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366 名前:川は静かに流れ・1/3 :2010/10/23(土) 18:58:51
ジョン・ハート著『川は静かに流れ』

アメリカの田舎町を舞台にしたミステリーなのだが、かなり入り組んだ話
なので、先に主人公(アダム)の生育歴を簡単にまとめておく。

・裕福な大農場主の一人息子として生まれる。
・9歳、もともと病弱だった母自殺。それもアダムの目の前で拳銃自殺。
・10歳、父、再婚。継母には連れ子がいた。5歳になる男女の双子(ジェイミー、ミリアム)
・20代前半、ある殺人事件の嫌疑をかけられるも裁判で無罪となる。
 が、周囲の視線は冷たく、親にも勘当され逃げるようにニューヨークへ。
・五年経過。
・三週間前、故郷の親友(ダニー)から電話で帰郷するように請われ(「頼む、
 助けてくれ、お前の力が必要だetc」)、里心もあり帰郷。

※五年前の事件の概要
被害者は、高校を卒業したばかりの地元でも人望のある青年。アダムが疑われる
はめになったのは、よりによって継母が「彼が死亡推定時刻とおぼしき時間に、
殺害現場のほうから歩いてくるのを見た」と証言したから。(父は、息子より
後妻を信用して彼を追放したことになる。)
彼は否認を貫き、裁判では無罪を勝ち取る。が、そのまま故郷とは疎遠。

以上が前提。


367 名前:川は静かに流れ・2/3 :2010/10/23(土) 19:00:01
5年ぶりに帰った故郷は、原子力発電所建設の話が持ち上がり、ゆれていた。
大地主であるアダムの父が反対派で推進派と激しく対立。父は欲に目が眩んだ
推進派に嫌がらせや脅迫を受けていた。アダムに対する町の人々の視線も冷たい。
そんな中、アダムが妹のようにかわいがっていた美少女グレイスが何者かに襲われ瀕死の重傷を負う。
犯行現場にはダニーの指輪と「あのじじいに土地を売れと言え」と走り書きしたメモが残されていた。
犯人はダニーなのか?
遅々として進まない発電所建設に苛立った推進派(値上がりを見込んで借金してまで土地を買った者がいるという)の暴挙か?
一方、担当刑事は偏見バリバリでアダムに疑いの目を向ける。
自らの疑い(5年前のものも含めて)を晴らすため、グレイスとダニーのため、アダムは独自に事件を調べる。
そして、ダニーの遺体を発見する。グレイス襲撃犯はダニーではなかった、彼はそれ以前に死んでいたのだから。
ダニーの死に関しても、担当刑事は偏見バリバリで(以下同文
 
その後、紆余曲折を経て、グレイスの祖父でアダムの父の親友のドルフがダニー殺害容疑で逮捕される。
ドルフはアダム父の用意した弁護士も拒否した上で黙秘。
グレイスはアダムに、ダニーにしつこく言い寄られていたこと、
そのためにダニーとドルフで殴りあいになったことがあることなどを打ち明ける。
それではドルフにダニー殺害の動機があることになってしまうと懸念するグレイス。

368 名前:川は静かに流れ・3/3 :2010/10/23(土) 19:02:47
そして迎えたダニーの葬儀の日、義妹のミリアムが
「私はダニーにプロポーズされていたの。」と言っていたと神父に聞かされる。
死ぬ前のダニーの言動は、グレイスを(一方的にではあるが)本気で愛し、結婚を望んでいたことを示していたのに…?
それを聞いたアダムは真相を悟り(まとめるのがヘタなので唐突に思われるかもしれませんが、いろいろ伏線はあります)
アダムはドルフの家(=グレイスの家)に急ぐ。
はたしてそこにはショットガンを構えるミリアムと撃たれて血まみれでうずくまるグレイスの姿が。
遅れて駆けつけたアダムの父を「私がこんなになったのはお父さんのせいだ」と罵り、
お父さんは私よりこの女(グレイス)が可愛いのだ、と取り乱す。
グレイスに銃口をむけ引き金を引こうとしたミリアムを、アダム父は射殺する。
…横恋慕と嫉妬でダニーを殺害し、その後グレイスを襲った真犯人はミリアムだったのだ。

