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105 名前:1/3 :2009/04/13(月) 00:35:27
地下室の幽霊っていう小学生向け小説

小学生の主人公はある時、祖母が昔体験したという怪現象を聞かされる。

50年ほど前、今の主人公と同じ年だった祖母は、
一人で隣町まで遠出して散歩していたところ、同世代の少女に出会った。
舞子というその少女は祖母を大きな屋敷に連れていき、その地下室で遊んでくれた。
別れ際に舞子は、白いぬいぐるみを貸してあげると言って祖母に渡し、
また数日後に遊ぼう、その時にぬいぐるみを返してくれと言った。
「次はケンヤ様とも遊びましょう」と舞子は言った。
そして約束の日、ぬいぐるみを持って再びその屋敷を祖母は訪れたのだが、
その家の奥さんは、祖母が持っているぬいぐるみを見た途端に真っ青な顔をし、
祖母が舞子の名を出すと家の中に引き返して行ってしまった。
次に出てきた使用人は、いきなり祖母を叱りつけた。
「舞子ちゃんは一週間前に亡くなったばかりなのにひどいいたずらだ」と。
それに、屋敷には地下室なんてないのだという。
とりあえず祖母はぬいぐるみを返したものの、
ありもしないはずの地下室で死んだはずの少女と遊んだという記憶だけは今も残っていた。

その話を友人に話したところ、友人は非現実だと切って捨てつつ、二つの疑問を挙げた。
恐らくケンヤというのは舞子の兄か弟になるのだが、何故舞子は兄弟に様をつけるのか?
そのことは時代を考えれば単に男尊だとも考えられるが、
使用人が仕えている一家の娘らしき子をちゃん付けで呼んだのは何故か?
肝試しのようなノリで、二人はその屋敷を訪れてみた。勾配のきつい坂の途中にその屋敷はあった。

屋敷は、単に手入れが届いてないだけで人は住んでいる雰囲気だった。
昔はそれなりに手入れしていたのか、庭には自然に生えたものではない様々な植物が植えられており、
中でも一際目を引いたのは、真っ赤な紫陽花だった。表札には今村とあった。
祖母の話では、当時屋敷に住んでいたのは根本という人だったので、住人が変わったようだった。
暮らしているのは典子という、主人公の祖母と同い年のおばあさん一人だった。
身なりには気を使った様子がなく、ぼさぼさの髪をしていたが、
典子は話しかけてみると案外気さくで、二人にお茶をふるまってくれた。


106 名前:2/3 :2009/04/13(月) 00:38:10
祖母から聞いた話をそのまま話して見たが、典子はそんなことは知らないと怒る。
しかし、その様子は単に怪談話を厭ったりしている風ではなく、なにかを隠しているかのようだった。
主人公は別れ際に桜の枝を分けてもらい、そのお礼として庭の手入れをしにくると典子と約束した。

それから主人公は、暇な日には今村家に行って庭の手入れをした。
調査のためもあったが作業自体が楽しくもあった。
それを見て典子もやる気になり一緒にやってくれるようになった。
広い屋敷の中を散歩させてもらった主人公は、仏間を見つける。
仏壇には白いぬいぐるみが置かれていた。
そして壁には、主人公と同じ年くらいの少女が写った古びた写真がかけられていた。
この写真の人が舞子さんじゃないのか、やはり祖母が出会った相手は幽霊だったのかと主人公はおびえた。

友人は図書館で、主人公の祖母が屋敷を訪れた一週間前ごろの新聞をあさった。
その記事によると、以前屋敷に住んでいた根本一家のもとには、今村一家という住み込みの使用人がいたという。
今村氏は慰安のために根本一家を別荘に連れていったのだが、
その晩に、大雨で浸水した地下室にて、根本家の長女の舞子が溺死したと記されていた。
友人が近隣の人に調査したところ、今村家にはある怪談があった。
昔にこの屋敷に住んでいた一家の息子が、女の子を誤って死なせてしまい、
それから女の子の祟りで紫陽花が真っ赤な花をつけるようになったのだという。

