サマタイム(大島弓子)

284 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/03(水) 10:13:59
大島弓子の「サマタイム」が個人的には後味悪かったな

主人公は、もうすぐ同じ村の女の子と結婚する
その結婚式の数日前の夜、雷が鳴った
辺りは真っ暗に。停電らしい。雨も降ってきた
村の停電騒ぎに紛れ、婚約者に会いに行った
彼女は言う。この村が、この村の人々が大好きだと
二人は幸せだった

次の日、結婚式に来てくれるという新聞記者の親友を待った
しかし、親友は来ない。しかたないので、東京の親友の住まいを訪ねてみることになった

親友の部屋にはメモ書きがあった
「第三次世界大戦勃発」と書かれている
原爆を落とされるという時刻、日付も書かれている


285 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/03(水) 10:14:34
その日付は、あの停電の日
その時刻は、あの雷の時だった
雷だと思ったものは原爆だったのだ

雷が落ちたら、雨が降るはず。そう思っていた
だからあの時、雨は降った
この、彼の精神の世界に

そう気づいた彼が意を決してその部屋の窓を開けると
外には何もない、ただ真っ白な世界が広がっていた

気づくと、帰りの電車に乗っていた
自分を動かしているのは妄執なのだ、その自覚があった
親友は旅に出たと言おう
あさって、婚約者はうちに来るのだ――


286 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/03(水) 11:03:12
うーんと・・・婚約者だって実在するかどうかあやしいというオチ?

287 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/03(水) 11:08:35
婚約者は実在するだろう。
妄想が始まったのは雷=原爆以降だから。

後半を読むと妄想世界のように見えるが、
親友の家を尋ねて知らない事実を知るところを見ると幽霊のようにも見える。
両方か?


288 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/03(水) 11:54:02
はっきりと書かれてないんだよな
自分が幽霊で、原爆以後の世界は自身の妄想的な産物だっつーことだと思うんだけど

自分の妄執が作りだした世界に、それとわかってて帰るっていうのが、後味悪い
大島弓子という人が「ハッピーエンドの女王」の異名を持っているから、なおさら

 

ダリアの帯 (白泉社文庫)
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