石の血脈(半村良)

175 名前:石の血脈 1/4 投稿日:2007/05/10(木) 21:24:07
半村良の石の血脈。

建設会社の若手エリートA男は美人の嫁さんB子をもらって仕事も順風満帆絶好調。
戦友の下請け会社社長C男と手を結んでのし上がる気まんまんだ。
が、業界の主と言われるオッサンの遺品整理を引き受けたことから歯車が狂い始めた。
B子の様子が日に日におかしくなるが、A男が尋ねても何も言わない。
とうとうB子は失踪した。大あわてで探すが見つからない。
遺品整理を始めてから様子がおかしくなったのは確かだ。
両者が関係すると睨んだA男は更に調査を行い、ある人物に行き着いた。

屋敷を訪れたA男を待っていたのは、かつての恋人D子だった。
D子はA男と愛し合っていたが彼女は大金持ちの娘。
庶民のA男とは結ばれることなく海外へ旅立ち、二人の関係は終わった。
いつの間にか日本に帰っていたD子は、実は吸血鬼で仲間を増やそうとしていた。
容姿端麗で有能な人物をターゲットに仲間を増やしており、A男とB子夫妻にも目をつけたのだ。


176 名前:石の血脈 2/4 投稿日:2007/05/10(木) 21:27:14
D子の体におぼれたA男は妻も仕事もどうでもよくなってセックス三昧の日を送る。
さんざんセックスにふけった後、A男はD子から命令を受ける。
D子はまだ完全な吸血鬼ではない。A男やB子も同様だ。彼らは大量の血液を摂取した後で体が石化する。
数千年の後、石化が溶けた時はじめて不老不死の吸血鬼として蘇る。
吸血鬼達が石化している期間、安全に眠れる避難所を必要としていた。
A男は避難所建設の指揮を執る。

避難所の建設が進むにつれて仲間は増え、血液が足りなくなってくる。
血液バンクを偽装して集めていたが追いつかなくなり、とうとう人を襲い始めた。
C男も襲われていた。不細工なC男は吸血鬼の仲間には入れず殺されてしまう。
が、自分は選ばれた特別ちゃん・下等な人間とは違うのだよと有頂天なA男は元友人など歯牙にもかけない。

ある日、D子は一人の男を仲間として招き入れた。A男の親友であり、かつてD子が愛した男E男だ。
実はD子にとってA男はアウトオブ眼中だった。彼女が愛していたのはE男だ。
しかしA男の気持ちを知っていたE男はD子の求愛を拒んだ。
自棄になったD子は当てつけにA男と寝て海外へ旅立った。


177 名前:石の血脈 3/4 投稿日:2007/05/10(木) 21:33:29
事実も知らず、A男は「D子と俺は相思相愛。でも身分違いで引き裂かれた」と思いこんでいた。
しかもA男を仲間に引き入れたのも、会いたかったからでも能力を買ったのでもない。
親友のA男が失踪すれば必ずE男が探しに来ると賭けていたのだ。A男は単なる囮だった。
D子の真意を知ったA男は愕然とし、逆恨みからE男の婚約者F子を吸血鬼にした。

一方、D子は悲嘆に暮れていた。E男は希に存在する吸血鬼不適合者だった。
不適合者は吸血鬼にならず人狼となる。やがて知能は劣化して命令を聞く木偶となりはてる。
E男を吸血鬼にして共に生きる望みを絶たれたD子は自棄になって計画を早める。

E男も絶望していた。昔ふった女に変な体にされて天職と思っていた仕事ができなくなった。
捕まって逃げ出すこともできないし、助けに来た親友A男は嫌な男になっている。
しかも無関係のF子まで八つ当たりで吸血鬼にされて踏んだり蹴ったり。
だがE男は諦めなかった。他の人狼と協力して吸血鬼を根絶やしにする計画を立てる。
やがて避難所が完成し、体が石化しはじめた吸血鬼が安置されていく。
全ての吸血鬼を安置し終えた後、避難所を封鎖すれば全ては終わる。
そこで突如人狼達が暴れ始めた。ほとんどの吸血鬼は動けないまま砕かれていく。


178 名前:石の血脈 4/4 投稿日:2007/05/10(木) 21:36:22
初めてA男は恐怖する。
選ばれた自分は不死身になるはずだったのに、このままでは砕かれて死んでしまう。
石化しかかった体を引きずりながら半泣きでA男は逃げ出すが、E男が立ちふさがる。
A男が砕かれる寸前、石化したB子が間に入りA男は助かる。
B子が砕かれるのを見捨てて、A男は一人逃げ出した。

しかし外に出たA男は絶望する。吸血鬼は日の元では生きられない。
照りつける太陽に焼き殺される寸前、A男は救われる。
すでに石化を終えた吸血鬼達が顛末を見届けに来ていたのだ。
日本での吸血鬼化計画は失敗、D子を頂点とした吸血鬼予備軍はA男を除いて全て破壊された。
人狼も避難所に閉じこめられたまま死ぬだろう。
彼らはこれも運命と割り切り、自力で生き延びたA男だけを救って去っていった。

途中から最悪なやつに転がり落ちるのに、A男だけ生き延びて他は全滅('A`)


179 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/10(木) 23:01:16
C男の最期が男らしいというか、人間らしくて唯一そこだけが救いだった。

180 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/10(木) 23:34:13
E男じゃね?

181 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/10(木) 23:41:39
>>179
C男は不細工だからって理由で殺されただけだぞ?

183 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/11(金) 00:17:10
>>179,181
省いたけど、C男はいいやつなんだ。
嫁に引き続きA男まで戻ってこなくなって、きな臭い匂いを感じて調査を始める。
その過程でE男とも会って情報を交換する。
E男はD子の贔屓なので情報を手にして中心部に近づけるが、
C男は不細工なので詳しい情報は全く手に入らず、そのうちE男まで失踪する。

更にC男の会社にも圧力がかかって仕事がなくなる。
それでも孤軍奮闘していたがとうとう立ちゆかなくなって会社を畳む。
心機一転ラーメン屋の親父になって、A男を捜し続けて頑張ってる中、
吸血鬼達に襲われて「お前らが諸悪の根源か。殺すなら殺せ!」みたいな啖呵を切って殺される。

 

石の血脈 (集英社文庫)
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