ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その105 » 秘密 ―トップ・シークレット―/秘密2009(清水玲子)

79 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:26:36
死んだ人間の脳から生前に見た映像を取り出して
犯罪捜査に活用するセクション第9が存在する近未来の話。

603 秘密 1 sage 2008/12/26(金) 21:09:31 ID:???0
1人の男が末期の胃がんを宣告された。
その男、淡路はある拉致事件の被害者の会に属していたが、そこから脱会する。
「これから鬼になる」と言い残して。

一人の少女が監禁されていた。「助けて」と泣き叫ぶ彼女の耳に聞こえるのは波の音。

3月末、外務大臣・千堂の一人娘、咲が誘拐された。
そして4月7日、容疑者の吉田さなえは踏み込んだ警官の前で
「大臣に言いな、娘は帰ってこないって」と言い、首を掻き切った。
容疑者が死亡し、被害者が発見できないこの事件は全権が第九に移管されることになった。
さなえの脳を調べると、4月1日に港、コンテナに閉じ込められる少女と出港する船の画像が見つかる。
港は九州の門司港であることが判り、船のリストを洗い出そうとするが、
薪はすでに船首の国旗とアラビア文字の船名を読みとっており、
船は中東の国「エルスエコ」船籍の「アルタイル」だと判る。
船は現在台湾近海の公海上にあり、エルスエコに捜査協力を打診しているが
かの国は政情不安定で交渉は難航するだろう、という青木。
少女の環境から、もって2週間だと感じた薪はまるで自分が
閉じ込められたかのように青ざめている。

千堂外務大臣と吉田さなえの接点が判る。
中東の国で花輪を掲げている千堂と、その後ろで泣いているさなえの写真。
一同は「あの事件の…」と写真に見入るが、青木だけその20年前の写真の意味が分からない。
「お子様は買い出しに行け」と部屋を出されてしまう。
買い出しの途中で青木は三好にあう。三好との会話で、
薪が三好に会えるように外に出してくれたのだと気がついて青木は赤面する。
三好は青木のプロポーズを受け入れていた。


80 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:27:38
604 秘密 Ⅱ sage 2008/12/26(金) 21:10:21 ID:???0
千堂外務大臣が第9を訪ねてきた。岡部の説明もろくに理解せず、高圧的に千堂はわめく。
薪がそれを挑戦的な態度でいなし、千堂に椅子をすすめた。そしてあの写真を見せる。
2042年に起こった「デルナ集団拉致事件」。
デルナ(という国?)で活動していた日本の医療ボランティア22名が拉致され、
10名が遺体で見つかり、あとの12名は行方不明となった。
デルナ政府が反政府勢力に汚名を着せるための国家犯罪では、との見方が強まったが、
残り12名も死亡とみなされ捜索は打ち切られた。とうじ千堂は中東アフリカ局長であり、
被害者の会の声を代弁する地位にあった。
にも拘わらず、千堂は捜索続行を願う家族の声を封じ込め、国交を優先させた。
千堂は「誠心誠意やった」というが、薪は「家族はそう思ってませんよね」という。
千堂は薪を突き飛ばした。岡部はSPをなぎ倒し、千堂に掴みかかるが薪に制止される。
立ち去ろうとする千堂に薪は尋ねる。
「お嬢さんの命と国交、今回はどちらを優先させるおつもりですか」

少女が助けを求めている。しかし、彼女がいたのは人里離れたログハウスの地下室。

吉田さなえは少女をコンテナに閉じ込めたが、実際に誘拐はしていない。
MRIにかけられることを想定してか、共犯者とは電話連絡のみ、その電話も手元を見ないで発信している。
青木が吉田さなえの元夫、淡路真人が行方不明だという情報をもってくる。
薪はさなえが脳に焼きつけた映像が、少女が国外にでたと勘違いさせるためのフェイクだと気づく。

そのころ、千堂は海上保安庁を出動させてアルタイルを停船させようとしていた。


81 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:28:53
326 秘密 sage 2009/02/27(金) 20:53:23 ID:???0
「アルタイル」は海上保安庁の停船命令を無視し続けていた。業を煮やした千堂は威嚇射撃を命じる。

