されど罪人は竜と踊る(浅井ラボ)

517 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 12:22:00
鬱展開でラノベ界では名の知れた「されど罪人は竜と踊る」4-5巻から。長いが失礼。

呪式と呼ばれる魔法のような力を用いて何でも屋兼賞金稼ぎのような仕事を勤めている主人公、
ガユスはある時偶然から一人の記憶喪失の少女を助ける。
アナピヤという名のその少女は、自分を拾ってくれた女芸人の一座と共に旅をしていたが、
その一座がガユスと同様の呪式士の一団に襲われ、皆殺しにされたというのだ。
呪式士の一団の狙いはアナピヤ自身らしく、ガユスは少女を警察に受け渡そうとするが、
アナピヤはそれを強く拒む。ガユスに懐いた彼女は、彼に自分の過去を探す旅の護衛を依頼しようと言うのだ。
初めは拒否していたガユスだが、天真爛漫で懐っこい少女からの頼みに抗し切れず、
依頼を引き受け相棒のギギナと少女と共に旅に出る。

アナピヤの僅かな記憶の断片、優しい両親と姉妹のような親友の少女、共に暮らした町の情景を
頼りに調査を進めるも、その道中にも容赦なくアナピヤを狙う呪式士たちが襲い掛かる。
命を削るやり取りを辛うじて切り抜けながらも辿り着いた廃墟にて、ガユスたちはついに
アナピヤの過去を見つけた。しかし、それは少女の幼い身にはとても耐えられない、地獄の情景だった。
アナピヤと親友の少女、他何人もの「姉妹」たちは、その全員が「両親」の属した組織に生み出された実験動物。
全能に等しい強大な呪式の力を持つ最強の生物、竜と人との混血児だったのだ。
彼女の居た「町」はその実験場であり、「両親」は研究者。幼い彼女たちの精神安定のための
「偽りの親」でしかなかったのである。


518 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 12:23:36
初めは優しかった「両親」も、実験の結果が振るわなくなるにつれてその態度も実験の内容も
次第に残酷なものになってゆく。ついにはそれは「拷問」のそれとまったく変わらないものとなり、
「姉妹」たちも次々とその命を実験によって絶たれていった。
そして、一番の仲良しだった「姉妹」、親友の少女がアナピヤの目の前で
残酷にも「生きたまま解剖」されて殺され、狂気の淵にてアナピヤは泣きながら
実験の監督を務めていた「父親」に命乞いをする。
「良い子にするから、何でも言うことを聞くから殺さないで」と。
「父親」はそれに笑顔で応え、「姉妹」とは別の実験を行う、と宣言する。
それを聞いたアナピヤは安堵した。これで助かる、と。
しかし、彼女は直後、絶望に打ちひしがれることとなる。
「父親」たちは、「実験」と称してアナピヤの幼い体を犯したのだ。
愛していた父親や優しかった近所のお兄さん、おじさん、その他よく見知ったはずの男たちに陵辱の限りを受け、
アナピヤの精神はずたずたに引き裂かれる。それでも、これで助かるのならば、と信じた彼女に、
父親は絶望的な宣告をした。彼女を解剖しろ、と。
約束が違う、と叫んだアナピヤに、父親は告げる。「ひとたび別の実験を試みただけだ」、と。
そして彼女は刻まれた。
生きたまま頭蓋を開かれ、脳髄を掻き乱され、手を、足を、顔面を、腹を開かれ、筋肉を、骨を、内臓を暴かれ、
ずたずたのボロ雑巾そのものの姿にされた後、アナピヤはダストシュートに無造作に捨てられた。
そこで、彼女の僅かな生は終わりを告げる…はずだった。

519 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 12:25:04
しかし、「両親」や研究者たちにとって誤算であったことに、彼女は「唯一の成功例」だった。
彼女はその内に秘められた強大な呪力を発揮し、徐々にその体を再構築していった。
目覚めた彼女が外に出ると、そこに研究所の職員がいた。
その時の彼女には、周囲の人間の思考がまるで自分のもののように「読め」てしまっていた。
そして、自分を拒絶したその職員の死を望むと、彼はその望み通り「死んだ」。
そうして、彼女は出会った人々の思考を読み、拒絶されるやいなやその相手を「嫌い」、「殺した」。
その結果、研究所…「町」は一夜にして滅んだ。

自身の過去を知り、アナピヤは狂気に陥り、絶望した。自分を呪い、死を願うアナピヤをガユスは抱きしめ、
「俺がいるから。君を絶対に嫌ったりはしないから」と強く誓った。
ガユスの本心からの叫びを彼女は「感じ取り」、狂気の淵から立ち直った…かと思ったその時。
彼女を狙う呪式士の集団が再びガユスたちを襲う。辛うじて撃破したその時、その黒幕が現れた。

その正体は、死んだはずのアナピヤの「父親」だった。
彼女が殺した「父親」は彼の「生きた端末」の一つでしかなく、
彼は研究所の滅亡以降も彼女を追い続けていたのだ。
ガユスは身を挺してアナピヤを守ろうとする。が、その彼に、「父親」は一つの事実を告げた。
「アナピヤは、その呪力を持って無意識に他人の思考を「読む」。
そして、自分の望むままに相手の意識を「操る」のだ」と。
それを聞き、ガユスは愕然とする。
自分がアナピヤに対し抱いているこの「愛情」も、彼女が彼の思考を操り芽生えたものなのか、と。
違う、そんなはずじゃない、と懇願するアナピヤ。それを聞き、思わず「愛情を抱く」ガユス。
その思考の流れにおぞましさを感じた彼は、ついにアナピヤを否定してしまう。
そして、彼女を罵ってしまった。「化物」と。


