復活の日（小松左京）

前提として))とある博士が作り出した強力なウイルスがある事故により世界全体に広まり、
南極以外(南極にはウイルスが届かなかったか何かそう言う設定)の地域の人間や動物はどんどん死に絶えていく。
主人公は南極の基地に派遣されていた日本人男性。

後味の悪いエピソード部分））
世界各国でウイルスによりどんどん人が死に絶えていく中、ある日無線に(どこかの国の)子供の声が入る。
どうやら彼以外の人間や動物はウイルスにより死んでしまったらしい。
誰か生存者を探して父親の無線を使って呼びかけているようだ。
一人生き残り心細いであろう彼を励まそうと(南極にいる)主人公は無線に向かおうとする。
その瞬間「何をするんだ」と言って仲間が引き止めた。
もし、この子供以外にこの無線を聞いている人間がいて、南極が無事だと知ったら
ウイルスに感染していても何とかして南極にやって来ようとするかも知れない。
そうしたら奇跡的に生き残った南極の人間の命を危険に晒す事になる。そんな危険な事はさせられない。
と言うのが仲間の言い分。
主人公は、せめて誰か生き残っている人間がいると言う事を少年に教える事で彼に希望を与えたいと主張する。
二人がもみ合ってる間に無線から銃声が聞こえた。もう世界には誰もいないと絶望した少年が自ら命を絶ったようだ。

仲間に殴り飛ばされた主人公はその銃声を聞き泣き崩れた。
ここまでエピソード。

仲間の判断は正しいし中途半端な情で動こうとした主人公には同情出来ないんだが、
声は聞こえるのに少年を救う事も出来ず絶望の中、自殺させてしまったところが後味悪い。

確か、ウィルスは低温に弱かったという設定だったような気がする。
全部で１０人くらいしか生き残らず、そっから復活って無理じゃね？
と思った記憶が。（確か、２０００人ぐらいは生き残るのに必要とか）

世界中の人間が蔓延したウィルスで死に絶えた中、防衛システムは生き残っていた。
人がいなくなっても電力が送られ続け、コンピュータは正常に動作し続ける。
しかし大地震が起こり、米国の一部地域が壊滅的打撃を受けた。
すでにアメリカ大陸に人類は存在しない。本来なら問題ないはずだった。

だが防衛システムは与えられた役目を果たし続ける。
壊滅した地域からの応答が途絶え、他の重要拠点からも連絡が無くなる。
＝防衛システムは重要拠点を攻撃されたと認識し、報復活動を開始した。
報復攻撃は敵国防衛システムの報復を呼び覚ますものであり、
さらにミサイルのうちいくつかは南極基地を習っている可能性がある。
（これは冷戦時代に書かれた小説）

米国諜報員と主人公が志願して防衛システム解除に赴くことになった。
任務完了目前に諜報員は死亡し、主人公は解除に失敗する。
主人公は核ミサイルが降ってくるのを待って犬死にするしかなくなった。

数年後、生き残った人類は南極大陸を後にした。
ミサイルは南極に降らなかった。決死隊の行為は無駄だった。
さらに地球上を無数の核ミサイルが飛び交ったせいで、死のウィルスが変異した。
ウィルスは生物にとって無害になった。
たどり着いたアメリカ大地で、一行は変わり果てた主人公を見つける。
主人公は事前に接種していた実験ワクチンのおかげでウィルスに感染せず、
シェルター内にいたおかげで核攻撃の中を生き残れた。
しかし頭の方はやられてしまって基地外になっていた。

主人公、踏んだり蹴ったり。

自分はこの話の後味の悪さって、生き残った南極で、初期の何気ない会話。
とにかく女性がいない。5～6人くらい？確か10人以下だった。
で、話し合いで「一日ずつ順番に回せば○日に一回はSEXできる」
とか平気で言っちゃう奴がね…
当然だけど偉い人が「女性に対して失礼なことを言うな」と却下。
そして同性愛を推奨しよう、とか会議が進むｗ

なんか歳を経る毎にこの会話の後味の悪さがジワジワと来るわ。

研究者の一人が「威力を落としてもこの細菌兵器が使われたら人類ヤベー」と気づいて、
対抗策をこうじるために他国の研究者に渡そうとした。
でも仲介者は他国に転売しようとしていた。
それを知った研究者は自責の念から自殺。
仲介者は兵器もろとも吹雪の中でヘリが墜落して死亡。
ウィルス兵器がばらまかれたことを誰も知らないまま、
地元民から感染が広がって流通ルートに世界中に広がる。

初期症状は風邪と全く同じなので、当初は新型インフルエンザとして扱われる。
医療機関ではやたら致死率が高いので「これはただのインフルエンザではない」と気づいたものの、
押し寄せる患者をさばくので手一杯で調べられない。
そうこうしてる間に、対抗策を立てられる研究者や対抗策に金を出せる政治家も
バタバタ倒れていって手を打つことができなくなってしまう。
結果、人類滅亡。

途中で感づいた人はいたものの、縁者の政治家が「こんな大変な時期に関わってられない。
つか親類がおかしいとなったら自分まで処分されかねない」として精神病院に入れられてしまう。
（感づいた人はウィルス兵器の元になったウィルスを研究していた研究者。
もともとA国で研究していたウィルスを、B国が盗み出して兵器としてさらに研究を続けていた）

少年は一人生き残っている子供で、無線機の使い方を分かっておらず、送信は出来ても受信が出来ない。

淋しさの余り銃で死のうとする直前に他の人間を探している。

南極越冬隊は無線機を前にして
「スイッチを切り替えろ、君は一人じゃない！」と届くはずのないアドバイスを叫び続けるが・・・

と言うもの。