幻想ポロネーズ(宮脇明子)

391 名前:本当にあった怖い名無し :2009/04/23(木) 22:42:17
宮脇明子の『幻想ポロネーズ』という漫画。

詳細はうろ覚えなので間違ってる箇所があるかも知れないけど、
とにかく登場人物が全員何らかの理由で死んでいって、
ヒロインを救い出す正義のヒーロー役になるのかと思っていた少年が
結局 少女を救えないまま死なせ、しかも歪んで凶行に走るストーリーは
なんか爽快感のない読後感だった。

太平洋戦争末期。
名家のお嬢様が、籠から逃げた鳥を追って近所の少年と出会う。
少女の家は、母親が亡くなっていて、若い後妻が来ていた。
が、後妻はかかりつけのハンサムな医者と不倫の仲で、
父親が死ぬと医者を屋敷に引き込み(やや病弱だった少女の主治医という名目だったかも?)、
義母というよりあたかも少女の姉夫婦か何かのように振舞っていた。
でも少女は、気さくな感じで接してオルガンを弾いてくれたりする後妻をわりと気に入っていたし、
自分の主治医の若い医師にもほのかな憧れを抱いたりして、わりと幸せに暮らしていた。

が、ある時 医師が少女の部屋に夜這いをかけ、優しくてカッコイイ兄みたいな感じで憧れていた少女はショックを受ける。
そして、コトに及んでいる現場を後妻にも目撃され、情夫を奪われて逆上した後妻が少女に襲いかかって来る。
それを医師が逆に反撃したはずみで、打ち所が悪くて後妻を殺してしまう。


392 名前:本当にあった怖い名無し :2009/04/23(木) 22:43:37
医師は「これは二人でやったことだ。いいかい、誰にも秘密だよ」と少女に耳打ちして死体を処理しに行くが、
少女は「そんな…! あなたが勝手に来て一方的にやった事なのに」とひどく当惑する。
その日から、少女はノイローゼ気味になり、屋敷内で死んだはずの後妻の姿を見かけたり
オルガンの音楽を聞いたりして、最後には発狂しベランダから転落死する(自殺だったかも?)。

ここに至るまでの間、近所の少年とはたまに顔を合わせていい感じの雰囲気が漂ってたりもするが、
結局「住む世界の違うお嬢様」って感じの遠巻きな当たり障りのない関係のまま終わってしまう。

ところが、後妻が死んだというのは最初から医師と示し合わせていた芝居で、
直系の相続人である少女を殺して後妻の自分が遺産をせしめるために
医師が少女をレイプして動揺させた上で殺人劇を見せ、幽霊のふりをして周囲に現れ、
少女を精神的に病ませて死に追いやったのだ。

少女の死後、その家の顧問弁護士が遺品の日記を少年に見せ、
自分のせいで死なせたと思い悩んでいた後妻が実際には生きており
医師と羽振りの良い生活をしていることを告げる。
出征の予定が目前に迫っていた少年は、「戦争でたくさんの人が死んでるんだ、二つ死体が増えるだけさ」と
斧を持って屋敷に押し入り、後妻と医師を惨殺して復讐を遂げる。
少年は出征し、お屋敷の事件は強盗の仕業として迷宮入りしたまま、やがて少年は戦死する。

だが、少年に日記を見せて犯行に駆り立たせた顧問弁護士は、その家の管財人でもあり
少年に後妻を殺させて相続人を断絶させ、うまいこと自分が遺産を横領するのが目的だった。
しかし敗戦の銀行封鎖とともに証券は紙切れと化し、ニュースを聞いて弁護士は絶望して拳銃自殺する。
 -End-


393 名前:本当にあった怖い名無し :2009/04/23(木) 22:50:00
ええ話や。
勧善はないが、懲悪に満ちている。

394 名前:本当にあった怖い名無し :2009/04/23(木) 22:51:09
むしろ後味は良いなぁ
少年少女以外を凶悪に描いて儚い恋物語っぽくしてるのかな

 

幻想ポロネーズ (セブンティーンコミックス)
幻想ポロネーズ
(セブンティーンコミックス)