ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その110 » 欲望という名の電車(テネシー・ウィリアムズ)

751 名前:1/2 :2009/12/05(土) 19:40:22
アメリカの戯曲『欲望という名の電車』。若干うろ覚えの箇所も。

ブランチ … 元は南部の名家出身のフランス系令嬢で、若い頃は取り巻きの男たちも大勢いたが、
     今は両親も死んで家屋敷は人手に渡り、高校で英文学の教師をしていた。
 
   年齢的に容貌にも翳りが見えてきたが、昔の栄光にすがり夢想的。
ステラ … ブランチの妹。姉と違って現実適応しており、既婚で妊娠中。
スタンリー … ステラの夫。ポーランド移民(それがコンプレックス)の肉体労働者で、元軍人。
 
   粗暴で生命力がギラギラした感じの、現世実利的な人間。
 
   ポーランド移民と馬鹿にされるのを非常に嫌い、貧民を見下すブランチに反感を持っている。
ミッチ … スタンリーの友人。スタンリーに比べれば真面目な青年で、病身の母を持つ。

路面電車「Desire(欲望)」号で「墓場」を通って「天国通り」へやって来たブランチ。
そこに住むステラを訪ね、思うところがあり自ら学校を辞めてきたのだと話す。
ステラの住居が安いボロアパートであることにショックを受けつつ、ブランチは居候になる。
ステラは、狭い侘び住まいでも、たくましい夫とのラブラブ生活で生き生きと暮らしていた。
だが、夫のスタンリーは、義姉が安アパートに不釣り合いなお高くとまった貴族的態度で振舞い
自分たちの水入らずの生活に割り込んできたのを、目障りに思う。

スタンリーはブランチの留守に持ち物を物色し、教師の月給には高すぎる宝飾品の数々を見つけて
お前の姉は親の遺産を密かに独り占めして浪費しているのではないかと疑う。
しかしステラは「たぶん若い頃からの所持品よ」と姉をかばい、夫婦仲はギクシャクしはじめる。
ある日、ブランチを咎めて暴れるスタンリーと夫婦喧嘩したステラは、家を飛び出して
上階のおばさんの家に駆け込んだ。オロオロして見ているブランチの前で、
スタンリーは「俺が悪かった! 愛してる! 戻って来てくれ、ステラ!」と、膝をついて盛大に呼びかける。
するとステラは階段を下りてきて泣きながらスタンリーと抱き合い、寝室へ。翌日、部屋へ様子を
見に来たブランチに、ステラは陶然とした表情でベッドの中から「いつもこうなの。でも愛してるのよ」と語る。


752 名前:2/2 :2009/12/05(土) 19:41:25
一方、ブランチの方は、スタンリーのポーカー仲間だったミッチと知り合い、
ミッチは清楚な様子のブランチに惹かれて、デートを重ねるようになる。
ブランチはミッチとの結婚も考えるようになっていた。スタンリーとしては、
ステラとの仲を掻き乱し、おまけに友人のミッチにまでちょっかいを出すブランチが気に食わない。
ブランチの言動にも、何か夢見がちな虚言癖のような不審さを感じて、身辺を探りだした。

その結果、家が没落した後、ちやほやされる甘い生活の癖が抜けないブランチは
次から次へと男にすがって、手当たり次第ホテルに引き込むことで地元では有名人だったと判明。
(若い頃に一度結婚していた時、夫が同性愛者だと知って責め立て、自殺に追い込んだトラウマも影響していたらしい。)
その上、17歳の教え子にも手を出し、学校にバレて教職を追われていた。
ブランチの正体をスタンリーから聞かされたミッチは、「売春婦を家に入れる気はない」と手ひどく拒絶した。

折しもステラが出産のため入院している頃。
飲んだくれて「ミッチは私に酷い暴言を吐いたわ。後で謝りに来たけれど、許してあげない。
だって、あれから石油王が私に求婚してくれたんですもの」などと言っているブランチに、
「お前の言う事は何もかも全て嘘だらけだ」と糾弾し、罵倒するスタンリー。
表面上保っていた体面を暴かれてどんどん精神的に壊れてゆくブランチを
駄目押しでスタンリーが陵辱し、決定打を加える。

ステラの出産から数週間後。
アパートに精神病院の医師や看護婦らがやって来て、ブランチを連れて行く。
ブランチは「あら、大富豪からのお迎えの従者? 私、髪型 大丈夫かしら。変じゃないわよね?」
などと言いながら、車に乗せられて行った。もうすっかり思考力がまともじゃなくなっている。
その様子を見ていてステラはたまらなくなり、階上の家に駆け込む。
スタンリーはステラの名を呼んで追いかけ、階段の所でまた「許してくれ! 愛してる!」と盛大にやり始める。
アパートに入り浸っていたポーカー仲間は、いつもの事といった感じで夫婦の様子を横目に見ながら
「あれは単なるポーカーゲームだ」と呟く。


753 名前:本当にあった怖い名無し :2009/12/05(土) 19:43:00
映画版では、自分が出産している夜に姉をレイプして廃人にさせた事を知ったステラが
生まれたての赤ん坊を抱えて「何があっても二度とここへは戻って来ないわ!」
と言い聞かせながら家を出て行くシーンで終わっていて、こっちを先に知っていたから
原作の方はなんかモロにダメダメなDVの共依存夫婦みたいな印象を受けた。

ちなみに、ブランチの元夫がゲイだったというのも当時の放送コードに触れたらしく、
映画版では、小説だか絵画だかの芸術活動に行き詰って自殺したことになっていた。

スタンリーによるブランチのレイプシーンも危うくカットされそうになったそうだが、
さすがにこれは死守して(と言っても1950年代初頭の映画なんで、暗示的な表現だけど)、
その代わりにスタンリーが制裁を受ける形でステラに捨てられるラストへ改変されたらしい。


757 名前:本当にあった怖い名無し :2009/12/06(日) 09:56:34
>>753
でもあの映画のラストも、結局「もう戻らない!」といいつつ
いつも暴力振われた時に身をよせる自分の部屋の上の住人の
ところに駆け上がっていってるから、最終的には戻ると思うよ。
もう戻らないなら階段を駆け下りて外に出てく。

個人的には原作の二人が抱き合うラストの方が好きだけど。
もうブランチはこの世界に身を寄せる場所はないんだって
感じがして。ステラとスタンリーみたいにたくましくなきゃ
生きていけないんだと思うとブランチが哀れ。

でも裏を返せば夫婦二人で喧嘩しつつも仲良く暮らしてて
子供も生まれそうになったのに、昔をひきずって高慢でわがままな
メンヘラ姉が訪ねてきて夫婦生活をひっかきまわしたんだから、
あの原作ラストは当然だと思う。


761 名前:本当にあった怖い名無し :2009/12/06(日) 12:55:06
自分
スタンリー(の中の人)= ゴットファーザー(の中の人)ってのが衝撃だったおw

762 名前:本当にあった怖い名無し :2009/12/06(日) 15:33:45
>>757
まあ歴史的背景の流れとして、良くも悪くも
南部の元大農園主の娘だったブランチは
斜陽族というか、「失われゆく古き良きアメリカ」の象徴みたいなもんで、
新移民でブルーカラーのスタンリーは
「代わって台頭してきた粗野でエネルギッシュな世代」の体現みたいな感じだからね。

時代の流れに適応していけない旧世代は、
惨めな末路で表舞台から去っていくのが運命だったんだろうな。
時流に適応して、お嬢から下町の女房に転身したのがステラのようなタイプで。

 

欲望という名の電車 (新潮文庫)(原作)
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