黒い葬列(日下圭介)

791 名前:黒い葬列 1/2 投稿日:2008/06/02(月) 00:24:52
作者忘れちゃったけど、「黒い葬列」というミステリー短編。
記憶をたよりに書きます。

主人公は20歳女性。図書館司書をしており、父と小学生の弟妹と4人暮らし。
この父親が酒乱で、普段は真面目に仕事をしているが酒が入るとひどい。
弟と妹は怯えるが、主人公は二人のため暴力にも必死に耐える。
父親は酒が抜けると泣きながら子供たちに謝る。そして酒が入るとまた暴れる、の繰り返し。
弟と妹もこの状況に病んできているようで、学校で全く笑わない妹
そして学校に行かず川端で蟻を見つめている弟の姿を知り、主人公は愕然とする。

そんな中主人公は、図書館に来る医者の卵の男性に恋をする。
男性も主人公を好きになり、主人公の父に会いたいと言う。父の酒乱について話し、反対する主人公。
しかし、彼の熱意に押され会うことになる。
最初は和やかに男性と話し喜んでいた父だが、酒が入って暴れだし男性を殴ってしまう。
もう終わりだ、と主人公は絶望する。彼の家は名家らしいし、元々釣り合うはずがなかった・・・
が、彼は全く気にしておらず「一緒に実家のある東京に来てほしい」とまで言ってくれる。
「うれしいが、弟と妹を置いてはいけない」という答えにも
「待つよ」と答える男性。


792 名前:黒い葬列 2/2 投稿日:2008/06/02(月) 00:25:29
しばらくして父親が自宅で死んでいるのが見つかる。ガス栓が開かれており、一酸化炭素中毒とのことだった。
その時間主人公も弟妹も家にはいなかったが、死に方に不審な点があるということで警察の取調べを受ける。
男性との一件から、主人公と男性に最も疑いの目が向けられており
刑事から男性にも事情聴取に行ったと聞いた主人公は、暗澹たる気持ちになる。
やがてなんだかんだで疑いも解け、父の死は自殺と結論付けられる。
そして弟妹とも親戚の元に預けられていた主人公は、
ついに男性のもとへ向かう決心をつける。
身辺整理をし、弟妹に手紙を書き、鞄ひとつで電車を乗り継ぎ男性の前に立った。
「来たんだ」という男性に「私、来ました」と答える主人公。男性が次に言ったのは
「何しに来たの?」

警察が実家まで事情聴取に来た、両親にもそのことでとやかく言われた、
いつまでいるの?残念だなぁ色々案内したかったのに、と続ける彼の言葉を主人公は空虚に聞く。
五年後、そのまま東京でホステスとして働いていた主人公は
数年ぶりに故郷に帰る。弟は高校生になっていた。
弟と二人の席で、主人公は「お父さんを殺したのはあなたではないの?」とたずねる。
(ミステリーなのでトリックがあるが、割愛。確かに殺したのは弟だった)
暗い瞳をした弟を見て、この子の目が晴れることはあるのだろうかと考える主人公でEND。
~~~~~~~

別れるなら別れるで、一言いってこいよ男。途中までは本当に良い人な描写だっただけにキツかった。
弟もおそらくは姉のことも考えてやったのだろうけど、結局誰も幸せになっていないという・・・


793 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/02(月) 00:36:53
>>791-792
乙でした。

「さて、一番悪いのは誰?」っていう
心理クイズになりそうな話だねw

 

短編で読む 推理傑作選50〈下〉
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花の復讐 (講談社文庫)
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