千堂咲の母は、さなえのMRIの監禁少女の画像をみて「娘でない」という。
監禁少女の耳には、咲にはないピアス穴の痕があった。
しかし、監禁されている少女がもう一人確実に存在するのだ。
青木が気分の悪そうな薪と、その額の傷を心配するが、薪はその手を払いのけて身代わり少女の
身許調査を岡部に命じる。また薪の地雷を踏んだか、と気まずい空気が流れる。
薪はMRIで偽の情報を見せるために、人命が代償にされたことにショックを受けていた。
「怪我のせいでもお前の所為でもない」と薪は青木に声をかけるが、薪の顔は青ざめ、手は震えていた。

千堂が威嚇射撃を命じた情報が入り、薪は千堂のもとに行き、船の少女が身代わりだったことを伝える。
淡路が主犯らしいことが判明し、末期ガンでホスピスに入っている淡路の元に警察が駆け付けた。
淡路は「私が地獄に落ちる前で良かった、大臣にもね」とやせ細った体を起こして笑う。

千堂は船に咲が乗っていないことに安堵するが、薪に身代わり少女の救出について相談されて我に返った。
少女を正式に救出するどころか、威嚇射撃をやめさせ、アルタイルを解放するように命じた。
監禁されていた少女はエンジン音が止まったことに安堵し、助けを求めて叫んでいたが、
再び船が動き出したことに気づいて絶望する。

立ち入り検査を直前で阻止できて安堵する千堂は「フェイクだともっと早く気付いてくれれば」とぼやく。
「見捨てるんですか」と薪は千堂を責めるが、千堂は「はじめから死んでいるのでは?
助けたいのならMRIの画像を裏付ける証拠、監禁者の身許、生存の証拠を持って来い、
いちいち感情的になってどこの誰とも判らない一人のために国の安全を脅かすことはできない」といいだす。

あまりにも身勝手な言い分にめまいと吐き気すら覚える薪。
「人命の保護という当たり前のことをして、その結果生じる予測可能な紛争を回避する自信がないなら
外務大臣を辞すべきだ」真っ青な顔で、それでも薪は言う。
「その物言いで良く警視正に」という千堂に「だからまだ警視正なんです」と返す薪。


82 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:30:06
327 秘密 sage 2009/02/27(金) 20:54:17 ID:???0
淡路が千堂と話したがっているという連絡が入り、薪はそのことをつたえる。
淡路との会見を整える、と部屋を辞した薪を青木が追いかけると、薪は顔を覆い、階段でしゃがみこんだ。
青木は薪の手を取り、「大丈夫ですよ、おれが助けますから」と声をかける。
薪はまだ涙の残る顔をあげ、少し笑って馬鹿にするが、青木は本気で少女を助けに行く気でいる。

淡路の病室を千堂が訪ねた。監視モニターが設置され、警備員も配置されている。
淡路はいう。「あんたが来るまで私の体がもって良かった」と。
淡路が死んでしまえば、脳はMRIにかけられてすべてが解決してしまうだろう。
だが、淡路は今最先端の医療と万全の看護に護られて命を永らえている。
淡路は「生きる権利」、それを一秒でも長く行使して千堂に復讐するのだと凄絶な笑みを浮かべた。

思わず淡路に掴みかかる千堂。
だが、すぐに警備員が止めに入った。
「私が死ぬのとあんたの娘が死ぬのとどっちが早いと思う!」
せき込みながらも淡路は叫んだ。


83 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:31:04
957 秘密 sage 2009/04/27(月) 21:28:53 ID:???0
コンテナに閉じ込められた少女を助けにいくという青木にあっけにとられる薪。
青木はもし閉じ込められたのが三好だったら、薪だったら。彼女も誰かの大事な「娘」なのだという。
聞かなかったことにしてください、と頭を下げて背を向ける青木。
薪は青木を追いかけ、自分がコンテナの少女救出の指揮をとるという。
薪はもう第九から殉職者を出したくなかったのだ。

淡路が引き払った部屋は、清掃業者によってハウスクリーニングが済んでいたが、
監禁された二人の少女のそれぞれの毛髪が袋に入れて残されていた。
その他の証拠は何一つ残っていない。
千堂は淡路に土下座して詫び、咲の居場所を聞き出そうとする。
淡路はその謝罪を偽りだという。そして自分を殺すように焚きつける。

コンテナに監禁された女性の身元がようやく判って来た。それをもとに薪は警視総監?に救出の要請依頼を
出すよう訴える。監禁された女性が生きている証拠は、と言われて、良い争いになった薪は、
彼女があなたのお嬢さんだったら…?と問うのだった。
救出は成功し、青木は軽いけがの手当てを受けていた。青木の無事な姿をみて、薪は青木にすがりつく。