アダムはすべての真相を父と継母に突きつける。
ダニー殺害はともかく、その後の死体遺棄はミリアム一人ではできないだろう?、と。
そしてアダムは5年前の事件の真相にも言及する。町の人気者だった被害者に一方的に思いを寄せ、あげく殺害
したのはやはりミリアムだろう。ダニーにそうしたように。では、継母の証言は?
「僕は今まで、ジャニス(継母)は誰かを僕と見間違えたのだと思っていた。そう思いたかった。
 だが、そうではなかった。ジャニスは実娘を守るため僕に罪をなすりつけたのだ。」
さらにアダムは続ける。
「5年前の事件は昔の話だ。今更証明は難しいだろう。
 だが、ダニーの殺害にジャニスが関わったという証拠を僕は見つけている。」
その証拠(絵葉書)をアダムは愕然とする父に渡す。
燃やすもよし、警察に渡すもよし、ジャニスにやるもよし、あんたが選べ、と。


369 名前:川は静かに流れ・ラスト :2010/10/23(土) 19:03:52
ごめんなさい、分割ミスりましたorz

アダムはさらに、彼の人生を狂わせた、すべての悲劇の発端である母の自殺の真相に言及する。
病弱な母はアダムの出産の前後に計8回の流産を経験し、心を病んでいた。
だが、母を死においやった直接のきっかけは、父の愛人が子供を生んだこと。母の死の二日前のことだった。
…その子供こそがグレイスだったのだ。ミリアムは父とドルフの会話を立ち聞きしてそれを知り、
グレイスに激しい憎悪と嫉妬を燃やし、そして彼女もまた心を病んでいったのだった。
激しく愛情を求め、それがかなわないとなると相手を殺してしまうような狂気にとりつかれていた。

アダムは、ジャニスが自分にしたことはもちろん許せることではないが、
一方でもしそれがグレイスであったなら自分も同じことをしたかもしれないと思うのだった。

アダムは釈放されたドルフと話し、彼がアダムの父を犯人だと思い込み
父をかばうためにおとなしく逮捕されていたと知る。ドルフと父の間には、
余人には計り知れない50年にわたる友情と信頼(グレイスを託したことも含め)があった。

ミリアムの葬儀の日、憔悴した父はあの証拠は燃やしたとアダムに告げる。
アダムは黙ってその場を立ち去るのだった。

ニューヨークに戻ったアダムのもとに、父は毎週日曜8時に電話をかけてくる。
ナンバーディスプレイで父からだとわかる。
……だがアダムがその電話をとることはない。

———————————————————————–

ちなみに、電力会社は一連のいざこざを嫌い、よその土地に原発を建設することに決定したw


370 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/23(土) 19:17:25
面白かった、乙。
突っ込みたいとこは山ほどあるが、
あれだけ精神も自我も心も弱い家族に囲まれて
よく主人公病まなかったな。

その強靭さには目を見張るものがある。


372 名前:366 :2010/10/23(土) 19:38:15
すみません、これでも主人公の恋人とかダニーの父親とか双子の片割れのジェイミーとか
グレイスの実母とかのエピをばっさり割愛したんですがorz

そういう細かい描写の積み重ねでじわじわくる後味の悪さなので、
要約で伝えるのはなかなか難しいです。(もちろん私の筆力のなさもですが)

同じ著者の作品で『ラストチャイルド』というのがあるのですが、
これがまた『川は~』に輪をかけて細かいエピの積み重ねでじわじわ、というタイプの小説です。
事件の真相というか結論だけ要約したのでは「…で?だから何?」と言われそうな。
機会があったら手にとってみてください。


373 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/23(土) 19:45:13
双子弟に言及が無いと思ったらそういうことか。
にしてもミリアムは父と血の繋がってない連れ子なのに
なんでそこまで嫉妬したんだ?
他にも兄弟いるのに…父の寵愛を母と争ってでもいたのか?

