唄う骨(戸田誠二)

909 名前:1/3 :2010/09/04(土) 17:07:03
たぶん、グリム童話が元ネタだと思われる漫画。
だいぶ前に読んだのでうる覚えです。
改変されてるのかどうかは知らない。

「歌う骨」
ある所に年の離れた姉妹がいました。
他に親族がいない二人は貧しい生活を送っています。
姉は妹を育てる為、体を売ってお金を稼いでいました。
しかしながら、それも長続きはしません。
容姿が劣る姉は村人に飽きられてしまい、パン屋で働くようになるのです、
それでも、貧しいながら二人は幸せに暮らしていました。

数年の歳月が流れました。
姉は誰にも嫁いではいません。
成長した妹は姉と同じパン屋で働くようになりました。
妹はそれは美しく成長しており、どうやら恋人も出来たようです。
そんな妹を眺め、幸せに思うと同時に一抹の寂しく思う姉でした。

そんなある日の事、王様からある御触れが出ます。
「ある種の花を咲かせる事の出来た者には黄金を、若い女ならば
王子の妃に迎えよう」


910 名前:2/3 :2010/09/04(土) 17:08:19
姉はその花を育て始めました。
しかし、花は咲きません。
そのつぼみを眺めながら姉は呟きます。
「自分にそんな幸運が訪れるとは思ってはいなかったけど、やはり、悲しい」
ふいに姉は背後から声を掛けられます。
申し訳なさそうに姉に語りかける妹。その手には大輪の花がありました。
「この花はこの国の土では育たないの」
そして姉は妹の恋人が王子である事を知ります。
その時、姉の中で何かが壊れてしまいました。
傍らにあった石を拾い上げ、妹を殴りつけたのです。
「どうして、姉さん、祝福してくれると思ったのに」
そう呟き、妹は息絶えてしまいました。

王子の結婚式の日。王子の傍らには姉がいました。
花を咲かせる事が出来た褒美です。
しかし、姉は幸せそうではありませんでした。
ぼんやりと周りを眺める姉に、王子は妹の行方を尋ねます。
姉は言葉少なに、知らないと答えるだけでした。


911 名前:3/3 :2010/09/04(土) 17:09:36
数ヶ月後、相変わらず姉はぼんやりと日々を送っていました。
その頃から村で不思議な噂が流れ始めます。
誰もいない川原から悲しげな歌声が聞こえると。
「姉が私を殺した♪」
村人が掘り起こしてみると、そこには妹の亡骸が埋まっていました。
姉の罪が暴かれたのです。

姉は裁かれ、川に沈められる事になりました。
処刑の日、姉は王子に願います。
「どうか、妹と同じ墓に葬って欲しい」
それを王子が拒むと、姉は暴れ出し、妹の骨を喰らい始めました。
王子はそれを悲しげに見つめます。
そして、部下にそのまま沈めろと命じました。

(完)


914 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/04(土) 17:29:28
>>911
実は妹は姉に花をあげるつもりだったとかの設定なかったっけ。

918 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/04(土) 20:43:45
>>914
特にそういう設定ないよ。
妹は姉が過去に体を売って自分を養っていたことも、顔面コンプレックスの持ち主であることも知らない。
結婚したら離れ離れになるのは悲しいけど、それでも姉は喜んでくれるだろうと純粋に信じてた。
姉は「あんなブスが王子の嫁を狙うなんて」とpgrされるのが嫌で花を育てるのは隠れてやってたし。
申し訳なさそうに語りかけたのは、やっと咲いた花を見せにいったところ姉も鉢植えを抱えていたのを目撃して、
「えっ お姉ちゃんも王子と結婚したかったの ごめんこれ出来レースだったのに…」という戸惑いから。

元ネタの「歌う骨」だと似たエピソードだけど姉妹ではなく兄弟の話になってる。
漫画は確か「唄う骨」と表記が変わってた気がする


923 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/05(日) 00:39:21
日本の歌うしゃれこうべとは違って妹ナチュラルで嫌味な性格だな

姉はほんの少し冷静だったなら次期王妃の親族ということで
人生逆転とまではいかずとも安定した生活を送れた可能性が高いけど
プライドが許さなかったか


924 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/05(日) 02:08:18
プライドというより妹とずっといたかったんろ。
ただし妹が常に自分より劣るのが条件。気の毒な姉だが、第三者にとっては、
くるって地中に埋まっていた朽ちた骨をバリボリ食らうほどの異常者なら処分が妥当。
妹は姉のゆがんだエゴを薄々察していたんだろうが、それを否定したいがために
姉に花を見せ殺された。でなきゃ花を奪われないよう一目散で王家に自分の成果を届けるって。

925 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/05(日) 02:31:13
姉は妹みたいな一生を送りたかったんじゃないかな
誰かに守られて汚れを知らずに恋をして

幸せそうな妹を見て自分の不幸が浮き彫りになってしまったんだと思う

でも殺してみたら妹に幸せになって欲しくて頑張っていた自分のささやかな満足さえ手放していたわけで


926 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/05(日) 02:41:35
これが出来レースじゃなくて、妹が本当に自分の力で咲かせたんだったら、
姉は普通に祝福したと思うけどね。

言ってみりゃ、これって妹と王子に騙されてたようなもんだしな。
事実を知らされた瞬間には、知らなかったとは言え
「王子の妃になれるかも」なんて大それた夢を見てた事と、
それを妹に知られた事が恥ずかしかっただろうな。

時に羞恥は、怒りやら妬みやらを軽く超越して殺人の動機になったりするんだよ

 

唄う骨 (Bunkasha comics)
唄う骨 (Bunkasha comics)