人を殺す、という仕事(大石圭)

583 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/16(木) 22:49:33
娘がレイプされるという展開で「人を殺す、という仕事」って小説を思い出した。
俺的にはアリな話だが、古参のファンからも「ねーよw」と言われるほどトンデモ話なので注意。

留学を目前としていた主人公のもとに「貴方が乗る予定の飛行機が落ちる」と謎の手紙が届いた。
手紙を怪しみながらも搭乗をやめたところ、手紙の通りに飛行機は墜落してしまった。
それからも手紙は繰り返し届いた。そこに書かれている命令に従えばたいていのことは上手くいった。

だが手紙は、ある時に、年端もいかぬ少女を定められた期限以内に殺すよう命じてきた。
なにかの間違いだとスルーしたところ、主人公の母が目の前で車に轢かれて亡くなった。
轢き逃げだとされたが、それは事故ではなく、母の殺害を目的とした意図的なものに主人公には見えた。
しばらくしてまた手紙が届いた。命令に従わなかったペナルティとして母を殺害したと書かれていた。
再度の命令に主人公は従った。書かれた手順の通りに行ったところ、
明らかに隙だらけにも関わらず、なんの苦もなくスムーズに少女の殺害を終えることができた。
それから同じような手紙は何度も届き、主人公は大量殺人犯となった。

いずれの殺人も不思議なほど簡単に行え、誰にもばれることなく主人公は日常を送っていた。
だが、ごく真っ当な人間である主人公の精神は疲弊し、見ただけでその様子がわかるほどであった。
心配する妻にとうとうすべてを打ち明ける主人公。妻は半信半疑ながらも、
それが事実であれば、もう手紙には従ってはいけないと強く主張した。
逆らえば身内がまた殺されるかもしれないと主人公は訴えるのだが、妻は毅然と
「貴方に手を汚されるぐらいなら殺された方がいい 娘は大事だが、罪を重ね続ける父を持つよりはいいだろう」と言う。

が、妻はふらっとベランダに出たかと思うと、転落して死んでしまった。
そして手紙が届く。手紙のことを誰にも告げてはいけないし、手紙に逆らうことは許されないと書かれていた。
転落した妻は事故か自殺ということで処理されたが、手紙の主の与えたペナルティであることに間違いなかった。
妻の言葉に一時は同意したものの、その死を前にしてやはり身内の死に耐えることはできないと
主人公は嘆き、また命じられるままに人を殺す日々を送るのだった。


584 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/16(木) 22:52:17
幼稚園児の娘は母の死を理解できない様子だったが、小学生の長女の方は、
母の死を理解し、憔悴する主人公を気遣うほどであった。

主人公の暮らすマンションの隣の部屋にはニートが住んでいた。
彼は、成長して美しくなっていく長女に目をつけ、長女を部屋に引きずり込んだ。
学校から帰らない長女を心配して探し回っていた主人公は、
ニートの部屋で長女が全裸で股から血を流してぐったりしているところを見つける。
衝動的にニートを殺して長女を回収し、ニートの部屋の自分の痕跡を必死で消す主人公。
今までの殺人は手紙の主がなにかをしていたのか犯人だとばれることはなかったが、
今回はだめかもしれないと、主人公はそう覚悟するが、なんとか疑われることはなかった。

だが、長女は主人公の殺人の現場を見ていた。
しばらくは、次女がわけもわからぬまま慰めるほど、長女はショックで死んだように感情を失ってしまっていたが、
やがて元の明るさを取り戻し、なにもなかったかのような顔で学校にも通えるようになった。
全てが元通りになったかのように思えたが、ある時長女は主人公に言った。
どうしてニートを殺したのか、あの人は悪い人だが自分は生きているのだし、感情に任せて殺してはいけなかった、
自分のためにしてくれたとはわかってはいるが、法律で裁いてもらうのが真っ当なことだと長女は拙く語る。
長女の言葉と表情に、死の直前の妻の姿を垣間見た主人公は、妻を死に追いやっただけではなく、
その遺志すら踏みにじっていた、自分の行いは全て間違っていたと後悔した。だが娘が死ぬのは嫌だった。

そして最後の手紙が届く。近々行われる祭の人ごみの中で、無差別に30人以上の人間を殺すことができれば、
もう主人公を解放するという。今回は殺人の手順は書かれておらず、全て主人公の裁量に任せるという。
妻に申し訳なく思いながらも主人公はそれを実行した。
後日の新聞では、30人以上もの人物を人ごみにまぎれ刺し殺した男が、
逃亡の果てに海に飛び込みそのまま消息を絶ったと書かれていた。

ちなみに手紙はいつの間にか消えてしまうらしい。
手紙の主については主人公が色々と推察するが、神様的存在だと思われる。


591 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/17(金) 01:09:11
>>584
何だ、後半の展開はw

 

人を殺す、という仕事 (光文社文庫)
人を殺す、という仕事 (光文社文庫)