久しぶりに友人は典子の家を訪れ、主人公の前で推理を披露した。
紫陽花はアルカリ性の土壌だと赤くなる。窒素系の肥料を与えれば人為的に色を変えることができる。
そうしたのは典子で、理由は「舞子が屋敷を呪っている」と見せかけるためだろうと友人は言う。
そんで色々問い詰めた結果、典子はその事実を認め、50年前の出来事を語った。

11歳だった典子は、年子の姉・舞子と使用人である両親と共に根本家の別荘に行った。
根本家にはケンヤという息子がいて、彼は特に舞子に懐いていた。
大雨の夜、ケンヤはふざけて舞子を地下室へ続く階段から突き飛ばした。
驚かすだけのつもりだったケンヤは、怒られるのを恐れて逃げ、金づちの舞子は溺死した。
いつもケンヤと舞子と一緒にいた典子は、ケンヤの態度からその真相にすぐ気付いた。


107 名前:3/3 :2009/04/13(月) 00:41:26
しかしケンヤは舞子の死に関わっていないふりをし続けた。
典子はケンヤへの憎しみから、舞子の形見のぬいぐるみを持ち出し、
通りすがりの主人公の祖母に接触した。
典子が舞子のふりをして根本の家を訪ねても、
長年一緒に暮らしてきた根本一家にはすぐにばれるに決まっていたからだ。
そして屋敷が坂の上にあることを利用した錯覚で存在しない地下室をでっちあげたのだった。
その上、庭の手入れが上手かった舞子を見て知った知識で、典子は紫陽花の色を不吉なものに変えた。
それらのことでケンヤは怖がって全てを明かし、
根本一家は謝罪として今村一家に家を明け渡し、以後交流は絶えた。

典子はその後もずっと紫陽花の赤さを保たせた。
事情を知る近所の人たちに、ヒデヤの罪を忘れさせないために。
そして、舞子がずっと屋敷にいる証しだと思って両親の悲しみが癒えるかもしれないからと。
でもそれは逆に悲しみを深くさせていただけかもしれない、両親が亡くなって一人になってから典子はふとそう思い、
そしてケンヤへの憎しみが消えていることに気づいた。
この家は返すべきだと調べて見たが、根本夫妻は既に死去、ケンヤも数年前に独身のまま亡くなっていた。
舞子が死んだときケンヤはまだ六歳だった。慕っていた舞子を死に追いやったというだけで辛いことなのに、
自分は憎しみのためだけに余計にケンヤを死ぬまで苦しめてしまっていたのだと、典子は後悔した。
それからは、自分自身の罪を忘れないために、
典子は荒れ果てた庭の中で紫陽花だけは毒々しい赤色になるよう肥料を与えていた。

だが主人公によって、かつて舞子と一緒に庭の手入れをしていたことを思い出し、
友人に全てを暴かれたことにより晴れ晴れとした気分になったといい、典子は紫陽花の色を戻すという。
でっちあげとはいえ、この場所に縛られていたことになる舞子を解放したいと。
典子は主人公の祖母と、今度は幽霊とは偽らずに再会を果たした。
お洒落な主人公の祖母の影響で、典子は段々垢ぬけたおしゃればあちゃんになり、
主人公が頻繁に手入れにくるために庭は50年前の面影を取り戻していった。

最後はもろハッピーエンドだけど、ケンヤと舞子の間に起こった出来事は、ありがちだけど悲惨だと感じた


109 名前:本当にあった怖い名無し :2009/04/13(月) 01:29:28
後味悪く・・・はないな。
ヒデヤって誰だ?W

111 名前:3/3 :2009/04/13(月) 07:37:46
>>109

ケンヤだった
あれ、ケンヤとヒデヤとどっちが正解だったっけ
わからなくなった

 

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