ホーム » 小説 » 小説/な行 » 熱風(黒崎緑)

700 名前:1/2 :2008/09/10(水) 12:25:05
「熱風」って短編小説。

東南アジアで5年単身赴任してる男が、
夏休暇に妻子を呼び寄せリゾートコテージで楽しもうと計画する。
しかし空港で出迎えてみれば妻は「暑いのね」と不愉快そうで
(実際、赴任当初は妻子も一緒に住み始めたが、暑いからと日本に帰った)
7歳の息子はろくに挨拶もせずにゲームボーイに熱中。
男がそれを叱っても何を言いたいのか暗い目で男を見るだけでごめんなさいも言わない。
それでいて妻が何か指示するとイソイソと応じるのであった。

それでも昔と変わらず美しい妻に男は欲望をかき立てられ、ディナーの席では酔ってダンスを始めたりする。
妻もまんざらでもなさそうで男は「今夜はムフフ」と思うがその様子をまた暗い目で見る息子。
更にいよいよベッドに入ったところで別室の息子が急にドアを開けてやってきて、妻はその面倒を見に行ってしまう。
「まあ息子も日本でずっと妻を独占してたんだ、おれは父親じゃなくただ息子には邪魔な男なんだろうな」
と自分を納得させる男。


701 名前:2/2 :2008/09/10(水) 12:26:44
翌日、朝からゲームコーナーにいた息子を再度男は叱り、
午後から家族でオプションツアーの吹き矢体験に参加することにする。
ツアーには息子くらいの男の子が数人いて、みな楽しそうにチャレンジしている。
スタッフが「君、まだやってないよね」とただ見ていた息子に気遣い吹き矢を渡してくれたので
息子はくわえて的に狙いをつけてみる、が、
そのまま数秒後、くるっと振り返り、妻と並んで見ていた男に向かう。
男は驚き動けずにいたが、息子はまたすぐ吹き矢を口から落とし森に逃げる。
男はハッとし「おい!」と後を追い、森の奥で息子を捕まえ、
「なんであんなことしたんだ!答えろよ!」とつかみかかる。
そして無意識に首を締めはじめ、後から追ってきた妻の声で我にかえって手を離すが、
息子はそのまま崩れ落ちていった。

しかしその様子を見て妻は微笑む。
「わかったでしょ、この子を育てるのがどれだけ大変か」。
「叱っても叱ってもゲームばかりして、そのくせ自分の都合でうるさく付きまとって、ゲームの話ばかり喋り続けて…」
「でもこいつ俺には一言も喋らなかった」
「当たり前よ、私が喋れなくしたのよ、最初はうめいてうるさかったけど折檻するうち大人しくなったわ、
 声帯をね潰したからもう喋らないのよこの子は」
と笑う妻。
そうか、狙ったのは妻だったのか、暗い目で見ていたのは妻を見ていたのか、俺に助けを求めていたのか。
足下に倒れた息子を見たが、既にもう動かなくなっていた。終


702 名前:本当にあった怖い名無し :2008/09/10(水) 12:58:26
筆談すればいいじゃねーかw
まあ、こんな親なら当然幼稚園に行かせたり、字を教えるということはしないだろうから
字が書けないという可能性も十分考えられるけどな。

 

誘惑―女流ミステリー傑作選 (徳間文庫)
誘惑―女流ミステリー傑作選
(徳間文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...