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119 名前:1/2 :2009/10/07(水) 15:49:29
「赤いろうそくと人魚」  小川未明

人間にあこがれている人魚がいた。
人間にあこがれるあまり「私の子は、私に育てられるより人間に育てられる方が幸せに違いない」と思い込み、
陸に上がって出産し、子供を置いて海に帰った。

人魚が子供を置いていったのは、小さな港町だった。
港町には神社にろうそくをともして航海の無事を祈るという風習があり、
神社の近くには老夫婦の営むろうそく屋があった。
人魚の赤ちゃんを拾ったのは、このろうそく屋の老夫婦だった。
老夫婦は赤ちゃんが人間でないことに驚いたが、老夫婦には子供がいなかったので、
我が子と思って育てることにした。
もちろん周囲には、自分たちが拾った赤ん坊が人魚であることは隠していた。

人魚の赤ん坊はすくすくと成長し、少女になった。
人魚の少女は、売り物のろうそくに絵を描いた。
絵が描かれたろうそくはきれいだったので、ろうそくはいっそう売れるようになった。
そのうちに「絵が描かれたろうそくを一晩神社で灯し、その燃えさしを乗って船に乗ると
無事に港に帰ってこれる」という噂が流れ、ろうそくは飛ぶように売れた。
人魚の少女は、手の痛みをこらえながら、一生懸命ろうそくに絵を描いた。

ある日、少女が人魚だとどこで知ったか、見世物屋が「少女を見世物用に売って欲しい」と言って来た。
もちろん老夫婦はきっぱりと拒絶した。
しかし見世物屋に「人魚は災いを呼ぶ。一緒にいるとあなたたちは必ず不幸になる」と言いくるめられ、
人魚の少女を売ることに同意した。人魚の少女は泣いて嫌がったが、
老夫婦は「人魚といたら不幸になる!」と思い込んでおり、聞く耳を持たなかった。


120 名前:2/2 :2009/10/07(水) 15:50:12
人魚の少女を連れに見世物屋が来たとき、少女はろうそくに絵を描いていた。
「あと少しで描き終わるので、描き終わるまで待ってください」と頼んだが、
老夫婦も見世物屋も待ってはくれなかった。
人魚の少女は仕方なく、最後の3本のろうそくは絵ではなく赤一色に染めて家を出た。
人魚の少女はまるで猛獣を入れるような頑丈な檻に入れられて運ばれ、船に積み込まれた。

その日の深夜、一人の女がろうそくを買いに来た。女は3本の赤いろうそくを買って帰った。
翌朝、女が払ったお金は、貝がらになっていた。

見世物屋の乗った船は転覆し、人魚の少女の行方は知れない。

人魚の少女が売られた日から、神社に灯されたろうそくの火を見た船は沈むようになった。
人々はそれを怖れて神社にろうそくを灯さないようになったが、
それでもいつの間にかろうそくは灯り、船は沈み続けた。
港町はさびれ、自分たちの罪深さに気づいた老夫婦は商売をたたんで別の町に引っ越した。

—————————————————-
子供の頃、この話はアニメで見たので後味が悪いのは知ってたんだけど、
転覆した船から人魚の少女が逃れ、迎えに来た母人魚と再会して二人で仲良く
泳ぎ去っていくシーンが印象的だったんで、ここまで後味が悪い話だとは思わなかった。
檻に入れられてたら、逃げられないじゃないか……


123 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/07(水) 16:59:21
母親は人間を信頼して預けたのに、(人間は情け深い生き物だから
多少姿の違うものでもかわいがってくれるだろうと)、人間は娘を裏切り
そのせいで娘は海の魔的な存在に変わってしまったのだから後味悪い。

あと母は人間にあこがれてるというより、暗い海の底で
生きる人魚の運命が娘に残酷だから人間に預けようとしたんだと思う。


125 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/07(水) 17:38:02
人魚っていう怪異の要素を取り除けば、
「日照の短い凶作の寒村から、余裕のある商家へ娘を養女に出したが、
 何かトラブって養親から疎まれるようになった娘が郭に売られた」
みたいな感じか?

127 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/07(水) 17:53:29
>>125
養父養母とトラブって疎まれたというか、
人買いが娘を手放させるために嘘の密告を繰り返し娘に罪を着せた、って感じじゃね?

あと別に海の生活がキツくて命に関わるわけじゃあないっていうのも大事な点だな。
ラストで娘が海に戻ったところで、凶作の寒村ほどその後の心配はないだろ。

例えるならしつけの厳しい寺の女が、
娘にはポップでスノッブな生活を送らせたいと、米国加州西海岸に娘を養子に出す。
んで旅芸人の男がアジアンガールに雑技団の技を仕込みたくて、
万引きとか自動車泥棒の罪を捏造して養父母から引き離す、みたいな感じではないだろうか。
テキトー。


130 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/07(水) 18:03:45
しかし母親も猫を捨てておいて虐待されたら刺しに来るような
キチガイと同等の無責任ワガママだな。

人魚が娘を託す先を誤るように、人間も子どもを託す先を
誤るのだよという無限ループ。

 

小川未明童話集 (新潮文庫)
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