復活の日(小松左京)

373 名前:1 投稿日:2007/03/06(火) 18:27:34
何だっけ、小松左京の。復活の日だっけ?
あれ思い出した。

ある国の秘密研究機関から研究員が一つのウィルスを持ち出す。
研究員はウィルスを他国の研究者に渡して欲しいと望んでいたが、
(人類を破滅させるウィルスを作ったことに自責の念を感じ、
他国の研究機関にウィルスを渡して抑止力になるウィルスを作ってもらおうとした)
取引相手は金になる相手に売ると奪い取っていく。
絶望して責任を感じた研究者は自殺、取引相手が乗っていたヘリは吹雪に見舞われて墜落。
ウィルスは付近一帯に撒き散らされる。

翌年は奇妙なインフルエンザの流行で幕が開いた。
輸送機関が整った現在、世界の隅々までウィルスが広まるのに時間はかからなかった。
そして世界各地で謎の突然死が広まる。
しかしこの2つを結びつけて考える者は誰もいなかった。


374 名前:2 投稿日:2007/03/06(火) 18:28:59
世界各地で人が倒れていく。最初は熱が出て咳が出てよくある風邪にしか見えないが、数日後には死んでいる。
医療の最前線にいる人たちは真っ先に異常事態に気づく。
しかし気づいても打つ手がない。押し寄せる患者を捌くのに手一杯で危機感だけを募らせていく。
人類が真の意味で危険を感じた時には遅かった。
病院は通路にまで患者が溢れ、仕事に従事した医者は白衣を着たまま死んでいく。
政府もライフラインも麻痺し始めた。官僚も首相も技術者も、代わりの人間がどこにもいないのだ。
原因を究明できそうな医療機関や研究機関もすでに人が残っていなかった。

そんな中、真相に気づいた米国研究員がいた。盗まれたウィルスを最初に調べていた研究員だ。
(冒頭の国は米国から盗まれたウィルスを買い取って研究していた)
彼は人類が滅亡する前に事態を公表しようとするが、人類滅亡の危機に瀕してもお国最優先の体制に処分される。
しかし最後に事実を一人の医師に伝えた。医師は更にその事実を世界に向けて発信した。
すでに感染していた医師は、死んだ後にも事実を残すためにテープに吹き込んだ内容を繰り返し発信し続けた。
(1960年代の小説だからネットはない。一般家庭にはパソコンもない。無線をひたすら打ち続けた)


375 名前:3 投稿日:2007/03/06(火) 18:29:44
唯一生き残った人々はメッセージを受け取った。
南極基地に勤める隊員達だ。彼らを除き人類は滅亡した。
人類滅亡の謎は解けたが、各基地の隊員達は国にも帰れず陸地を見ることもできず
南極で生きていく道を選ぶしかなかった。
数年後。世界各地で大地震が起こる。それは最悪の事態を引き起こした。
地震により基地が崩壊すると基地間の通信が途絶える。
基地に異常事態が起こったと察知した防衛システムは核の全自動報復装置を発動する。
それは米国だけではない。ソ連(1960年代だから)にも存在する。
人類の滅亡した地球上で核が飛び回る。
そして核弾頭の一つは南極にも向けられている可能性がある。

集まった隊員達の中から決死のメンバーが選ばれた。
米国とソ連へ赴き報復装置のスイッチを切るのだ。
決死隊には片道切符しか用意されない。地上へ上陸して感染した者は二度と帰ることはできない。
選ばれた隊員達は任務を果たそうとしたが間に合わなかった。ミサイルは発射される。


376 名前:4 投稿日:2007/03/06(火) 18:30:58
しかし最悪の事態は奇跡を起こした。
世界各地で発射された核ミサイルにより、ウィルスが変質したのだ。
地上に蔓延していた死のウィルスはただのインフルエンザウィルスに戻っていた。
ってお話。

人類滅亡させるくらい強力なウィルスを開発して、でも強力すぎると危険だから
実用に耐えうるくらい弱いウィルス兵器を作ろうと研究したとか
現場の人間は死にものぐるいで支えているのに、上はのほほんとしてるとか
そういう事態になっても人類滅亡より自己保身とか体制のことしか考えられないとか
建物は破壊せずに生き物だけ殺す非道な爆弾が人類が地球上に戻るきっかけになるとか
全編どうにも言えない気持ちになるエピソード満載の小説だった。
インフルエンザ流行ってる季節に読むのをお勧め。ガクブルできるよ。


377 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 19:55:13
>>376
結局、南極で生き残ってた人たちも死ぬの?

378 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 20:01:08
376じゃないけど。
>>377
生き残ります。若い女性隊員が十数人いたので、子供も生まれてる。

379 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 20:02:35
ミサイル発射阻止に向かった主人公が中性子線だかの影響で
精神障害起こしちゃうラストは後味悪い。

381 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 21:15:06
>>379
映画の方では阻止しに行った人も徒歩で帰ってきてたよ。

なんか潜水艦で海底の調査とかしてて、
浮上したら陸の皆は死んじゃってたりするんだよね。
廃墟になった街の映像に軍艦島を使ってて、
軍艦島に一度行ってみたいってすごい憧れたなー


382 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 22:40:55
あーもしかして草刈正雄が
夕日をバックにぼろぼろの格好で歩いてきて
出迎えたオリビア・ハッセーと抱き合うやつかな?<復活の日

383 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/06(火) 23:06:38
>>382
そのシーンだけ妙に覚えてる
そうか、そういうシーンだったのか

438 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/03/08(木) 19:55:44
>>373の話ってところどころにイラッとさせる場面が出てきてより後味が悪いんだよな。
例えば防衛システムは馬鹿な将軍が、今世界で起こってる原因不明の病気はソ連がやった事だ、と
大統領に報告したせいでセットされた。
解除しに行った二人のうち一人のアメリカ人が倒壊してきた建物の下敷きになって
もう一人の日本人に「解除してくれ」と頼む。しかし解除ボタンを押す寸前でミサイル発射、とか

 

復活の日 (ハルキ文庫)
復活の日 (ハルキ文庫)