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245 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/08(水) 18:15:37
だいぶ前に読んだことがあるだけなのでうろ覚え

主人公は市営バス
人気のない早朝の道路を、運転手に動かされて走ることからバスの一日ははじまる。
バスには数か月前から気になることがあった。
それは、毎朝中学校の門から二人並んで出てくる少年少女のことだった。
二人は私服姿で、夜の間中ずっと学校にいたらしい。
なにが楽しいのか満面の笑みを浮かべてはしゃいだように二人は歩いていた。
バスは、中学生の登下校の時間帯にも二人の姿を見ることがあった。
早朝の様子とは違い、少年少女は一緒に歩くことはなく、別々のグループに分かれていた。
視線をあわせることもなく、早朝の時には感じられなかった大きな壁が二人の間にはあるようだった。

はじめて見かけてから数か月たってからの現在、早朝の少年少女の関係には変化が見られるようになった。
いつからか、一緒に歩く二人の姿には陽気さがなくなり、暗い顔をしていることが多くなった。
少年の方は体を痛めているかのような歩き方をすることがあった。
それからまたしばらく経った時には、
少年はそんな風でいることはなくなったが、やはり二人の顔つきは陰気だった。
二人は並ぶと背が同じくらいだったが、その頃には少年の方がだいぶ背が高くなっていた。

以下は少女の視点。
中学三年生の少女は、進学校合格間違いなしの賢い子だった。
自然と、少女のそばには同じように賢くて周りから注目されるような女の子たちが集まり、
そのグループはクラス内ではカースト上位層といった感じだった。
いじめるようなことはしなかったが、下層の人を見下すような雰囲気がグループ内にはあった。
少女はある時、校内の閉ざされた扉を少年が開けているのを目撃した。
少年は賢くはないが手先は器用で、簡単な鍵なら針金などで解錠できるのだという。
すごいすごいと誉められ、少年は誇らしげにも見えた。
運動もできず、カースト最下層にいた少年にとって、そう言われるのははじめてのことだった。
「学校の正面玄関の鍵も開けられそう」
という少女の言葉から、二人は夜中の学校への侵入を試みた。
結果、少年は玄関すらも針金で開けてしまった。
昼間とは違う夜の学校を歩き回るのは楽しく、
二人は秘密の探検を深夜から早朝まで毎日のように続けるようになった。


246 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/08(水) 18:17:06
少年少女は昼の学校でもつい仲良く接することがあった。
それに対し、少女と同じグループの子は「あんなのの相手しなくてもいいのに」と
少年を嘲笑するようなことがあった。
少女がその言葉を気にするより先に、少年の方が先に昼の学校では少女から距離を置いてきた。
それでも夜の学校では変わらず親密で、二人は友情を毎夜育んだ。
夜での態度の方が少女にとっては自然なものだった。
それは少年にとっても同じであったのだが、クラスでの少女の立場などに気遅れしているようだった。

少女は昼夜のギャップにいらだちを感じた。
昼も仲良くしようと少女が言い出せばそれで済む話だったが、
そう出来ず結局は少年と同じく周囲の目を気にする自身にも苛立っていた。
夜の学校で、苛立ちをもてあました少女は勢いに任せて少年に暴力を奮った。
少年は背丈は少女と同じぐらいだったが力はだいぶ弱く、少女にひたすら殴られて廊下に倒れて泣いた。

それからは毎夜、少女が少年にひたすら暴力を奮う日々が続いた。
少女は友情というよりも恋を少年に対して抱いていた。
こんな事をしたいわけではないのに、という苛立ちがまた余計に少女を暴力に走らせた。
少年がそんな目にあいながらも夜の学校に通い続けたのは、
やはり少女と同様の感情を抱いており、唯一の接点を失いたくないからだった。
かといって別にマゾというわけでもないので抵抗はするが、少年は非力で意味がなかった。
しかし、成長期を迎えた少年は急に腕力が強くなっていき、
少女の暴力を防ぐどころか、逆に少女を力でねじふせることすらできるようになった。

