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971 名前:赤いくじ1/2 :2009/11/07(土) 00:42:55
「脂肪の塊」と似た話。松本清張「赤いくじ」
舞台は終戦前後の朝鮮半島。
皆が憧れる美女で名士夫人の女性がいた。
(女性の夫は応召されたか何かで不在)

とりわけ彼女の気を惹こうと必死だったのが軍の将校AとB。

戦争が終わり、米軍が進駐してきた。現地の日本人を統括していた旧日本軍の上層部は、
進駐軍に取り入るために日本人女性による性的接待を画策する。
まさかそんなことは日本人たちに言えないから
「米軍との親交を深めるためにおもてなしする」などともっともらしい理由をつけた。

未婚の娘さんはあまりにもかわいそうだということで、人妻達がくじ引きで対象者を決定することになった。
くじをひきあてた中には例の美しい名士夫人もいた。
「あら、当たってしまいましたわ…おほほ」
それが何を意味するかも知らず上品に微笑む夫人。

結局、進駐軍は意外に紳士的で「女を寄越せ」などと要求はせず、
日本人達は故国へ引き上げるべく旅路につくことができた。


972 名前:赤いくじ2/2 :2009/11/07(土) 00:44:39
しかし、帰路の汽車の中で、どこからともなく「日本人女性による性的接待計画」が日本人たちに知られてしまう。
その事実がなかったにせよ、くじをひきあてた女性たちは
「娼婦」として見下げられた扱いをうけるようになってしまった。
その事実があったとしても、そのおかげで日本人達が助かったかもしれないのに。

夫人はこのような仕打ちに疲れ切り判断力も鈍ってたところ、Aに誘い出されて汽車を抜け出す。負うB。

夫人がくじを引き当てたことで、
一気に高嶺の花→ヤれそうな女に格下げされたのだ。AにとってもBにとっても。

廃屋でAと夫人がことに及ぼうとしたとき、銃を手にBが飛び込んでくる。
ここでいったん話は途切れ、
AとBが相打ちになったことを匂わせる「双方帰国せず朝鮮半島にて脱走、死亡」みたいな
軍の記録書の引用して物語は終わる。←これも後味悪いが
被害者である夫人のその後にあえて触れられていないところが一番後味悪い。

 

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