地獄先生ぬ~べ~/第168話「明石谷老人の不思議な紙」(岡野剛)

835 名前:本当にあった怖い名無し :2009/02/02(月) 07:57:34
地獄先生ぬ~べ~

主人公の鵺野は生徒たちからぬ~べ~と呼ばれ慕われている小学校教師。
霊能力者であり、霊的磁場が強いせいで怪現象が起こりやすい学校周辺にて皆を守る日々を送っている。

学校近くの公園に、流しの餅売りの屋台がやってきた。
商いをしているおじさんはホームレス寸前の薄汚い風貌で、
生徒たちは不審に思ったが、物珍しさから試しに餅を買ってみた。
するとおじさんは買ってくれたお礼として、占いをしてあげると言って細長い紙を渡してくれた。
渡された生徒はおみくじのようなものだと思い、
ますます胡散臭いおっさんだと思いながらその紙を見た。

紙にはその生徒が何年にどこの街で生まれたかということからはじまり、
その生徒が経験してきた様々な出来事が大量に書きつづられていた。
区のコンクールで賞をもらったという公のこともあれば、
隣の席の子を泣かせてしまったというごく限られた者しか知らないようなことも書かれていた。
読んでいる途中でおじさんは紙を取り上げた。
そこから先は未来のことだから、詳細に知ってはいけないからと、
あとは口頭で、もうすぐ恋人ができるといったことを告げた。

おじさんは占いによって小学校の有名人になった。
餅を買ったらお礼に見せてくれるからとおじさんの餅の売れ行きは良くなった。
鵺野は実際におじさんを見て、おじさんが自分とはまた異なる能力者であることを察した。
おじさんは、全宇宙の過去未来が記されているアカシックレコードなるものに
自在にアクセスすることができる人物だった。
そんな能力を持つおじさんが何故こんなところでくすぶっているのだろうと鵺野は疑問に思うが、
おじさんはそんなに大したものじゃないと言って照れて笑うだけだった。

書道の時間に使っていた古新聞の中に、おじさんの写真が載っていることに生徒たちは気づいた。
それは、当時テレビで予言者としてもてはやされていたというおじさんを詐欺師として訴えるといった内容のものだった。


836 名前:本当にあった怖い名無し :2009/02/02(月) 07:58:29
おじさんはデビュー時こそ予言を次々と的中させていたが、致命的な予言ミスを幾度も犯し干されていった。
その外れた予言の中には、飛行機がテロにあって墜落するというものがあった。
おじさんの予言を信じた人々により搭乗者のキャンセルが相次ぎ、
飛行機会社はおじさんを訴える方針であり、他にも被害を受けた企業が訴訟を起こす構えにあると書かれていた。

おじさんは詐欺師で、訴訟の借金のせいでホームレス寸前になりながらも、
まだ同じことを続けているのだと生徒たちは憤った。
確かに過去のことは全て当てられていたが、占いは未来をあててこそ価値があるものであり、
恋人ができる云々も、可能性としては十分にあることだからただの出まかせではないかと疑った。
新聞をつきつけて糾弾してくる生徒たちに向かっておじさんは、
竹薮から金塊が見つかるだろう、この予言は絶対に当たるからそれで信じてくれと言う。
生徒たちはその日、橋で釣りをする予定だったが、おじさんが本物の予言者か否かを知るため竹藪に向かった。

夜中まで竹藪を掘りつづけたが金塊は見つからず、やはり嘘つきだと生徒たちはおじさんを責め立てた。
なにも言わずに去っていくおじさん。生徒たちが怒りながらも諦めて帰った後、鵺野がおじさんの前に現れた。
おじさんは本物の予言者のはずなのになんで嘘の予言をしたのだと聞く。
おじさんは無言で鵺野を橋のそばに連れていった。橋の上を犬が通った瞬間、橋が崩れた。
この橋は老朽化が進んでいたが利用者がいないために気づかれていなかった。
犬一匹の重さで崩れるほどだった。人気のない穴場として目をつけた生徒たちが予定通り釣りに来ていたら、
彼らは橋と共に落下して死んでいただろうという。

飛行機のテロは本当に計画されていた。
しかしおじさんが予言を公にすることで搭乗者が減り、そのためにテロリストたちは計画を頓挫した。
おじさんには、予言を言わずにいたらテロが起こることも、言うことで自分が世間から責められることも見えていた。
今回のことも同様だった。真実の悪い予言をしていたら、
不信感を抱いていた子供たちは嫌がらせだと思って無視して死んでいた。
だが、こんなことでもしていないと、自分はただの人生の覗き魔でしかないのだからいいんだ、
そう言っておじさんは屋台を引いて去って行った。

 

地獄先生ぬーべー 13 (集英社文庫―コミック版 (お60-13))
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