ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その115 » わたしたちの好きなもの(安永知澄)

970 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/06(月) 20:53:36
うろ覚え

主人公の少女は、幼い頃に母を亡くした

少女は小学生の時に同級生の男の子を好きになった
男の子を家に招待し、父に「大きくなったらあの子と結婚したい」と耳打ちした。父は笑顔だった
その後、男の子は行方不明になった

少女は中学生の時に同級生の男の子を好きになり、告白して付き合うようになった
毎日帰り道を一緒に帰るだけの関係だったが、とても幸せだった
ある日、少女の父の乗った車とすれ違い、少女と男の子は恥ずかしそうに顔を背ける。
父はすれ違い様に軽く会釈をしていた
その後、男の子は行方不明になった

少女が愛した相手は皆いなくなった。少女は人を避けるようになった

高校生になり、陸上部の先輩から告白され、付き合うことになった
ある日少女が風をひくと、先輩は風邪に利く食べ物も持って少女の家までお見舞いに来てくれた
少女は先輩の優しさがとても嬉しかった。先輩は父に挨拶して帰っていった
それからしばらくして先輩は行方不明になった

少女は不登校になり、引き篭もるようになる
ある日、偶然にも、かつて先輩にプレゼントしたバッチが血まみれで父の部屋に落ちているのを見付けた

少女が父に問いただすと、父は「食べてしまった」と答えた
小学生の男の子も、中学生の男の子も、父が食べていた
少女が「殺してバラバラにしたの?」と聞くと、父は口を大きく広げて見せ「こうやって食べた」と言った
少女が「何故そんなことをしたの?私が男の子と付き合ってることへの嫉妬?」と聞くと、
父は「なんとなく食べたくなってしまった」と答えた
「小学生の男の子は赤いほっぺが美味しそうだった。
 中学生の男の子は坊主頭の食感が知りたかった。陸上部の先輩は筋肉の筋が・・・」
父は思い出しながらうっとりとしていた
その話を聞いた少女は驚きも怒りも悲しみも何も感じず、ただ冷静になっていくだけだった
続く


971 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/06(月) 20:54:21
続き
少女は高校を卒業すると、家を出てすぐに故郷を離れ、都会へと移り住んだ。孤独な生活が続いた
たまに父に電話し、人を襲って食べたりしてないか確認した

ある時、女(主人公)がカフェで働いていると、ある会社員の男と出会った
やがて男は女の部屋で同棲することになったが、男は会社を辞め、小説家になって賞を取ると言い出した
女の稼ぎだけで男と暮らしていくのは厳しく、女は水商売で稼ぐようになる
仕事を終えた女が部屋に帰ってくると、男はいつもゲームをしたりして怠けていた
一日何をしていたのかと女が聞くと、男は「パチンコ」と答えた。
女はそれでも男を養って暮らし続けた

友達もいない孤独な女は男に依存していて、男から離れることが出来なかった

ある時から男の様子がおかしくなり、女が男の携帯電話を調べると、
電話した後に履歴を消していることが分かった
事実を知りたくなかった女は探りを入れなかったが、偶然にも道端で男の浮気現場に出くわしてしまう
男は「一番本気で愛しているのはお前だ」と言って必死に謝罪した
女は男を許すと言い、「里帰りして、一緒に私の父に会いに行こう」と言った

女と男は女の実家へ行き、父に挨拶をした。三人での晩酌が行なわれた
すっかり酔っ払っている男をしり目に、父は女に
「どういうつもりであの男を連れて来た?私はあんな不味そうな男を食う気にはなれんぞ」と耳打ちした
女は赤面して「そんなつもりは無い」と弁解したが、
「男との決別を父の手で行なって欲しかった」という下心を見透かされたようで恥ずかしかった

数日滞在する気だった女は男と共に地元の旅館に泊った
翌朝に二人で朝食を食べていると、男は「帰ったら仕事を探す。今の俺はヒモみたいなもんだ」と言い出した
「小説は諦めたのか?」と女が聞くと、男は「仕事をしながら書く。二年以内に賞を取る」と決意を新たにした
それまでの男とは違い、妙に力強く生き生きと感じられた
男は続けて
「お前の父親に会ったらなんだか恥ずかしくなったよ。
 なんでお前が俺を親父さんに会わせたのか分かった気がするよ」と言った
女は心の中で「私の方が恥ずかしい」と男に謝罪した

それと同時に、父は家で一人思い悩んでいて、「やっぱり食うしかないのか・・・」と呟いていた
続く


972 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/06(月) 20:56:42
続き
その日も女の実家で三人で晩酌をしていたが、ビールが切れてしまう。
父は女に「お前が買ってきなさい」と言った
女は遠くの店まで酒を買いに行った。道中、父と男を二人っきりにしてしまっていることに気が付いたが、
父は「あんな男は食わない」と言っていたので安心した

その頃、実家では父が男の片腕を食い千切って咀嚼していた
男は必死に抵抗し、台所まで逃げて包丁を手にした
父は男に食い掛かろうとしたが、男の流した血で足を滑らせて転倒してしまう
その隙に男は父をメッタ刺しにした

女が帰ってくると、片腕を失って血まみれの男が家から出てきた。
男は「病院に行く」と言ってフラフラと歩いて行った
女が父の安否を確認しようと家の中に入ると、血まみれの父が倒れていた
女が父に駆け寄ると、父は「やっぱりあの男は不味くて食えない。
・・・でも、お前は本当に美味そうだな・・・」と言って息絶えた

男は出血多量で死んでいた。事件は男と父が口論の末に殺しあったとして処理された
女は父の葬式の最中、女がまだ幼かった頃に父から言われたある言葉を思い出した
「『食べてしまいたいくらい可愛い』というのは、お前のような子のことを言うんだな」
父は本当は自分の娘を食べたかったが、娘の愛する人を食べることで我慢していたのだ
そして女は「そうか、お母さんもお父さんに食べられたんだ」と思い至った


981 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/07(火) 09:38:52
誰か>>970のタイトル知らん?
普通に怖いので読んでみたい。

982 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/07(火) 11:01:41
俺も>>970の詳細を知りたい
父が化け物なのに愛嬌があって良いキャラしてる

983 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/07(火) 11:14:07
>>972
ギャンブルも浮気もするダメ男が本当に仕事をするとは思えないから、
殺人犯の父と相打ちしてくれてよかった

56 名前:本当にあった怖い名無し :2010/09/09(木) 00:52:06
短編漫画『わたしたちの好きなもの』収録してる本の題も同じ
複数の作家が書いてる作品が載ってるアンソロジーみたいな本

 

わたしたちの好きなもの (BEAM COMIX)
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