夜での二人の関係は逆転した。少年は、少女の昼の態度にも干渉した。
厳しい先生が見周りに来る日に限って制服のリボンをつけてこないよう言ったり、
それに対して怒られた際に、素直に謝らずに口答えして印象を下げろと命じたり、
些細だが内申が重要な受験生にとっては致命的にもなり得ることだった。
それでも少女は賢かったし、少年は相変わらず勉強が出来ず、二人の進路が分かれる日も近かった。

少年は夜に少女を虐げながらも満たされているようには見えなかった。
少女は、自分がはじめてしまったこととはいえ、こんな関係は終わらせて
以前のように仲良くなりたい、昼間でも仲良くしたいと思った。


247 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/08(水) 18:19:01
早朝の学校から帰っていこうとする際に、少女は少年にその旨を告げた。
ここらへん肝心なところだった気がするけどすっかり忘れた。
なんか色々リリカルな会話をして和解していたところ、
用事があって早くにやって来た先生とふたりは遭遇してしまう。
私服であることから朝練というわけでもない二人が、
閉ざされていたはずの学校から出てきたことを先生は不審がり、
捕まえようと走ってきたので二人は逃げ出した。
校門から飛び出した少年は、回送中の市営バスに撥ねられてしまった。
バスは、まさか顔見知りのあの少年を轢いてしまうなんてと慌てた。

少女は入院中の少年のもとにお見舞いに行った。
事情を聞く皆に少女はなにも話さなかったが、
少年の特技は身内なら知ってることで、所持品などからも察せられてしまったし、
夜の徘徊は毎日の習慣であったことから実は度々2人を目撃していたという証言も出て、
二人が夜の学校になにやら毎日こもっていたらしいということはすぐに周囲に知られた。
「学校のみんなが知ってるんだよ ここまで知れ渡ってるなら、もう二人でいてなにを言われても開き直れちゃうよ」
少女は笑いながらそう少年に語りかけるが、事故にあって以降、少年は意識不明のままだった。
高校受験の日はじりじりと迫っていたが、少年は一向に目覚める気配がなかった。
少年のベッドの隣で少女は目を閉じては、夜の学校で少年とすごした日々を思い出した。

なんでバス視点というえらい斬新な視点ではじまったのかと思ったら、
まさかこういう落ちのためだとは思わなかった。
廃車とかにはならずにすんだみたいだが、二人のことを案じていたバスが
少女らにとっては悪役みたいな立場になってしまうとは…


254 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/08(水) 19:51:57
望月花梨の「欲望バス」か
懐かしい
ちなみに花とゆめコミックス

256 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/08(水) 20:26:23
>>254
サンクス
一行目にタイトル書いてたが、行数オーバーのため削って、
最後に書いておこうと思って忘れていた。

絵面が覚えられない方で、市営バスなんか脳内で機関車トーマスになっちゃってるけど、
少女が少年の首しめてるところや、これまたうろ覚えだが全体的にモノローグが文学的だったのが印象に残ってる。
当時はあまり少女漫画を読まなかったから、余計に少女漫画独特のモノローグの多さが新鮮だった。


282 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/09(木) 13:09:43
>>245
面白かった!
しかし個人的にはバスよりも、その運転手が
どうなったのか考える方が後味悪い
飛び出しとはいえやっぱり業務上過失致傷でクビになっちゃうのか?
奥さんや子供はいるのか?
奥さんは職を失った夫の代わりに働きに出て
そこで不倫に走り家族崩壊…あああ…

>>254もありがとう
望月花梨わりと好きだけど
この本は読んだことなかった
今度探してみよう


332 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/10(金) 04:47:17
>>245-247
単行本の最後のおまけイラストみたいなので、
結局受験日後に目覚めた少年が黒い全身タイツ履いて唐草模様の風呂敷しょって、
特技を利用してこそ泥になって屋根を飛び回っているところを、
ギャグ調の涙目顔で少女が「受験できなかったからってヤケにならないでー!」と屋根の下から呼びかけていた。
鬱っぽい話を後書きでギャグ化させることがあの作者は多い

333 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/10(金) 09:07:19
望月花梨のそのコミックス持ってるけど
そんなに後味悪いオチだった印象残ってないのは
その後書きのせいか

 

欲望バス (白泉社文庫)
欲望バス (白泉社文庫)


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