ホーム » 小説 » 小説/か行 » 嫌われ松子の一生(山田宗樹)

360 名前:1/5 :2009/07/31(金) 21:23:12
「嫌われ松子の一生」
映画にもなったし知ってる人も多いと思うけど、小説版の方を。
読んで鬱になる小説は多いけど、近年まれに見るほど後を引いた。
松子の甥っ子の話と松子の生涯が交互に語られる構成だけど、
松子サイドのみまとめてみました。うろ覚えなので細かいとこは違うと思う。

**********
小さな島の小学校で、女教師をしている松子。
美しく聡明だが、彼女の両親は体の弱い妹ばかり可愛がり、
松子には見向きもしなかった。

学校では、若く美しい彼女は子供たちの憧れの存在だった。
そんな彼女に目をつけた好色な校長は、松子を修学旅行の下見と称して旅館に連れ込み、
酒を飲ませて処女を奪う。汚いやり口に憤るも、無力な彼女にはどうすることもできず、
屈辱を噛み締めるのだった。

そして修学旅行先の旅館の売店で、盗難事件が起きる。
捕まった男子生徒はもともと素行が悪く、誰が見ても彼が犯人に思われた。
松子は引率の責を問われる事を恐れるあまり、代金を自分が払うことで隠蔽しようと考える。
しかし持ち合わせが無く、つい同室の同僚教師の財布から「ちょっと借りるだけ」とこっそりお金を拝借してしまう。
だが同僚に事情を話す前にその事が露見し、泥棒の烙印を押された松子は
学校にも島にも居られなくなって自暴自棄になり、家族への不満も爆発して、
彼女を慕う妹に暴言を吐いて出奔する。


361 名前:2/5 :2009/07/31(金) 21:24:57
東京で、松子は小説家志望の男と知り合い同棲する。
未だに芽が出ない彼はほとんど松子のヒモのような生活を送っていた。
彼にはライバルがいて、松子にちょっかいを出してくる。
紆余曲折があって、松子を愛していると言い募るライバルと松子は寝てしまう。
しかしライバルは、松子を愛してはおらず、松子の彼の才能への嫉妬心のみで
松子を奪おうと考えていたのだった。彼の元へも戻れず、
ライバルにも騙され嘲笑された松子は、売り言葉に買い言葉で風俗嬢へと身を落とす。

もともと真面目な性格で、こうと決めたらやりとおす彼女はたちまちナンバーワン風俗嬢になる。
それに目をつけたチンピラが彼女をスカウトして、滋賀で一稼ぎしようと持ちかける。

そこでは毎日馬車馬のように働かされ、疲れを訴えるとチンピラは松子に覚せい剤を打った。
しだいに薬にのめりこむ松子。しかしある日、たっぷり稼いだはずの金を全て
チンピラが使い込んでしまった事を知り、この生活に終止符を打つために別れ話を切り出す。
話はこじれ、結果的に松子は彼を刺し、とうとう殺人犯になってしまった。

逃亡した松子はさびれた床屋に職を求めた。男やもめが一人経営するそこで、真面目に働く松子。
風俗嬢時代とは打って変わって穏やかな日々を過ごす
うち、床屋の主人は松子を愛するようになる。
過去を決して語らない松子に愛を打ち明け、きみにどんな過去があろうと変わらず愛しているという主人に
松子がほだされかけたその時、警察の手が伸びた。
松子は殺人容疑で逮捕されてしまうのだった。


362 名前:3/5 :2009/07/31(金) 21:26:17
松子は服役中、逮捕前に務めていた床屋の事を思い出し、
出所して彼の元へ戻れば店を手伝えるとの思いから、美容師になる勉強を始める。
何かに熱中する事を忘れていた松子だが、もともと手先が器用な事もあり、
その仕事は松子の性に合った。松子は夢中で技術を学び、資格を取った。

数年が経ち、出所した松子は以前いた床屋を訪ねる。
しかし主人にはすでに妻がおり、幸せそうに暮らしていた。
松子は失意のうちに店を立ち去った。

松子は美容師の仕事に生きがいを見出す。
地味ながらも真面目に勤め、それなりに充実した生活を送っていた。
そんな松子の前に若いチンピラが現れる。それはかつて、
松子が教師の職を追われるきっかけになった盗難事件を起こした、犯人の少年の現在の姿だった。
彼はヤクザになっており、松子を見かけて後をつけてきたのだ。
子供の頃からずっと松子を愛していた、盗難事件は彼女の気を引きたくてやった事なのだと彼は言う。

