ホーム » 小説 » 小説/か行 » 煌夜祭(多崎礼)

224 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/17(水) 23:19:32
前スレの魔物と語り部の話の小説『後夜祭』の別エピソード。ちょっとうろ覚え

「魔物」は、人間から生まれてくる人食いの化物で、不死身で、一年に一度人を食った
魔物は人を食うとその人物の記憶や感情を得る能力があった
魔物は戦争や飢饉によって沢山の人が死ぬと、何故か権力者の家に生まれ、
人々は魔物が生まれるのは「呪い」だと恐れられていた

「語り部」は物語や歴史を語る職業で、彼らは語り部になる以前の名や経歴は捨てて
仮面を付けて「語り部」に成り切らなくてはならなかった

ある冬の夜、骸骨の様な仮面の語り部・トーテンコフと鳥の様な仮面の語り部・ナイティンゲイルの二人が、
一晩中物語を語り続ける祭り「後夜祭」を行なっていた

そしてトーテンコフが史実に基いた物語を語り始めた

「王位争奪戦争」
ある王国の王子が、娼婦と共に一夜を過ごそうとしていが、そこへ一人の語り部がやって来た
顔の上半分を覆う黒い仮面を付けた語り部はレイヴン(以下、鴉)と名乗り、娼婦に金を払って追い払ってしまった
鴉はそこで後夜祭を行なおうとするが、王子は苦しそうに「私と一緒にいてはいけない」と言った
鴉は王子が「魔物」であることを知っており、
「我慢できなければ私を食べて下さい。娼婦ほど肉付きは良くありませんが」と言った

そして、鴉は夜明けまで語り続けた。王子は「人を食わなくてすんだ」と感動していた
魔物は人を食う度にその食った相手の記憶や感情を得るため、
王子はその相手の人生を終わらせてしまったという罪悪感に悩み続けていた
王子は疲れからフラフラと倒れ、鴉の膝に頭を乗せて眠った。鴉は「何故魔物は皆美しくて儚いのだろう」と思った

鴉はまだ十代であり、国王はこんな子供が魔物を抑え込むという大業を成したのかと驚いた
そして鴉は「私なら王子が人間と変わりなく暮らせるようにできる」と言った
王子が魔物であることがばれれば、次期王位を国王の弟に奪われてしまう
国王は鴉を王子の侍従に任命した
つづく


225 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/17(水) 23:22:19
つづき
鴉は毎晩のように王子を街に連れ出した。
鴉は王子の素性がばれないよう、王子に仮面を付けて「トーテンコフ」と名乗らせた
今までずっと城に監禁されていて世間知らずだった王子は、そこで色々なことを学んだ

鴉はよく酒場で語りをしていたが、ある時、酒場で鴉と数人の男達が不平等や差別に関して口論を始めた
男達は女性のことを「汚らわしい愚かな生き物に権利など必要ない」と言った
それを聞いた鴉は
「ならばその言葉をお前の母に言うといい。私達は全員その汚れた愚か者の股から生まれてきたのだから」と反した
鴉は男達に袋叩きにされ、王子は羽交い絞めにされてしまう
鴉が動かなくなると、男達は去って行った
王子は鴉を抱きしめると「私は平等で差別の無い世界を作ると誓う。だから死ぬな」と叫んだ
それを聞いた鴉は「その世界では魔物も平等に暮らせるのですよね?」と言った

実は、鴉には幼い頃出会った魔物の少女を助けようとして失敗した過去があった(別の話)
それ以来鴉はその少女や全ての魔物を救うために、魔物の謎を探求するために世界中を旅していた

ある日、鴉が特殊な服を作って持って来る
魔物は日光を浴びると火傷してしまうのだが、その服で身体を覆うと日の光を浴びても平気だった
王子は生まれて初めて日の下を歩いた王子は感動したが、鴉は肌に直接濡れる薬を開発中だ言った

