キャラクター・コレクション―ファンタジーRPGの職業・役割/死刑囚(安田均・グループSNE)
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476 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/24(水) 11:08:33
- キャラクター・コレクションだな。ファンタジーTRPG用の参考読本。
読み物としても資料としてもかなりよかった。手放した事を悔やむ。復刊希望。同じくキャラクター・コレクションから
主人公は旅をして回る吟遊詩人。
ある街で、太守の息子を殺した死刑囚に歌を聞かせてくれと頼まれる。
変な依頼だと思いながらも主人公は依頼通りに死刑囚に『情熱的な恋歌』を聞かせる。
死刑囚はまだあどけない少年で、主人公の歌を聞いて涙を零す。
何故死刑囚に歌を聞かせるのかと不思議がる主人公に、牢番はこれは太守が考えた拷問なのだと話す。
死刑囚はある宗教の信者で、太守の息子を殺したのも、上の人間にそれが「天誅」だと教えられて実行した。
このまま死刑になったとしても、名誉だと思いはすれ、死を恐れたりはしないだろう。
むしろ神のために死ねる事を喜んでいる。
どうすれば、死刑囚に「死」を恐れさせる事が出来るのか。
死刑囚は赤ん坊の頃から荒野の神殿で神に仕える事だけを教え込まれ、それのみを喜びとして生きていた。
ならば、世界にはもっと色々な喜びや楽しみがあるということを教えるといい。
緑なす草原、清冽な雪景色、収穫の喜び、美しい友情、情熱的な恋……
歌によってそれを知り、そしてそれを実際に目にする事も体験する事も出来ないと知り、
死刑囚は自分がたった一度の人生を喜びも楽しみも知らずに過ごした事を知るだろう。
主人公は、人を楽しませるための歌も、使い方次第なのだなと考える。数日後、死刑台に引き立てられた少年は、死にたくないと泣き叫んでいた。
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477 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/24(水) 11:22:17
- >>476
面白かった。でも少年に死の恐怖を教え込めたなら後味すっきりって気もしたw実際もてない女板とか見てると愛溢れる映画やドラマでみんな鬱になってるから、
歌も物語も受け止める側によって楽しい物か鬱を呼ぶ物かは変わってくね。
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480 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/24(水) 11:39:27
- >後味すっきり
少年と君主をクローズアップすると
洗脳されたテロリストを処刑したって話で
洗脳を解いた上で罪を償わせてあげたという
勧善懲悪ものでよくできた話とも読めるね主人公である吟遊詩人の視点だと「仕事とはいえ後味の悪い話」になるんだけど
読者が仕事の辛さってのをどこまで受け入れられるかってとこが分かれ目なのかな?あと寓話だから細かいとこに突っ込んではいかんのだろうけど
現実世界では新興宗教に走る人は、恋も友も経験した上で捨てまくりな所が逆に恐ろしいと思った。
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503 名前:本当にあった怖い名無し :2009/06/24(水) 16:43:11
- 美しい景色や収穫の喜びや友情や恋がこの世に存在することさえ知らされずに
「天誅」を下すのが正義だと教え込まれて鉄砲玉に仕立て上げられた男の子なんて、
むしろその子も教団による被害者の一人じゃないか?