崩れる(貫井徳郎)

261 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 21:49:59
こないだ読んだ貫井徳郎の短編集「崩れる」より表題作を

主人公はパート主婦。
暑い日に残業を命じられ、へとへとになった目の前を帰りのバスが行く。
何で?まだ時間早いじゃん!と走って追いつくと、出した定期は切れていた。
慌てて財布を取り出すと一万円札しかない。
運転手は面倒臭そうに「お釣ないからどっか行って崩してきて」と言って扉を閉める。
次のバスが来るまでにちょっと離れたスーパーまで行って買い物し、小銭を確保して次のバスに乗る。
帰宅するとクーラーがんがんにかけて夫はゴロ寝。
なのになぜかやかんはかけっぱなしでサウナ状態、おまけにクーラーかけてるのに窓は開いてる。
夕立があったらしく、洗濯物が濡れているが誰も取り込もうとしていなかった。
イライラしながら主人公がごはんの用意をはじめると、息子と夫が喧嘩を始める。
「ああ、うるさい」と思う主人公。

夫は昔画家だったが、性格に問題がありほとんど働かない。
エロ小説の挿絵を書いたりしてるがそれも不真面目なためほとんど収入がない。
役立たずで目先の問題からすぐ逃げ、ずるずる無収入を続けている。
息子だけはそうはするまいと勉強させ、いい大学を出していい会社に就職させたが
「アニメーターになりたい」とかほざいて数ヶ月で会社を辞めてしまう。
専門学校に行きたいから金を出してくれと言うが、そんな金はどこにもない。
結局、家の中は無職の男二人がごろごろしている。
主人公はずっとパートで生計を立て、今住んでいる団地も自力でゲットし息子を大学にもやった、事実上大黒柱。
なのに残業で疲れて帰ってきても家事は誰もやってくれず好き放題言われ、こきつかわれる。
息子も口だけは立派に父親を罵っているが、正直父親そっくりになってきた、と主人公は思う。


262 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 21:51:02
夕方になっても暑い。狭い団地の部屋で、何の役にも立たない男たちはやかましく喧嘩を続けている。
夕飯は素麺がいいと言う。汗だくになって帰ってきた私にまだ汗を流せと言うのか。
日頃からよく研いである包丁はうっとりするほどよく切れる。
まず息子。それから夫。脂肪にまみれた夫の腹のせいで包丁はあまり切れなくなってしまった。
結婚以来口にしたことになかった言葉を口にして主人公は微笑んだ。
「ああ、さっぱりした」

自分のしたことについて反省する気持ちはありますか、と聞かれて主人公は答えた。
「あんな家族ならもう二度と欲しいとは思いません」

作者は男性なんだが、女のイライラが実によく書けてて正直怖い。
「結婚にまつわる八つの風景」というサブタイトルも効いている。


263 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 22:00:06
チュプはそういうの好きだよな

264 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 22:03:33
ニート2匹めでたく始末されて後味すっきりじゃん

265 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 22:51:22
いくら「さっぱりした」という言葉を口にしても

自分が中古品だという事実には変わりがないんだよね


269 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/25(土) 23:12:55
作者が男性なことに驚き
こういうところに視点がいく男もいるのか

275 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/26(日) 00:16:13
>>261-262
女手一つで無職二人を養うくらい稼いでるのに、何で離婚しないんだ…

無職で夫に養ってもらってて、それでイライラしっぱなしで
何でも周りに責任転嫁して「私って不幸」と酔ってるなら「ああ女だ」と思うけど。
女は自分の手に職があるなら、とっとと男を追い出すんじゃないかな?


276 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/26(日) 00:19:45
そのへん男の発想なのかもな

278 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/26(日) 02:31:10
>>265
社会人の子供がいるような歳って事は40過ぎだろ…
中古だろうが新品だろうがもうどうでもいいっていうか、
40の新品の方が返って怖いじゃないか…

 

崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫)
崩れる 結婚にまつわる八つの風景
(角川文庫)