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244 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 21:58:59
以前皆川博子が紹介されてたので、別作品の短編集より。
一度しか読んでないのでかなりうろ覚え。長文です。

主人公は50代の女性。夜、主人公は本を読んでいた。
現代の拷問についての本で、そこには殴られ、水責めにされ、電流を流された人々の話が綴られている。
すると電話がかかってきた。結婚して別に暮らす娘の京子は仕事だし、孫の由美は修学旅行で不在のはずである。
誰からかと思いつつ出てみると、相手は「もしもし、いのちの電話でしょうか…?」と尋ねた。
まだ若い、少女のようだ。主人公は何故か気にかかり、間違いを告げず話を聞くことにする。

彼女は、自分はこれから友人と「自殺ゲーム」をするのだと言った。主人公が学生だった頃
流行った遊びを思い出す。皆で一斉に盃をあおり、その中に一つ毒が入っているという設定の遊びだった。
もちろん実際に毒は入れない。まず人数分水を入れたグラスを用意し、一つだけ飽和寸前まで塩を溶かす。
それに当たった者は悶え苦しんで死ぬふりをするのである。不健全だと教師に禁止されたものの、
ゲームのもつ薄ら暗い愉しさに「死海ゲーム」と名を変えてそれは続けられていった。

相手は続ける。自分はそのゲームで、本物の毒を入れて死のうと考えていると。
友人に毒入りのグラスがいかぬよう、グラスを選んでから毒をいれるつもりです。
生きていたくない。でもまだ死にたくない、
誰かに止めてほしいとも思うんです。


245 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 22:00:38
主人公はふと、この少女は数十年前の自分ではないだろうかと感じた。見知らぬ人と思えなかった。
彼女――昔の自分が死んだなら、今の私も死ぬのではないか。そして昔の記憶が呼び起こされる。
自分の父は、戦時中に思想犯として特高に連れて行かれ、遂に帰ってこなかった。父を公安に
密告し売ったのは他の誰でもない、母であった。そのことを知った主人公は激高し母を罵倒する。
すると普段気丈で口答えを許したこともない母は、青ざめ動揺し「そうしなければ自分達も国賊にされた」
「体の弱いあんたは決して耐えられなかった」と告げたのだった。

死を前に揺れている「昔の私」に主人公は語りかける。今死んでもいいのではないかしら。
 「私は五十過ぎだけれども、あまり生きている意味はなかった気がするの」
 「十五で死ぬのと、五十で死ぬのとは違うのではないですか」
 「どちらも大して変わらないわ。ねえ、もし死ぬのなら周りに迷惑はかけないようにね。
 難しいでしょうけど、なるべく努力して」
 「…わかりました。そうしてみます。ありがとうございました」
 「こちらこそ、ありがとう」
そして電話を切り、主人公は身支度を整え、安らかな気持ちで眠りに就いた。

…どれくらい時間が経ったのか、主人公は再びなった電話のベルに目が覚めた。
なぜだろう?私はまだ死んでいない。受話器を取ると、それは京子の声であった。
 「もしもし、お母さん、大変なの。旅行先で由美が……」


246 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 22:24:18
孫の声もわからんとかどんだけアホなんだ

247 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 22:33:30
>>246
オレオレ詐欺って知らない?

249 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 23:15:44
「自分ではないだろうか」と感じたのは、その声が
自分がその年頃だった時の声と似てたからかもな。
普段だったら孫と思ったかもしれないが、相手は自殺志願者だし
無意識に孫かもって考えは外してしまったんだろう

250 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/17(日) 23:28:19
>>245
えっ、続きないの?ここで終了だったらかなり後味悪いw

 

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