あと五十日(星新一)

684 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/05/30(金) 18:50:51
だれだっけな・・・。ものすごいトラウマ。

中年の男が部下とともに帰宅途中、背の高い黒ずくめの男が
男に「あと50日です」と声をかけられる。
誰かと思い、部下に確認するが見ていないと言われ、疲れただけだろうと
思いそのまま帰宅。だが次の日も黒ずくめの男に「あと49日です」
と声をかけられる。また次の日も言われたので、男は問い詰める。
黒ずくめの男は、にやけながらボソっと
「死神と考えてもらってかまわんよ。」

次の日から、男は病院へいって診てもらう。
しかし、異常なし。死神にそのことを伝えると、
「病気で死ぬとは一言も言っていませんが・・・」
確かにそうだ。事故、通り魔で死ぬことがある。男は気になり、
次は神社へお参りに行く。死神は
「願うだけで助かるのならば、苦労はしません・・・」
助かる手段がなくなった男。しかし死神のカウントは刻々と迫ってきている。
そこで男は忘れることにし、海外旅行にいくことにした。
さすがにそこまで死神は追ってこず、男は旅行を満喫した。


685 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/05/30(金) 18:51:35
「お楽しみのようでしたね。ですがあと14日ですよ・・・」
帰国早々、死神はやってきた。一気に現実に振り戻された気がした。
男の妻は、近頃の男の奇行に疑問を持ち男にどうしたのか聞いた。
いまさら隠しておいても仕方がないだろう。死神のこと、自分があと
2週間も生きられないこと、すべて打ち明けた。
妻、息子はそのことに驚嘆し、パニックになったが
男は運命だから仕方ないとなぐさめた。どうやら理解してくれたようだ。

それからの2週間、男は近辺の整理をした。
自分の会社へ部下の態度報告・状況といった、部下に恨まれるような
ことをすべて社長に報告した。
会社にいづらくなるのでは?と心配されたが、
あと少しで死ぬのだから関係なかった。
死後の家族のために保険金をあげておき、死亡届出も印刷した。
そうしているうちに、死神のカウントはあと1日となった。

男は最後の食卓を家族全員で囲んだ。
今までの思い出話で盛り上がった。
そして最後だからと妻に旅行に金をつかってしまったことと
浮気をしたこと、それから息子に日記を見てしまったことを謝った。
2人は、自分も浮気をしたし、財布からお金をとったからおあいこだ。と男を許した。
夕飯がおわり、男は寝室へあがった。
「お別れだ。明日の朝、死亡届出をポストに入れておいてくれ。」
2人は泣いていた。
男は薬を飲み、床に就いた。しばらく寝たようだった。
まだ12時前か、と時計をみた。


686 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/05/30(金) 18:53:40
A.M 3:00。
もう次の日になっていた。
「第一日でございます。」死神は元気よくいった。
どういうことだとたずねたが、死神は
「私は『構わない』といっただけです。『死神です』と断定はしていません。」といった。
まったく人騒がせな・・・。男は腑におちず、ブツブツいっていた。
すると黒ずくめの男は、ゆっくりかつ、ハッキリした声で言った。

「これからどうなさいます・・・。」

オレに文才があれば・・・orz

 

地球から来た男 (角川文庫)
地球から来た男 (角川文庫)