520 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 12:26:47
全てを失い、唯一すがれる相手だったガユスに否定されたアナピヤは、今度こそ「壊れて」しまった。
ガユスを呪い、「父」を、「両親」を呪い、己を呪い、世界全てを呪った。
彼女を助けに訪れた「血縁」である「竜」の体を乗っ取り、
己と融合させ文字通りの「化け物」と変化するアナピヤ。
そして彼女は「父親」を瞬時にして滅ぼし、ガユスたちにもその牙を向ける。
彼女の慟哭に等しい狂気の笑い声を聞き、
己の思考の過ちに気付いたガユスは必死にアナピヤに呼びかけるも、
もはや彼女は一切の聞き耳を持たなかった。
猛攻を一切止めないアナピヤに、ガユスはついに彼女を手にかけることを決心する。
せめて、全ての悪夢を終わらせてやるべきと自分をむりやり説き伏せながら。
彼自身、命を落としかけながらもついにアナピヤの息の根を止める。
アナピヤの最後の言葉は、ガユスを呪う言葉だった。

アナピヤを殺してしまい悲しむガユスに、彼女に乗っ取られた「竜」が語りかける。
自分の命は尽きるが、最後の力を使いアナピヤを蘇らせる、と。
目覚めたアナピヤを、ガユスは強く抱きしめた。

…そこで、意識を失っていた彼は目を覚ました。全ては夢に過ぎなかった。
竜は、アナピヤに乗っ取られた時点で絶命していたのだから。

端折った部分にも鬱、というか後味の超悪い話たっぷり。シリーズ全体そんなノリだから、
好きな人はラノベだからと嫌わずにどうでしょー。


528 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 14:13:47
オチの意味がよくわからん。

すべては夢に過ぎなかった、ってどこからどこまで?
あとドラクエみたいな世界観と捉えてたけどそれでいいの?


529 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 14:22:36
>>528
分かりにくかったですね・・・失礼。
アナピヤを打ち倒すも、重傷を負って気を失ったガユスが見たつかの間の夢、です。

世界観的には技術体系が思いっきり違うだけで現代と大差なし。
携帯もあるし車も走ってるし、外科手術などは呪式がある以上現代よりはるかに高レベルです。
実際、不可思議な魔法の力などではなく、例えば火をおこすにしろ水を凍らせるにしろ、
人為的に化学反応を起こさせてるので化学式やら用語やらバリバリです。
ただ、人より強い知的生命体や化け物がいたり、こんな物騒な呪式技術がまかり通っているので、
治安水準は一昔前のニューヨークよりはるかに酷いありさまです。
毎日その辺で殺人事件、な世界観。

補足はこれくらいにしときます。くどくなるので・・・ 


534 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 15:23:19
され竜全巻読んでる俺が来ましたよ。まさかオカ板でこれのネタが出てるとは…
ガユっちがアナピヤたんを全力否定した理由にはもう一つ、てか特大の理由がある。
シリーズ中の重要展開の超ネタバレなので読みたい人だけどうぞ。

ガユスには心のそこから愛し合っている恋人のジヴーニャという女性がいた。
しかし、まっとうな職に付いた真人間なジヴにとって、ガユスの命の取り合い、
すり減らしあいなヤクザ商売を見守り続けるのはそれだけで苦痛に過ぎ、いい加減限界が近づいていた。
そんななかでアナピヤを拾ってきたガユス。あろうことか、狙われているアナピヤを護衛しつつ
また旅に出るとか言い出すガユス。
いくら可愛そうな身の上で、可愛い女の子からの頼みとはいえ、いやむしろ可愛い女の子の頼みで、
また命がけの仕事をほいほい請けるガユスと大喧嘩。そのまま喧嘩別れしてガユっち旅に出発。

その後、旅の途中、物資の補充で立ち寄った町にて、偶然出張に来ていたジヴーニャと再会。
しかしそこで、ガユスは彼女が見知らぬ男とホテルから出てくる現場をばったり目撃してしまう。
問い詰めると、あっさりその男、彼女の同僚と寝た、と告げるジヴーニャ。
「それがどうした。あなたに関係あるのか」「あなたと違う、誠実で優しい堅気の男だ」
「あなたを心配し続けるのはもう疲れた」とけんもほろろに突っぱねるジヴーニャ。
ガユスはなにも反論すら出来ず、その場で見事に三行半を叩きつけられる。

しかし、実のところジヴーニャとガユスが極端にイライラして、お互いを許せなくなったのには
アナピヤの無意識能力が関与していたわけで。
その時点でガユスに惚れかけていたアナピヤが、無意識にジヴのイライラを誘い、
ガユスとケンカさせた、というのが真相。自業自得の部分はでっかいが。
これに気付いてしまったせいで、ガユっちはアナピヤたんを全力投球で否定する羽目になったわけだ。

結局、全てが終わった後でも一度破綻した男女が元鞘になるわけはなく。
二人とも、それでも互いに想ってはいたが、連載5巻かけて育んできた関係に終止符訪れてしまいましたとさ。


536 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/08(月) 16:02:47
>>534
なるほど……ナイス補足
でもそのアナビヤの気持ちは、女の子として仕方ない事だなあ
意識してなかっただけ、彼女は純粋だったというわけだね。
普通なら知られずにいられる気持ちなのに、可哀想だ。
切なさが倍増したよ。ありがと

 

されど罪人は竜と踊る 4 (ガガガ文庫)
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