梓弓執りて(西村寿行)

52 名前:1 投稿日:2007/05/27(日) 08:11:36
西村寿行の小説「梓弓執りて」
元になった短編「追いつめられて」も読んでるので、ごっちゃになってるかも。
読んだのが昔でうろ覚え箇所が多いけれど、投下します。

主人公の徳田は、医者。
勉強熱心で、自信に満ちた徳田は患者にも慕われている。
ある時知り合った、人に心を開かないヤクザの男(名前は忘れたので山田(仮)で)
にも気に入られてしまう程だ。

そんな徳田の元に重傷を負った山田(仮)がやってくる。
山田(仮)は徳田の腕を信じ、手術を受けるが
なんと徳田は手術に失敗、山田(仮)は呼吸すらおぼつかない状態に。
(確か肺に傷を付けたとか、肺のひとつを駄目にしたとか、そんな感じ)

実は徳田は無免許医だった。
無免許医である事に対する罪悪感からか、徳田は人一倍勉強熱心だったのだ。
怒った山田(仮)は徳田に復讐を誓う。徳田、ピンチ。


53 名前:2 投稿日:2007/05/27(日) 08:12:33
奥さんを寝取られたり(激しい運動をすると死ぬ程苦しい(つーか死ぬ)筈なのだが
何故か妙に絶倫な山田(仮)…)、逃げる先で女を作ったり、と
徳田の人生は一気にカオス化する。
その後は何度か捕まりかけたり、懇ろになった女を寝取られたりする。
毎回、何故か自分が無免許医である事がバレたりと屈辱に塗れる日々を送る徳田。
ある時は出会った女のお陰で「つーかムカつく!ひどくね!?」と復讐を決意したりする。

ラストは無医村(医者の居ない島だったかも)に逃げ込む徳田。
住民に感謝されたりしつつ、山田(仮)も追ってこないので、
「さすがにあいつも死んだかな?」と楽観視し始めた所、山田(仮)登場。

で、結局山田(仮)は無理をしすぎた所為もあり、徳田の前で瀕死の状態に。
住民達が見守る中、山田(仮)は徳田に向かって「このヤブ医者が」と言って絶命する。
徳田は「ヤブ医者か…。なんでこいつ、無免許医が!って言わなかったんだろう。
無免許医が、って言われたら俺の人生破滅してたな」と思って終わり。

いや、ちゃんと読むとかなり引き込まれるし、面白いんだけど
山田(仮)、かわいそう過ぎるんじゃ…と思った。
そりゃ徳田の奥さんを寝取ったり、徳田といい感じになった女を寝取ったりしたけどさ。
医療ミスで亡霊の様な身体にされた挙げ句「僕、無免許医でした」じゃ腹も立つわなあ…。


59 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/27(日) 16:04:02
>>52-53はいい話に思えた
えんどコイチの死神くんとかにありそうな話

60 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/27(日) 17:00:19
>>52-53
思い出したけど、その無医村の人々が不気味だったような記憶があります。
やっとgetした医者を逃がさないぞ、的な。

67 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/27(日) 21:47:54
>>53
山田はあえて「無免許医が!」って言わなかったみたいにとれたんだけど、
そういうわけじゃないの?
もし山田が怨みを持ち復讐したい気持ちがありつつも、
一度は仲良くなった徳田を憎みきれない気持ちもあって最後はそうやって
徳田が無免許って明かさなかったのかと思った。
だとしたら徳田の鈍感さがますます後味悪いw

70 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/28(月) 01:38:18
ごめん、あまりにもはっちゃけた文にしすぎたみたいだorz
混乱させてごめんなさい。
実際に読むと、一種の友情みたいなものすら感じるいい話なんだ。
ちなみに「男根様!」の人です。バリエーションとしては「あるじ様!」
「お尻様!」「坊や様!」等。電車に乗って…は分からない、ごめん。

>>60
長編ではそうだった気がする!
短編とごっちゃになってるようで申し訳ないorz

>>67
勿論、そう言う事なんだ。
徳田もそう言う山田(仮)の気持ちには気付いていると思われる。

でも、山田(仮)は別段、徳田に悪い事をした訳でもないのに
医療ミス(でいいのか?)で亡霊の様な身体になって
(勿論、仕事もできないと思われる)せめて死ぬ前に復讐を、と考えたのに
結局復讐出来てないなんて…と勝手に後味悪くしてしまった様だ。
ここに書いていて思ったんだけど、山田はもう充分復讐したと考えたのかも。
(妻を寝取ったり、逃げる徳田を追いつめて、男のプライドをズタボロにしたりしたし)


71 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/05/28(月) 02:01:40
>>70
乙!
男根様、自分が読まないエリアの作家なので
(失礼ながら、名前すら知りませんでした。)
なんかどれも新鮮で面白かった。

 

梓弓執りて (光文社文庫)
梓弓執りて (光文社文庫)