見えない手(中井英夫)
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889:本当にあった怖い名無し:2014/02/21(金) 16:52:03.30
- 中井英夫「見えない手」
彼女が鏡の前に坐るたび、右肩に誰かの手が置かれる気がする。
人影はないが、かすかな吐息が聞こえたようだ。
田舎の旧家ならともかく、ここは都会の高層マンションである。
その気配は無気味というよりむしろ親しげ。
彼女は鏡に向けて声をあげた。
「誰、何の用なの」
(…貴女は美しい)
吐息とともに本当に小さな声がしたように思った彼女は息をのみ、
内気な賛美者の前でスリップを滑り落としブラジャーに手をかけた。
「見たいのね、私の美しい身体を。見せてあげるわ」連日の会議疲れで早帰りした夫が老妻の痴態を発見したのは、
その数日後の事だった。
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890:本当にあった怖い名無し:2014/02/21(金) 18:34:36.02
- ご飯はまだかいの~みたいなボケ方とどっちがマシなんだろう