救出は成功したが、ホスピスでは千堂が警備員に取り押さえられていた。
「淡路はもう死んだんだ!奴の脳を早く見せろ!」
淡路の胸にはハサミがつきたてられていた。


84 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:32:06
756 秘密 sage 2009/06/26(金) 21:14:51 ID:???0
千堂に殺された淡路の脳はMRIにかけられ、咲の居場所は判明した。
娘を助けるために、大臣の地位を捨てて殺人者となった千堂を、世論やマスコミは持ち上げる。

咲に面会できると手錠を付けたまま連れてこられた千堂は、その前に薪の待つ部屋に通される。
その千堂に薪は意外な物を突きつけた。それは、DNA鑑定書だった。
それは千堂と咲の親子関係を否定するものだった。不妊治療で千堂との子が望めないと諦めた妻の朱美が、
他の男と関係を持って出来た子だと思われる、と薪は非情な通告をする。
余りのプライバシー侵害に怒り狂う千堂。だが、それは淡路が鑑定を依頼していたものだった。
淡路は千堂が良く使うホテルの従業員になり、清掃の際に一家のDNA鑑定に使えるものは全て収集していた。
薪たちも一応本人達のDNA採集をして鑑定をしたが、結果は同じだった。
その後、咲との面会を勧める薪。しかし、妻に裏切られていたことを知り、咲が血のつながらない
他人だと知った千堂は屈辱にうちふるえ、咲には会わないと言い出す。

その頃咲は、地位をなげうって自分を救ってくれた父に会うのを楽しみにしていた。

机に突っ伏す千堂に、薪は言う。「犯行声明を覚えていますか、大臣の娘を一人誘拐すると」
それは間違いではなかった。身代わりにされた女性、平野望美。
咲との面会を辞め、彼女の病室の前を通りかかった千堂は元気そうな彼女を見て「良かった」と呟く。
その母親の美奈子と千堂は、朱美と結婚する前付き合っていたのだ。
堕ろさせたとばかり思っていた子供、それが望美だった。
残り少ない命をかけて、淡路は千堂の弱点を調べあげ計画を練ったのだ。

救出したとき水も食料も尽きていた望美とちがい、咲にはまだ余裕が持たせてあった。
淡路の目的は千堂、そして効果的に望美を殺すことにあった。
人を殺してまで助けた子は自分の子でなく、見捨てた子が本物の子供だったという苦しみを背負わせるために。
アルタイルは停船せず、第9は望美をフェイクと判断し、千堂は他人の子なら助けない…
全ては淡路の計画通りに進んだのだ、ただ1つ、望美を救おうと奮闘した青木の存在を除いて。


85 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 02:33:08
757 秘密 sage 2009/06/26(金) 21:16:44 ID:???0
千堂の姿を見つけた美奈子と夫は何事か相談を始める。
薪は意地悪く微笑みながら言う。「心の準備は宜しいですか、お父さん。」

「どうぞあなたの口から伝えてください、一度目は妊娠を告げられた時。二度目は海保に撤退命令を出した時。
私こそが二度も見捨てた実の父だと」

病室から出て千堂にかけよる美奈子。
その目の前で、千堂の手錠を隠していた布が滑り落ちる。
それは望美の眼にも映った。何も言えず、愕然とした表情のまま固まる千堂。

その頃咲は、面会時間を過ぎても会いに来てくれない父を想い、
父をほめたたえる新聞や雑誌の記事を握り締めて泣いていた。

ニュースでは「日本一強い絆で結ばれた父娘」がいまこの時間に面会しているだろうとアナウンサーが伝えていた ―


87 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 03:34:37
薪…第9の室長。若くして警視正だが、セクションが特殊なので色眼鏡で見られがち。
青木…第9に配属された新米捜査員。第9というセクションでいろいろと葛藤もするが、基本的に熱血漢。

これぐらい知っておけば、この話では後はスルーしてもいいかと。
読み切りシリーズものなので、人間関係もいろいろあるし
薪にも明かされていない過去がありそうなのですが。

ちなみにこの「秘密」シリーズの他作品もかなり後味が悪い話のオンパレードです。
一応、救いらしきものを織り交ぜていますが…。
清水玲子 秘密 でぐぐればいろいろ出てきます。


90 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/05(日) 03:37:34
>>79
面白かった。
血の繋がらない娘は気の毒だけど、後の皆さんは
目的を達成できて後味スッキリなんだろうな。
誰も幸せにならないけど。

 

秘密 6―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)
秘密 6―トップ・シークレット
(ジェッツコミックス)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...