ホーム » 小説 » 小説/か行 » 剣客商売/三冬の乳房(池波正太郎)

547 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/31(月) 04:10:46
時代劇小説『剣客商売』の「三冬の乳房」という1エピソード。

田沼意次の妾腹の娘・三冬は、瞠目に値する美形だったが、
父となじめず女ながらに生来 剣術の才があるため、男装の麗人として暮らしていた。
ある日、郊外の寮(別荘)に向かう途中、隣の寮の娘が誘拐されかけていたところを助けた。
彼女が掠われた寮では、使用人たちが棒で殴打され、うち一人が撲殺されているという惨状だった。
娘は大名家御用達の老舗商家の一人娘で、かわいらしく可憐な子だった。
三冬は懇意にしている老剣士・秋山小兵衛らに事情を話し、真相を探っていると
店に帰していた娘が再び行方不明になり、母や祖父は大騒ぎになる。
しかし、居所を突き止めてみると、娘は父と共に旅仕度で江戸を逃れ出て行くところだった。
見咎められて観念した父はへなへなと地面に崩れ落ち、娘はわっと泣き出した。
実は、父は元は店の番頭の末席で、若後家だった母と出来婚した婿養子であり、
そのことを義父(娘の祖父)は苦々しく思って冷遇し、普段から肩身の狭い思いをしていた。
そして、祖父は年頃になった孫娘に独断で縁談を持ち掛け、新たに自分の息の掛かった婿養子を入れて
父を窓際へ追いやろうとしていた。娘はこの縁談に乗り気ではなく、父に同情的だった。
母や祖父を捨てて店から姿をくらまそうとする父の側に、娘は付いて行くことに決めた。
最初に一度 寮を襲わせて強引に娘を連れ出そうとしていたのも父だったとは、知らなかった。
秋山老人らも、威張り散らした祖父の仕打ちに長年耐えてきた父の情状を酌んで同情的だったが、
過失とはいえ罪のない使用人が一人撲殺されている以上、黙殺するわけにもいかなかった。
父や寮へ押し入った実行犯らは公の裁きを受け、店も上屋敷への出入りを禁止された。
傷心の娘は、しばらく寮で静養することになった。
娘は何かと手助けをしてくれた隣家の“若侍”に想いを寄せるようになったが、
自分への恋慕に気付いた三冬は、娘の手をとって自分の乳房を触らせ、女だということを明かした。


548 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/31(月) 04:11:54
後に三冬は、秋山老人の息子と結婚して女の姿に戻っており、
「男装のヒロインが実の女の子に惚れられちゃったよ~w」みたいな
途中のコミカルな一挿話のラストという雰囲気に仕上がっていたが、娘の心情を思うと
慕っていた父が犯罪者となり、老舗の店も零落し、心細い中で頼みにしていた心の支えの想い人も
実は男じゃなかったとかって、結構 踏んだり蹴ったりな気がする…。
まあ、まだ若くて可愛い娘だから、しばらくして身辺が落ち着いたらまた良縁もあるんだろうとは思うけど。

553 名前:本当にあった怖い名無し :2009/08/31(月) 08:55:31
>>547-548
マイナス・マイナスを掛けてプラスというか、
そこまでコメディータッチでさんざんなシメの方が
娘も馬鹿馬鹿しくなって早く立ち直れそうな感じがして
いっそ後味すがすがしいかも。

 

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