彼女がその名を知らない鳥たち(沼田まほかる)

23 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 21:34:28.12
沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」
主人公は30代の女性。専業主婦というかニート。7年前に別れた彼氏のことがまだ忘れられずにいる。

主人公の内縁の夫Aは、50歳前の色黒チビで不器用・下品・過去に大手建設会社に勤めていたことだけが自慢の
下卑た関西弁の田舎者。昔の病気で、子供を作ることができない。主人公の元・ストーカー。

元カレBはスタイリッシュで細面の都会的な男だった。
主人公はことあるごとにBとAを比較し、うだつの上がらないAを「能無し男 種無し野郎」と罵倒する。
そんな目にあっても、Aは情けなく謝るばかり。
キモ男のくせに「俺はお前が一番大事、お前が幸せなのが生きがい」などと歯の浮くセリフを言うのがまたキモい。


24 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 21:35:40.42
主人公は新たな男Cと出会う。CはBを思わせる都会的なスマートな男だ。(ただし妻子持ち。)
ふたりはあっという間に不倫関係になる。
妻と別れて仕事もやめて君と放浪の旅に出たい。と心にもないことを簡単に言うC。うっとりとする主人公。
それを知ってか知らずか、じっとりとした目で見つめるA。
ふたりの関係が深まるにつれ、Cのまわりで何者かによる嫌がらせが起こるようになる。

ある日、Bが3年も前に行方不明になっていることが判明する。
怪しいところにずいぶん借金があったらしく、Bの妻はすでに生存をあきらめているらしい。
主人公はAがBを殺したのではないかと疑う。
そういえば数年前、夜中に風呂場で血の付いた服を洗っているAを見たような気がする。
あれはBの血だったのではないか?Aは危険な殺人鬼なのではないか?Cも殺されてしまうのでは?
主人公はバッグにナイフをしのばせるようになる。あの人だけは守らなければ。


25 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 21:36:25.48
とうとうCへの嫌がらせがピークに達した。鞄から重要書類が盗まれる事件が起きたのだ。
主人公が問い詰めると、Aは告白する。
「書類のことは知らないが、嫌がらせは自分だ。そしてAを殺したのも自分だ。
 お前がいつまでもAのことを忘れないから、山に呼び出して首を絞めて殺し、工事現場に埋めた。」
おびえてCのもとへ走る主人公。

ひさしぶりに会ったCは上機嫌だった。
書類が行方不明になったのはCの勘違いだったのだ。
「問題はなくなったし、さあホテルに行こう!そういえば妻がなかなか離婚届に判を押してくれなくてねえ、
 でもまあ今はそんなこといいじゃん。」
とノリノリなC。
その後ろ姿がBにかぶる。
主人公は無意識のうちにナイフをふりかぶっていた。


26 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 21:39:09.84
それを止めたのはAだった。早くどっかにいっちまえ!とAにすごまれ、情けない声で逃げるC。

結局、Bを殺したのは主人公だった。
Bと付き合っていたとき、主人公は彼の仕事のために狸親父の愛人をさせられていた。
そこまでして尽くしたのに、Bはいいとこのお嬢さんとあっさり結婚し、
B(あんな親父と関係を持った汚い女と結婚できるわけないだろう?)
抗議した主人公はボコボコに殴られたあげく道端に捨てられたのだった。

そんなことがあったのにもかかわらず、3年前にBは主人公を呼び出し、
自分の借金のためにまた狸親父と関係を持ってくれないかと頼んできたのだった。
B(そうしたら、今度こそ僕は君を愛せると思うんだ!)
発作的に刺し殺した死体を何の事情もきかずに始末してくれたのはAだった。
主人公はそのことを全部都合よく忘れてしまっていた。Aが嫌がらせをしたのも、
Bに似たCとの付き合いで主人公の記憶が蘇ってしまうかもしれないと思い、早く別れさせたかったからだった。


27 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 21:42:36.07
「忘れて暮らしていけるのならそれでいいと思っていた。
でも思い出してしまったなら仕方ない。お前の罪は全部おれが持っていく。その代わりお前はいつか子供を産んでくれ。
そのためにこうするんだ。この先、男の子でも女の子でも、お前の胎に宿るものはおれだ。どうか、おれを産んでくれ。」
そう言い残して、Aは高台から身を投げた。
そこで主人公はやっと気づいた。Aこそが、自分のたったひとりの恋人だったのだ。

28 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 22:01:58.42
とにかく主人公がクソすぎて…
この小説、全体の3分の1以上「いかにAがキモいか」ってことにページが費やされている。
読み終わって帯を見たら「究極の純愛!」みたいに書いてあってまた後味わるかった。

29 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/06(金) 22:41:10.84
確かにキモかったんだろうけど、それでもAは凄いな
そのせいでより後味が悪いとも言える

31 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 00:13:00.81
あ、ごめん >>25 AとB混ざってるとこがある

34 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 01:12:44.40
主人公がくそかはわからないけど
Aほど愛されても女性はなびかない物なのかね。

35 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 01:31:54.00
生理的にダメだったらダメなんじゃないかねえ。

36 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 01:35:34.43
男は相手の子が少し位不細工でも子孫を残したい本能が働いてカバー出来るけど、
女はより良い遺伝子を求める物だから一旦出来損ないだと判断したら受け入れるのは難しいと何処かの教授が言ってた
だから女がよく使う言葉で『生理的に無理』って感覚も、男には無いんだとか

38 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 03:04:37.90
ああなるほど・・・よく考えたら
女にとって子供作るって死亡リスクもあるし
一体一年かかって生涯数体しか作れないし
生物学的にモアベターしか受け入れないっていうのはわかる気がするわ

39 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/07(土) 10:40:00.32
Aは、常に痰のからんだ咳をゲボゲボするし、飯はくちゃくちゃ口開けて食べるの。
主人公は常にAに苛立っているんだけど、Aがめちゃくちゃにへこんでいるときには気まぐれに優しくする。
生理的嫌悪感もあるけどどっか奥底で愛もあったんだろうという描写。
でもAに100%養われてるくせにお金を不倫相手に渡したりして、なんだか都合のいいクソッぷりなんだよね。

 

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)