ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その113 » 盲目の錬金術師(荒川弘)

411 名前:本当にあった怖い名無し :2010/05/18(火) 20:15:59
鋼の錬金術師というアニメの1エピソード

お金持ちの家の使用人の男は、その家の夫妻に大事に扱われて主従を越えた絆を持つようになる。
夫妻の間の子供が死んだ時、男は夫妻の悲しむ顔を見て、
また、なにより自分自身がその子供の死に堪えられず、子供を生き返らせる術を行う。
しかし、術は失敗に終わり、出来たのは人の形はしているが干からびているミイラ状の物体。
その上術の反動で男は両目をえぐりとられるようにして失ってしまう。
血塗れなのに自分の身よりも子供は無事に生き返ったかを訊ねる男に真実を言えず、
その家の主人は子供は元通りに生き返ったと男に嘘をつき、声と背格好が子供にそっくりな孤児を引き取り、
全ての事情を孤児に話した上で、男の前で子供のふりをするよう頼んだ。

孤児は子供のふりを完璧に演じた。
元々明るい子なので、本当の子供の代わりというだけでもなく周囲の人々は愛情を持てた。
しかし、孤児を我が子のように扱うことが夫妻にはできなかった。
作中では夫妻は孤児に対してけして無碍な態度は取らないが、一度も手をふれたりもせず距離を置いていた。
夫妻はミイラ状のものを我が子だと信じていたから、孤児を我が子のようにしてミイラを裏切るような真似ができなかった。
ミイラが我が子ではなかったら、それは両目を失ってまで術を施行した男が哀れすぎるから、夫妻はそう信じていた。
信じていたから、一応生きてはいるようで時折わずかに震えるだけで何の意思も示せないミイラを悲しみ溺愛していた。

孤児は夫妻によく懐いており、実の子のように思われず、
あくまでも「男をだますための役者」として扱われることを悲しんでいたが何も文句は言わなかった。
独りだったころ、冷たいスープしか食べられなかった自分が
お金持ちの家で人並み以上の暮らしをできるだけですごいことだし、
なにより文句を言ってしまえば、自分が愛しているみんなを困らせ悲しませると知っていたからだった。
孤児も夫妻も、男以外の使用人たちも、みんなこれからも男に対して嘘をついていくのだと言う。
一家の屋敷に滞在するうちにその一連の事情を偶然知ってしまった主人公兄弟は、屋敷を去る際に、
「みんな優しい人だったね」「ああ、でもみんな救われない」と言葉を交わした。

 

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