各々帰宅したが、その夜、巫女に氏神のお告げが下った。
「氏子どもの申すところはもっともである。よって、きたる某日、鳥を罰することとした。皆々来て見るべし」

お告げは、近郷は言うに及ばず、遠く離れた地まで知れ渡って、『これこそ末世の奇跡』と評判した。
当日、早くから神社に詰めかけた群衆が、今か今かと待っていると、
十時ごろになって、社殿の中から八尺ばかりの白蛇が現れた。
紅の舌をひらめかせつつ大木を登る神蛇の姿に、見物の人々は崇敬の思いで深く礼拝した。
白蛇が木のなかばまで登ったとき、これに気づいた雌雄のコウノトリが、喜び勇んで巣を飛び立った。
二羽はたちまち蛇に襲いかかり、頭をさんざん蹴り潰して殺害した。
そして、死骸を咥えて社殿の屋根に降りると、ことごとく食い尽くし、残ったのは骨ばかり。
見物衆は、意外な結果に呆れるばかりだった。

神体がこうなっては是非もない。今度はコウノトリを神と崇めて社を建て直し、土地の名も『鴻巣』と改めたという。


989 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/05(木) 01:38:36
>>987
後味悪いってよりも面白い話だな
徒然草とかに載ってそうな無情と皮肉を感じる

990 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/05(木) 02:23:40
>>987
うん、面白いな。
神の世界でも弱肉強食とか、仕方ないと神を替える民とか。
ていうかコウノトリ強すぎんぞw

991 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/05(木) 02:27:56
>>987
>氏子どもの申すところはもっともである。
いや、氏子に言われてから動くなよw

992 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/05(木) 06:38:12
鴻巣って埼玉県の鴻巣市?下総じゃないだろ?
千葉にもそういう地名があるの?

 

近世民間異聞怪談集成 (江戸怪異綺想文芸大系)
近世民間異聞怪談集成
(江戸怪異綺想文芸大系)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...