おねえちゃん(歌野晶午)

520 名前:歌野晶午「おねえちゃん」1/2 投稿日:2007/09/25(火) 22:35:55
ちょっとうろおぼえなので脳内補完して書きます。

両親と大学生の姉と高校生の妹の4人家族の家に、
母親の妹である叔母が次女に呼ばれてやってくる。
家には次女が一人だけ、家族は留守らしい。

叔母の手土産のケーキを食べながら次女は自分が両親に愛されていないと話し出す。
自分はテストで85点をとっても、そんな点数じゃ東大や早慶は無理と怒られ、
箸の使い方を間違ったなどのちょっとしたことで毎日のように手を叩かれたりつねられたりする。
最初は自分に悪いところがあるからだと思っていた次女だったが、長女は点数が悪くても怒られないし
自分のように厳しくしつけられたりもせず、大学もそんなにいい大学ではなかったが
合格祝いにブランド物のバッグを買ってもらっていた。
そして家族のアルバムには長女の小さいときの写真はあるが、次女の小さいときの写真はない。
次女はだんだん自分が貰われっ子なのではないかと思い、家出を考える。

そんなある夜、次女は両親がひそひそ話しているのを聞いてしまう。
移植、おねえちゃん、等の単語をつなぎあわせて次女はある結論にたどりつく。
自分は長女のドナーとなるためにつくられた子であったのだと。
そういえば小さいとき自分はいつも病院に連れて行かれて、検査や注射をされていた。
自分は長女のドナーとなるためだけに生まれてきた子、
だから両親は自分を愛していないのだと考えるようになる。

叔母はその話を否定するが、次女には受け入れられない。
次女は叔母に助けて欲しいという、こんなこと初めてでどうしたらいいかわからないのだと。
次女が襖を開けると、そこには両親と長女三人の死体があった。

その日次女が家に帰ると両親と長女が三人で楽しそうに笑いながら、
先日長女が行った旅行の写真を見ていた。
次女が話しかけても返事もない。
楽しそうな長女と両親の姿を見て、逆上した次女は母親を包丁で刺す。
母親を刺している間父親と長女は呆然と座り込んでいたので、
残る二人も簡単に刺し殺すことが出来た。


521 名前:歌野晶午「おねえちゃん」2/2 投稿日:2007/09/25(火) 22:36:49
次女は高校はやめないといけないよね、
これからどうしたらいいんだろうと言いながらケーキを食べている。
両親には悪いことをしたと思っているようだが、
長女に対してはおねえちゃんは私のおかげで命が助かったんだから
わたしのせいで死んでもいいよね、と言う。
そんな次女を見ながら叔母は思う、あなたがおねえちゃんなのよ、と。

次女は移植する方ではなく、移植される方だった。
次女の病気を救うために両親は3番目の娘を産んでいたのだった。
移植は成功したが、三女は移植とは関係のない不慮の事故で死んでしまった。
次女がもしこのことを知ったならショックに違いないので
このことは彼女が大人になるまで黙っていることにした。
アルバムに次女の小さい頃の写真がないのは
小さい時の写真には三女も一緒に写っているので隠していたのである。
母親は次女に三女の分も立派に育ってもらいたかった。
そして次女を救うためだけに生まれてきたかのような三女のことを思うと
これで良かったのか自分を責め、ついつい次女につらくあたってしまうこともあった。
そんな時母親は父親に自分の気持ちを打ち明けて相談していたのだが、
その話を聞いて次女は誤解してしまったのだ。

死体を隠すのは無理だろう。
真相を隠せるだろうかと考えるがきっとそれも無理だ。
家族を殺した理由を調べられたら、真相はすぐにわかってしまう。
目の前でケーキを食べている次女はこの事実を知った時にどうなってしまうのだろう。
そう考えながら叔母がもう一つケーキを食べようとするところで終わり。


525 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 01:52:37
>>520
次女の誤解が原因とはいえ、
事件直前に家族3人で次女を無視したのは事実だし、
長女が甘やかされてるのも事実だし、
次女はネジ飛んじゃって普通にケーキ食ってるし、
おばちゃん死体の横で2個目のケーキ食ってるし、
どいつもこいつも歪んでてモヤモヤする。

526 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 02:23:21
うん、話し掛けてるのに無視するとか、次女にも三女にも失礼だよね。
それに甘んじてる長女が一番歪んでる。

528 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 02:51:35
520じゃないがフォロー入れると、無視したのではなく
話のタイミングがかみ合わなかっただけだと叔母は考えてる。
次女はかなり病んでるし実際そうかも。

また、次女は叔母である自分に相談すればいいが、
叔母自身は誰に相談すりゃいいのとヤケになってる。
警察に知らされるより、自分が伝えた方がショックは少ないだろう
だがどう言えばいいのか…と。
長女は話に絡む割には描写が少なく、妹にどう接してたか等は不明。

ついでにこの話は短編集「ハッピーエンドにさよならを」に収録されてます。


529 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 03:22:40
次女が精神的にかなり病んでるとすれば
「家族が自分を無視して旅行の話~」の件も次女の被害妄想と考えることもできる、か
こんなとこで脳内補完してもしゃあないんだが

>>528のタイトルはバッドエンド好きには魅力的だww
歌野昌午って未読だったけど、チェックしてみようかな


530 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 03:55:20
おにいちゃん…

531 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/26(水) 06:55:18
次女が精神的に病んだのも両親のせいだし次女に罪はないな

 

ハッピーエンドにさよならを (角川文庫)
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