ホーム » 小説 » 小説/な行 » 眠らない少女(高橋克彦)

658 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 15:32:46
高橋克彦の短編集より
いま手元に本がないからストーリーうろ覚えスマソ
確か「瓜子姫」って題名。

主人公はマンションに妻と幼い娘と三人暮し。
ある晩、妻が娘に寝物語として昔話の「瓜子姫」を話していると、
「瓜子姫にはもう一つストーリーがあるのよ、なんだったかしら・・・」
と妻が言い出した。
その台詞を聞き、主人公はもう一つの瓜子姫を語り出した。


659 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 15:34:38
その昔、ある村がひどい飢饉に襲われた。
明日の命をも知れない中、瓜子姫という若い娘も食べ物を必死で探した。
(このあたりどういう経緯か忘れたが、瓜子姫は人の肉の味を覚えた)
幾分もしないうちに瓜子姫はぷくぷくと太りはじめ、死体を見つけては貪り食べた。
食料に困らないように冷たい洞窟の中に肉を積み上げた。内臓は井戸に捨てた。
全てがうまくいっていたが、ある日、内臓を井戸に捨てているところを村の娘に見られた。
食料を奪われることを恐れて娘を殺したが、自分が疑われるのも時間の問題だ。
あることを決心した瓜子姫は、娘の顔の皮を剥ぎ取った。
剥ぎ取った皮を丁寧に自分の顔に撫で付けたが、
娘は瓜子姫より年上だったため、顔の皮がだるだるになってしまった。
そんなことも気にせずに「おおーい、おおーい」と叫びながら山を下る瓜子姫。
途中で村人と出会い、
「あんたどこの婆さんだ?」
「大変だ、大変だ、あまのじゃくが出たぞ!死体がたくさんじゃ!」
「なに、あまのじゃく!?」
「あまのじゃくに瓜子姫が食われてしもうた!」
「そりゃあ大変じゃ!」
と会話を交わして洞窟を指差した。
なおも瓜子姫は叫びながら走り続けた。
瓜子姫が殺された、あまのじゃくがいるぞ、と
ここにはもう住めないから遠い所に行こう。
洞窟の肉は捨て置こう。また集めればいいのだ。
そこら辺にたくさん転がっているのだから。

660 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 15:35:35
以上のような話を主人公は妻に話した。
妻は「そう、そんな話よ!」と同意し、娘に再び寄り添った。
自室の椅子によりかかり、主人公は考えた。
(なぜ自分は瓜子姫の話をよく知っていたのだろうか?
 まるで頭上から見ていたようではないか)
瓜子姫がなにをしているのか、はっきりと目の裏に思い浮かべることができる。
(もしかしたら、私は瓜子姫の行動を見ていた烏の生まれ変わりではないだろうか)
その考えにおかしくなって、主人公は「カア」と小さく鳴いてみた。
瓜子姫の話をきっかけに、記憶がよみがえったのだろうなぁ、と主人公は考える。
もしかしたら妻も娘もなにかの生まれ変わりだろうか、
と思ったところで、すさまじい娘の悲鳴があたりに響いた。

なにごとだ、と妻と娘がいる寝室へと駆けつけた。
主人公が目にした光景は、包丁を手にした妻が娘を斬りつけようとしていたのだ。
「なにをしている!?」
「この子が全部悪いのよ!」
一体なにがあった、と主人公。
すると娘が
「仕方なかったのよ」
と言って泣きだした。
状況が把握できない主人公に、妻と娘の応酬は続いた。
「私はこの子に殺されたのよ!」と叫ぶ妻。
「だってしかたなかったの!仕方なかったの!」と答える娘。
(なんてことだ)と主人公は思った。
私が烏の生まれ変わりであったと同じように、妻と娘もそれぞれ
殺された村の娘と瓜子姫の生まれ変わりだったのだ。と。


661 名前:本当にあった怖い名無し :2009/09/02(水) 15:36:38
娘を助けなければと、妻から包丁を奪いにかかるが、逆に己の腹を突き刺されてしまった。
動けなくなる寸前に包丁を奪い、そのまま妻に包丁を刺した。
妻はそのまま動かなくなったが、主人公もまた意識を失う寸前でいた。
かすれる目に娘の姿が映る。

娘はどうなる?
ドアのチェーンは娘の身長よりはるかに高い位置にあり、はずすことができない。
娘は電話もかけたことがない。
数日間持ちこたえれば誰かがきてくれると思うが、その間の食料はどうする?
冷蔵庫には肉と野菜があるが、届くはずがない。

と、そこで、主人公はあることに気づき、娘に言った。

「パパとママを食べるんだ。食べなさい。そして生き延びなさい」

そうして主人公の意識は消えた。

東北出身の人は高橋克彦の作品面白いと思うよ。
テラ地元が舞台の場合があったりとか。
読みにくいね、ごめん。妻=殺された娘、娘=瓜子姫、ね。

 

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