楽園幻想物語組曲（Sound Horizon）

曲はそれぞれ独立してるが、時系列がバラバラに並んでいて
それをまとめると一つの物語になる

細かい部分が曖昧だったりする作風なので歌詞だけでなく、
PV･ライブの映像等からの引用や話を簡潔にするために
独自の解釈を交えてありますので苦手な人はスルー推奨

魔女エリスは自分の肖像画に
「見た者を自分に恋焦がれるようにする」という呪いを掛けて他界する
その肖像画を見た主人公の少年アビスはエリスに恋をして、
エリスを再びこの世に呼び戻す決意をする

ある日、森に住む魔女は一人の赤子を拾う。
育てているうちに鎮魂の才能を見出し、
二人きりの森の中で死者の魂を鎮めながら暮らすが
やがて年老いた森の魔女は他界してしまう
この赤子は実はエリスの子供で、
アビスはそれを突き止め年相応になったエリスの娘に接近する

「鎮魂の能力は純潔を守らないと失われてしまう」と
育ての親である森の魔女の言いつけを守っていたが
今まで一人だった寂しさからついアビスに口説き落とされてしまい
体を重ね、彼との子を身籠ってしまう
やがて出産したが、アビスは出産と同時に赤子を連れて失踪してしまう
利用されただけ、目当てが「エリスの娘」である自分だった事に気付いた彼女は
生まれてきた娘に呪いを掛けて、その代償として死んでしまう

生まれてきた娘にエルと名付けたアビスは、エルにエリスの魂を憑依させようとするが
呪いによってエルは生まれつき体が悪く、ただ生きるだけでも莫大な金が必要だった
慌てたアビスは魂を憑依させる事を中断し、金策に追われる事になる

アビスは血を流しながらも報酬の金貨を握りしめ、
なんとかエルの待つ家まで辿り着いたが扉の前で力尽きる
アビスの娘エルは今日は誕生日で
父親から絵本を買ってもらう約束をしたのを楽しみに、父の帰りを待つ
父親とよく話をしていた「楽園」の話に思いを馳せながら。

そして、扉の前に横たわる父の死体の隣でエルは楽しそうに会話を続ける。
「楽園って素晴らしい所なのね。そこにいけば私の病気も治るのね。早く行きたいなぁ」
エルが現実から目を背けている間に病状は悪化し、
エルは死んでしまうがあの世で「楽園」に辿り着く

楽園にいる妖精と一時だけ楽しく過ごすが、
実はそこは呪いのせいで強制送還された地獄
永遠に地獄を彷徨い続けるという過酷な運命を背負ってしまう

ちなみに、非業の死を遂げた少女たち
・クローン（的なもの）として生まれ
　兄に恋するようプログラムされていたが拒絶され心中した少女
・同性愛者だったが唯一無二の親友であり想い人でもある人に拒絶され心中した少女
・父親と恋をして子供を産むが父親を殺害してしまい、
　母親から恨みで殺されかけて相討ちで死んだ少女
・無実の妹を処刑され、復讐で村に火を放って自分も焼け死んだ少女
・恋人に裏切られて恋人と心中した少女
はそれぞれ独立した曲になっており、
曲ひとつひとつが後味が悪い上に死んだ後もパレードに引き込まれる

エルは楽園へ行けずに永遠に地獄を彷徨い続ける
アビスは既に地獄にいるエルの魂に気付かず、地獄の手前で永遠にエルを探し続ける
非業の死を遂げた少女たちも、後からきた者で地平線が埋まるようになっても
永遠にパレードから逃れられない

森の魔女とエリスの娘はそのパレードを見て嘲笑い続ける