蝿(横光利一)

612 名前:本当にあった怖い名無し :2012/11/25(日) 11:48:13.37
横光利一「蝿」

舞台は戦前。山奥の田舎町の茶店に、乗り合い馬車が停まっている。
時間になると、御者は茶店の婆さんから蒸したての饅頭の包みを受けとり、馬車を出発させる。
空はよく晴れている。馬車の客には、駈け落ちらしい若いカップルがいる。
馬には一匹の蝿が付きまとう。
(途中の文章は忘れた)

山道で車輪が轍にはまり、バランスを崩した馬車は崖下に転落する。
土埃が収まる頃、人の呻き声も馬の嘶きも聞こえなくなる。
馬に付きまとっていた一匹の蝿が飛び立つ。

つまり全員死亡というわけで、救いのない話を教科書で読むのはこれが初めてだった。
初めてのハードボイルドでもある。

 

日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑75-1)
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
(岩波文庫 緑75-1)