アスタロト(魔夜峰央)
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965 名前:「アスタロト」より 1/2 :2008/10/04(土) 01:52:26
- 主人公の悪魔、魔界公爵アスタロトは魔界の四大魔王のうちの1人で、
帝王サタンに次ぐ強大な魔力と妖しい美貌の持ち主である。
『アスタロト』よりその中の短編1話。ちょっと端折ってます。舞台は中世ヨーロッパ、片田舎のとある農村。
朽ちた廃屋の一室で、アスタロトは魔方陣により召還された。
召還者は意外にも、まだ幼さの残る純朴そうな少年で、
本当に悪魔が現れたことに驚き腰を抜かしている。こんな素人の少年などに召還されてしまったことに憤慨するアスタロト。
しかし召還されてしまった以上は、人間の望みをかなえてやらねば魔界に帰ることができない。富か名誉か?仕方なくアスタロトが聞くと少年の望みは、
病死した恋人の少女を生き返らせてほしいというものだった。
だが、生や死を司っているのは神や天使たちであり、
いかに強い魔力を持っていても悪魔には叶えられない望みだ。少年は引き下がらず、なんとしても再び少女に会いたいという。
魔術を使って少年に未来の世界を覗かせてやるアスタロト。
現世では若くして亡くなってしまった少女も、生まれ変わった世界では
豊かな国で平凡な女性として幸せに暮らしていた。
現世での死など一時的なことだとアスタロトは少年をさとす。しかしなおも少年は引き下がらない。未来や来世など関係ない、
今、少女に会いたいのだと食い下がる。
少年の強い執念に少し興味をひかれたアスタロトは少年の記憶を読んだ。
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966 名前:「アスタロト」より 2/2 :2008/10/04(土) 01:54:22
- ――共に両親を亡くしている少年と少女は助け合って生きていたが、
少女が病に倒れなすすべも無く死んでしまう。
嘆き悲しむ少年は、すがる思いで街の司教を訪ね死者を生き返らせる方法は無いかと問うた。
司教は悪魔ベヘモドから買った秘術書を貸す代わりに、少年の体を要求した。
キリスト教では禁忌のはずのソドミー(同性愛)にショックを受ける少年。
それでも少女に会いたい一心で手篭めにされる屈辱と苦痛に耐える。
幸い秘術書は本物で、魔術師でもない少年が大魔王を召還できたのだった―。だが本来なら秘術書は魔界の書庫に厳重に保管されているはずのものだ。
ベヘモドはそれを盗み出して人間界に持ち込み売り払ったということになる。
アスタロトは一瞬にして人間界に住むベヘモドの隠れ家へ飛び、
魔界の掟を破った罪人としてベヘモドを処刑した。さて少年の望みであるが、やはり本当に少女を生き返らせることはできない。
そこでアスタロトに呼ばれた魔界の賢者は進言した。
少年の思う通りに動く土人形(ゴーレム)を作り、少年の目に魔法をかけて
少年には土人形が少女に見えるようにしてはどうか、と。他に方法は無かった。アスタロトは少年のもとへ戻ると、少女を「生き返らせる」ための条件を述べた。
それは「生き返った」少女の姿を決して少年以外の者に見せてはならない、
もし見せてしまうと魔法が解けて少女は灰になってしまうから、というものだった。
少年は快諾する。村を出て、誰もいない山奥で少女と2人ひっそりと暮らすのだという。かくして山のふもとで待つ少年のもとに、生前の姿そのままの少女がやってきた。
以前と変わらぬ微笑を向ける少女を見て少年は泣いて喜ぶ。
アスタロトに何度も礼を言いながら、少年は少女の肩を抱いて山奥へ消えていった。少年を見送りながらアスタロトは思う。
――おぞましいことだが少年がそれで幸せならかまわんだろう、と。
アスタロトの目に映っているのは、土人形よりももっと上等な…
アスタロトが司教を切り刻んで作った肉人形を抱きしめて
満面の笑みを浮かべてる少年の姿だった。 (終)
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967 名前:「アスタロト」より :2008/10/04(土) 01:55:48
- 主人公アスタロトはお茶目だったり人情深いようなところもあり、
この場合も少年に少し同情しているのですが、やはり悪魔なので
人間らしい倫理観みたいなのは一切持ち合わせていません。少年が肉人形と2人(?)だけ山奥で自活していけるのか疑問だし
肉人形もやっぱりだんだん腐って崩れてきそうな気がするし、
その後のことを色々考えると後味悪かったです。
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968 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/04(土) 02:13:45
- >>965-967
アスタロトってパタリロにも出てくるやつだっけ?
読んだのが相当昔なんであまり覚えてないけど、そっちのもやはりちょっと茶目っ気があったり
でもやっぱり冷酷なところもあったりしたなこの場合司教に助けを求めても悪魔に助けを求めても
本当の意味で少年が救われた訳じゃないってのが後味悪いね
肉人形の材料がよりにもよって少年を犯した司教って辺りも後味の悪さに拍車をかけてるな
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969 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/04(土) 02:29:51
- しかしあれだな。魔族なのに見返りも求めずに願いを叶えてくれるんだな。
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970 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/04(土) 02:48:35
- あ、肝心なことを書いてませんでした。
>>968
そうですそのアスタロトです。よって魔夜峰央の漫画です。
(少年愛者が絡んでくるのもそのせい)
この話の後味悪ポイントを完璧に指摘してもらった感じでスッキリです。>>969
この漫画に限らず、上級の悪魔ほど「契約」とかを遵守するイメージがありますね。
しかし描かれてなかっただけでやはり、悪魔と契約した以上は
少年は死後の魂をアスタロトに差し出さなければならないのかも。
そうすると順当に生まれ変わった少女とは永遠に再会できないという・・・
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983 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/04(土) 12:46:46
- アスタロトについて、考え込むと尾を引くものがあるので紹介。
アスタロトとよく似た名前のアスタルテという神がいる。
こっちは女神。パレスチナの戦女神。
バビロニアのイシュタルという戦女神が転じたもの。
パレスチナには男神のアシュタルという神がおり、名前の近似から2つは融合し、
アスタロトとなった。
あれ、2神が融合して魔王になった?
というのも、一神教にして他の宗教を認めないキリスト教が異端審問やらなにやらして、
「神」であった各地の神々を「天使」とした上、堕天使扱いして悪魔の烙印を押したから。
ちなみにキリスト教ではイシュタルもアスタルテも全部「悪魔・堕天使」にカテゴライズされている。