セカンド・ショット(川島誠)

201 名前:1/5 :2009/05/20(水) 00:10:07
子供のときに読んだ小説「セカンド・ショット」

主人公のAは、中学生にして身長190cmのイケメン、バスケ部ではエース、勉強もできる。
進学はバスケの強豪校への推薦入試がほぼ決まっており、
部活引退後は悠々自適な中学校生活を送るつもりだった。
同じクラスにいるBは、運動は苦手で頭も悪く、家は貧乏、生活もおとなしく
いわゆる「何も取り得がない奴」。中学卒業後は、家の経済状況を理由に高校進学は諦めていた。
このBは元バスケ部だったが練習についていけずすぐに辞めていた。
同じクラスとは言え、バスケ部エースで人気者のAと、その対極にいるBは全く絡みは無かった。


202 名前:2/5 :2009/05/20(水) 00:11:29
年度後半になり、Aの中学では最後の球技大会(種目はバスケ)が控えていたが
Aは担任に呼び出され、ある依頼(命令?)をされる。
Bは地元の土木会社への就職を希望しているが、採用についてはまだ正式には決まっていない。
担任の命令は以下のような感じ。
「その会社の社長はバスケが好きで、中学校の球技大会の決勝戦を観にくる。
 そこで、必ずクラスを決勝まで連れていき、さらにBにも活躍させること。」
他のクラスにはバスケ部(つまりAの本来のチームメイト)が何人もいる強いクラスもあり、
さらにTの運動能力の無さを知っているAはそれは無理だと反論するが、
担任はAが従わないなら、Aの高校入試の推薦にも協力しないと言い出す。渋々従うことにしたA。

203 名前:3/5 :2009/05/20(水) 00:12:30
嫌々ながら、Aは毎日早起きをし、朝練ということでBを呼び出し特訓していた。
一応元バスケなのに素人よりも下手なBを見て困り果てるA。
普通のシュートでは絶対に点は取れないので、ひたすらフリースローの練習をさせることにした。
しかも片手では届かないので、両手を使って不格好なシュートを打たせることにし、
そのあまりの格好悪さに頭を痛くするA。冬になっていたこともあり、
体が丈夫ではないBは風邪を引いて朝練をドタキャンし、Aを怒らせることもあった。
その他の素人のクラスメートの中でも見所のある奴を数人見繕い、
何とか球技大会に向けて体制が整うAのクラス。とうとう球技大会が始まった。
Aの活躍により、順当に決勝まで進めたが、Bはそこまで無得点だった。
決勝が始まり、バスケ部3人がいる相手チームに苦戦しつつ、
ギャラリーの中にBが行きたい会社の社長がいることに気を使うA。

204 名前:4/5 :2009/05/20(水) 00:13:38
前半は拮抗していたが、後半はAのクラスが突き放し、
試合終盤にはAのクラスの優勝は決定的になったが、そこまでやはりBは無得点だった。
Bを活躍させろと命令されたことが気がかりなA。そこで、Bがシュートを打とうとした際、
相手チームの選手がファールを犯し、Bのフリースローに。
すでに勝敗は決まっておりBのフリースローの行方に祈るような気持ちのA。
Bの一投目。相変わらず不格好な両手を使ったシュートフォームで放つも
惜しくもリング手前に当たり外れる。「いつも通りやれ」とBに声をかけつつ
心の中では「“いつも”もあんまり入らないんだよな…」と心配するA。
そして2投目、セカンド・ショット。
力無く放たれたボールは、見事にリングに吸い込まれ、得点したB。
自分のことのように大喜びのAと担任。
自分の推薦入試のことより、Bの就職に協力できたことの方が大きかった。

205 名前:5/5 :2009/05/20(水) 00:15:27
試合後、Aは担任に、Bが就職を希望している土木会社の社長は来ていたのかと聞くと、
担任からは信じられない言葉が。
「あれは全部作り話。前に生活記録ノートにBはバスケが好きって書いてあったから
 最後ぐらい球技大会で活躍させてやりたいと俺が思っただけだ。お前本気にしてたのか?」
中学卒業後、自転車で高校に行く途中に工事現場で休憩しているBを見かけたA。
現場で無精ひげを生やしタバコを拭かしているBを見てやりきれなくなって終わり。

当時同じ中学生だったけど、もともと仲良くなかった貧乏なクラスメートとの
友情の話かと思って読んでたら最後の最後に救いの無いオチがあって衝撃を受けた記憶がある。


206 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/20(水) 00:22:35
乙。Aは本当に良い奴だね。
担任は糞。

207 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/20(水) 00:23:33
乙(´∀`)

俺はむしろ
教師の態度に後味の悪さを感じた。


208 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/20(水) 01:20:50
Bはどっちにしろ就職決まってたってこと?
毎朝早起きしてコーチしたAが可哀想すぎる

209 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/20(水) 01:20:52
乙、だれも不幸にはなってないのに後味が悪い…良い話だ
担任は担任で良いことしたと思ってんだろうな
実際悪いことじゃないんだけどさ

210 名前:201~205 :2009/05/20(水) 02:13:31
Bのことを間違えてTにしてしまった箇所が…
TはBの本名のイニシャルなんで許してください

>>208
そうそう、Bはちゃんとその土木会社に土方として就職しました。
担任は現実と嘘を織り交ぜた上手い嘘をついたと。

>>209
確かに、Aが一人で割食ったけど、その後は自身はちゃんと
希望通りのバスケ強豪校に進学したし、不幸になった人はいないんだよね。
オチがある青春スポ根小説とも言えなくもない。


213 名前:本当にあった怖い名無し :2009/05/20(水) 03:34:43
Aは使えないやつを使えるように育てることを学んだから、必ずしも無駄なことではなかったとも考えられる

 

セカンド・ショット (角川文庫)
セカンド・ショット (角川文庫)