女ホームレス

冬だったけど、キャミワンピ一枚にミュールはいて体型はガリガリ、髪は長くてボサボサだった。
見た目は20前後くらいだったと思う。
初めて見たときは、この世の人じゃないかと思ってマジでビビった。
でも駅から歩いてくる若い男の人に「タバコ持ってませんか」と話しかけてたから
ちゃんと生きてる人間だった。

駅近くの商店街のお祭りでもその女の人はいた。
屋台の人に「お金無いんですけどいいですか」と言っていた。
屋台のおっさんは「お金無いんやったらあかんわ～」と華麗にスルーしていた。
私は、この女の人はホームレスなんだろうかと思った。

ある日、またその女の人を見かけた。
少し離れたところにじいさんといってもいいくらいの歳のおっさんが立っていた。
彼女に向かって、コンビニのレジ袋を見せつけるように掲げていた。
野良犬に餌を見せつけておびき寄せてる嫌な感じがした。
女の人はそれをじっと見ていて、行くかどうか迷ってるみたいだった。
私は怖くなってその後がどうなったのか見ずに歩き去った。
おっさんが立ってた場所はおじさんの家の前だと思う。
体は家の方を向いていたし。

あの女の人は、しょっちゅうあんなことをされてるんだろうか。
若い人だったし連れ込まれたりしたんだろうかと嫌な想像をしてしまった。