376 名前:366 :2010/10/23(土) 19:55:16
>連れ子なのになぜそこまで?
身も蓋もなく言えば、自傷癖ばりばりのメンヘラだから(爆
じゃあなぜそこまでメンヘラになったかというと、実父があまりタチの
いい男ではなかったらしく、アダム父に理想の父親像を見た。だけど、
父の気持ちはミリアムよりグレイスに向いていた。(まあ、実子ですから)
母ではなく、グレイスと父の寵愛を争った感じですかね。

あと、ジャニスが他の家族に隠そう隠そうとしたことで余計こじれた
というのもあるかも。


378 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/23(土) 20:02:29
>>376
>>理想の父親
妻がいるのに浮気して他所の女と子作りした挙句、更に別の女と結婚した男なのにな。

父の寵愛で娘が歪んでいく様はちょっと犬神家の一族というか横溝作品思い出した。


379 名前:366 :2010/10/23(土) 20:22:38
あまり引きずるのもなんなのでこれで最後にしますが、

グレイスは二歳までは実母に養育されていたんです。どうしても育てられない
事情ができて、ドルフの孫という触れ込みで引き取られてきたのです。

ここからは一読者である私の推測ですが、
ミリアムは「パパ大好き!でもパパは私よりグレイスちゃんの方が可愛いみ
たい…でも私はなんだかんだいっても娘だし!だから最後に勝つのは私よ!」
みたいに思ってたんじゃないかと思うんですよ。ところがどっこい、グレイス
こそが実子で、自分は所詮連れ子だった!これはショックだろうと思います。

ジャニスもジャニスで、グレイスの件を知らないから娘が病んだ根本的な原因が
わからない。おそらく夫への遠慮もあって(結婚の経緯は不明ですが、子連れ女
にしてみれば間違いなく玉の輿でしょう)隠そうとした。

…どう考えても親父が糞です。


383 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/23(土) 23:03:26
>>369
電力会社がよそに行ったオチが一番後味悪いなw
何人ぐらい破産したんだか

459 名前:ラストチャイルド :2010/10/26(火) 00:03:54
366さんじゃないのだが、たまたま最近ラストチャイルドを読んでいたので
がんがってまとめてみる。

・俺(13歳)の双子の妹は地元で評判の美少女!が、それが災いしてか、一年前に変質者に拉致られてしまった!
・ショックで母さんは壊れた。父さんは俺とそんな母さんを捨てて出て行った。
・もう警察も親も神も何もかも信じらんね。俺は一人でも妹を探し出してみせる!
・そんな俺にも親友のジャックがいるんだぜ!妹の事件を担当してる刑事も、
 いろいろ親身になってくれようとしてる。母さんに気があるっぽいのが気に食わないけどな!
 ・
 ・(文庫本二冊分(上下巻)のあれやこれや)
 ・
・妹は変質者に拉致られたんじゃなかった。交通事故で死んだのを、犯人が死体を隠し、
 事故を隠蔽しやがった上に、誘拐事件を偽装したんだ! 
・しかも、車を運転していたのはジャックの兄!死体を捨てたのはジャックの父!
 …ジャック。お前も知ってたんだな?知ってて一年間黙ってたんだな?
・しかもしかも、その車には担当刑事の息子が同乗していた!まあ、刑事本人はガチで知らなかったらしいが。
・父さんは、失踪したんじゃなかった。性犯罪常習者の家を凸って、
 返り討ちで殺されていたんだ。父さんは、娘を助けようとしてたんだ。…父さん。

がんばってみたけど、やっぱり5行は無理だったw


460 名前:ラストチャイルド :2010/10/26(火) 00:10:12
主人公が一番信用していた二人が犯行に直接的・間接的に関わっていたというのが
後味悪いですな。あ、書き忘れてたけど、妹が黒いバンに引きずり込まれるのを見た
という(嘘の)証言をしたのはジャックです。
誘拐偽装なんてしなけりゃ、父親だって死なずに済んだのに。

462 名前:ラストチャイルド :2010/10/26(火) 00:15:00
どうでもいいが、この作者、男女の双子という設定がお好きなんですかねー?

 

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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