松子はこれまで自分の身に起きたことを全て彼に話した。
どうせ汚れてしまった自分の体を抱きたいなら抱けばいい、と自棄気味に言う松子。
しかし彼は怯みもせず、松子を受け入れる。
愛情に飢えていた松子と彼は、情熱的に体を重ね、強く愛しあうようになる。
しかし幸せは長くは続かなかった。ヤクザである彼は殺人を犯してしまう。
刹那的な逃避行の後、彼は結局警察に捕まり、服役することになってしまう。

松子は彼のいる刑務所の近くに居を構え、床屋に就職して、彼が出所するのをひたすらに待ち続けた。
真面目で堅実な生活を送り、多少の蓄えもできた。
何年も経って、とうとう彼が出所する日がやってきた。
喜びに顔を輝かせ、彼も喜んでくれる事を信じて疑わず、門前で彼を待つ松子。
ところが、出所して来た彼は松子の姿を認めたとたん、
恐ろしげな叫び声を上げてその場から逃げ出してしまったのだ。


363 名前:4/5 :2009/07/31(金) 21:27:34
彼は不遇な子供時代を過ごし、荒んだ生活を送る中で、
他人からの愛情というものを全く信じられなくなっていた。
自分への愛情のみで何年も待ち続けた松子を愛しく思うどころか、
自分には理解のできない薄気味悪い化け物のように感じ、その場から逃げてしまったのだった。

彼の出所のみを心の支えにしてきた松子は、ぷつりと糸が切れたように自堕落な生活を送るようになった。
仕事もやめ、出かけるのは食料品を買いに行くときだけ。食べてはごろごろ横になり、
ぼんやりとテレビを眺めては、飲めない酒を無理に飲んで眠りにつく毎日を過ごす。
不健康に太って不潔な松子は近所からも不気味なばあさんと思われ、
無気力な生活の中で精神状態はどん底に落ち込んで、
酒浸りの日々でとうとう幻覚まで見るようになってしまう。

そんなある日、食料品を買出しに行った松子は刑務所時代の知り合いと出会う。
彼女は女経営者となり羽振りも良いようで、身なりも綺麗だった。
以前から聡明な松子を気に入っていた彼女は、今の松子の様子を見かねて電話番号を書いたメモを渡す。
いつでもうちの美容院へ働きにきてね、と言い残して彼女が去ったあと、
松子はちらりと紙きれを見て、公園にぽいと投げ捨てた。


364 名前:5/5 :2009/07/31(金) 21:29:08
自宅へ帰ってから、松子は何気なくヘアカットの手つきを思い返してみる。
こんなカットの仕方、あんなブローの仕方。どんどん記憶が呼び覚まされて、
気が付くと夢中になってその手つきを繰り返していた。
もう一度仕事がしたい。
無気力だった松子の心に、再び情熱の火が灯ったのだ。

居てもたってもいられず、熱に浮かされたようになって電話番号のメモを探しに公園へ向かう松子。
這いつくばってメモを探す松子は、まるで浮浪者のようにも見えた。
そこへ、通りかかった今時の若者たちのグループが目を付けた。
彼らは遊び半分に松子に声をかけ、いちゃもんをつけた。
汚らしい浮浪者め、と松子を蹴り飛ばし、殴りつけてはみっともない松子の姿をゲラゲラと笑い、
陰惨な暴行を繰り返し行なった。

彼らがいなくなり、這うようにして自宅へと戻った松子は、自分の死を悟って目を閉じる。

男に騙され、利用されては裏切られ、真実愛した男に逃げられて気力を失い、
ようやく心の支えとも言える仕事への情熱を再び取り戻した松子は、
無関係な若者たちの気まぐれな暴行によって、その波乱万丈の人生の幕をあっさりと閉じたのだった。


365 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/31(金) 21:31:19
長文失礼しました。あまり削ると松子の踏みつけられっぷりが
伝わらないかと恐れ、エピソードを削りきれなかった。

368 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/31(金) 22:51:47
>>364乙
読みやすくて面白かったよ

映画の宣伝とかは明るい感じだったのに、こんなに暗い話しとは…


391 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/01(土) 15:05:37
>>368
映画はストーリーはほぼそのまんまだけどノリは明るかった
ミュージカル調というか

392 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/01(土) 15:55:47
その明るさが切なかったなぁ。

413 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/01(土) 23:21:14
嫌われ松子の映画を地上波で放送している最中に、
福田元総理の辞職のニュースがカットインしてきて
そのまま放送打ち切りになった。
最高に後味悪かった。

 

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