わたり鳥は北へ(河あきら)
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549:本当にあった怖い名無し:2013/12/03(火) 00:10:07.31
- 河あきら「渡り鳥は北へ」
主人公は勉強嫌いな女子高生。
父が教鞭を執る超進学校に何とか引っかかるが、勿論勉強にはついていけず劣等生。
教育熱心でエリートの両親や、同じ高校に通う優等生の姉は主人公に厳しく辺り、
学校でも家でも息が詰まる思いをしていた。そんなある日、息抜きに街を歩いていた主人公は、
チンピラ風味の同年代の少年に声をかけられた。
少年は友人だと思って声をかけたのだが、勿論主人公は少年のことなんか知らない。
結局人違いであり、少年とは別れたのだが、
その様子を厳格な父親はしっかり目撃していたのだった。
たまたま声をかけられただけだったのに、
両親から「男と話すなんてふしだらな!」と長々と説教された主人公は
衝動的に家出してしまう。そこで偶然再会した例の少年に、主人公は頼み込んだ。
「お願い、私と一緒に逃げて。どこか知らないところへ一緒に逃げて」と。
困惑する少年だが、実は少年も訳ありだった。
少年はヤクザの下っ端として働いていたが、
トラブルを起こして拳銃を持ち出し逃亡中だったのだ。少年の事情を知った主人公は、狂言誘拐を提案した。
実家に電話を入れ、身代金一千万円を指定場所へ持ってくるよう要求。
主人公の父親は指定場所へ金を置き、
誘拐犯役の少年は見事に一千万円の獲得に成功する…が
それをかぎつけた元仲間のヤクザと鉢合わせし、ヤクザの1人を撃ち殺してしまう。
慌てて逃げ出す少年と主人公。追う警察官。そしてヤクザ。
かくして2人の逃避行が始まったのだった。
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550:本当にあった怖い名無し:2013/12/03(火) 00:11:17.00
- 目的地は東北のド田舎、母親が1人で暮らすという少年の実家だった。
最初はいがみ合っていた2人はなんだかんだで意気投合し、相思相愛の仲に。
そんな間に女子高生を誘拐し、ヤクザを射殺した逃亡中の男のニュースは全国に流れる。
行方不明扱いの主人公も顔写真がでっかく報道され、
泊まった先の民宿で通報されたりもするが、2人は何とかやり過ごして逃げ続けていた。一方主人公の家族は、
同情に扮した好奇の目にさらされており、苦痛の日々を送っていた。
「妹のせいで、クラスメイトから陰口ばかり叩かれる」
「ご近所さんも陰口ばかり。こんな目に遭うなんて、
あの子のせいで恥ずかしいったらありゃしない」
「男と長い時間を過ごした娘は、もう娘とは思わないほうがいいかもしれない…」
それでも世間体ばかり気にしている家族。そんなことは露知らず、逃げ続けている主人公達。
ひょんなことから車を手に入れ、ドライブ気分で移動をはじめる。
ある田舎で、路上の似顔絵描きに声をかけられ、気前よく似顔絵を描いてもらう2人。
2人は少年の実家へ、似顔絵入の絵葉書を投函した。しかし逃避行はそう上手くはいかなかった。
2人を描いた似顔絵描きには警察官が接近していた。
何も知らない似顔絵描きは、2人につい先日会ったと話してしまう。一方、主人公達を追っていたヤクザも2人に追いついた。
ヤクザと少年が華麗なカーチェイスを繰り広げるも、少年はヤクザに撃たれてしまう。
主人公の肩で息絶える少年。
少年の死を目の当たりにした主人公は、不慣れな車を運転し全力で逃げ出す。
自分たちは少年の実家まで、母親の待つ家まで行かなくては行けないのだ。そんな主人公の前に、警察の検問が立ちはだかる。
慌てた主人公はハンドル操作を誤り、猛スピードのまま車は壁に激突。
大破した車のフロンドガラスに血だらけの腕が覗いたが、
瞬時に力尽きたように腕は動かなくなった。数日後、東北の沿岸部、とある小さな家に1枚のハガキが届いた。
家人の中年女性は、ハガキの裏面にある我が息子と少女の似顔絵を見て
嬉しそうに微笑み、郵便屋と世間話をしている。
「この裏に描かれているのは、息子かい?」
「そうよ、東京で働いているのだけれど、今日にでも帰ってくるって。」
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552 :本当にあった怖い名無し:2013/12/03(火) 00:23:07.75
- 正直、逃走資金とはいえ
一千万苦労せずに得ようとするような主人公たちに
同情はあんまりできない
少年の母親のほうはまだかわいそうだと思うが