王子は、それからも鴉と共に楽しく幸せな日々が続くと思っていたが、
その生活は国王が暗殺されたことによって終わってしまう
つづく


226 名前:3/4 :2010/11/17(水) 23:23:55
つづき 上のとの間に1レスあったけど長いから省いた
配下の領土へ逃げ込んだ王子はそこで王弟との戦争を続けた

ある日、王子は何故かスオウに捕らえられてしまう
スオウは「ずっと疑問に思っていました。何故殿下は昼間に外を出歩かないのか。
何故殿下は年をとられないのか」と言い、剣を王子の胸に突き刺した

鴉が王子の部屋を訪れると、血まみれの王子とスオウがいた
スオウは「私は先代の王に忠誠を誓っていたからこそ、殿下のために戦ってきた。
だが、殿下は汚らわしい魔物だった。王は私を騙していたのだ」と言った
人間は一度死ぬ痛みを味わえばそこで死ぬが、魔物は不死身であるが故に死ぬことなくその痛みを延々味わい続ける
やがて鴉は「全て私が仕組んだことだ。王も王子も私が操っていた」と嘘をついた
スオウは鴉を殴りつけ、倒れた鴉を容赦なく何度も蹴りつけて骨を折った
スオウが鴉を殺そうとした時、王子がスオウの脚を掴み、「王位が欲しくないか?」と言った
「お前が指揮をとって王弟を倒し、私を魔物として国民の目の前で晒せばお前は英雄だ。
 国民が納得するまで何度でも私を殺せばいい」
鴉は「いけない」と言おうとしたが、声は出ず、意識を失った

鴉が目を覚ますと、そこは地下牢だった。鴉は王子のお陰で殺されなかった
何とか牢から脱出した鴉であったが、スオウが王子を連れて王宮に凸しに行ってしまったことを知る

鴉は戦場へと向かった。折れた骨が内臓に刺さり、自分の命が長くないことを悟った
スオウは既に「わが生涯に一片の悔い無し」と言って戦死しており、状況は圧倒的に不利であるらしかった
王子はこれ以上兵を死なせることに耐えられず、降伏する気でいた
つづく


227 名前:4/4 :2010/11/17(水) 23:25:12
つづき
鴉は「不死身の将が敵に捕らわれるほど残酷なことはありません。
私の仮面と服を着て語り部に扮してここを逃げ出して下さい」と服を脱ぎ始めたが、
王子は「女性が人前で服を脱ぐものじゃない」と言って鴉を止めた。鴉は悲しそうな顔をした

「それに、お前は私の身代わりになる気だろう。
 私は、お前さえ生きていてくれればどんな痛みにも耐えられる。早くここを去れ」
と王子は言った
鴉は食い下がり続けたが、やがて血を吐いてしまう
鴉は王子に抱きかかえられながら
「私を食べて下さい。そうすれば、私の貴方への気持ちが伝わります」と言い、崩れ落ちた
王子は悲鳴を上げたが、その悲鳴は獣の咆哮のようだった

『その後、王子は降伏して捕らえられた。大火傷を負ってい顔の判別はできなかったが、街の広場で斬首刑に処された』
トーテンコフが語っている内に、ナイティンゲイルが泣いていた
鴉がかつて助けようとした少女とはナイティンゲイルのことだった。ナイティンゲイルは鴉の死を知って涙した
トーテンコフはナイティンゲイルの正体を知った上でこの話をしていた
ナイティンゲイルが「貴方は鴉を食べてその記憶を受け継いだ王子なのですか?」と聞くと、トーテンコフはそれを否定した
ナイティンゲイルが「じゃあ処刑されたのは誰だったのですか?」と聞くと、トーテンコフは「王子本人だよ」と答えた

鴉は気絶しただけだった。王子の計らいによって戦場から連れ出され、鴉の性別が女であったため敵兵の目も誤魔化せた
それから鴉は三日三晩眠り続け、目が覚めた時にはすでに戦争が終わっていた
王子は処刑され、その生首は街の広間に置かれて晒し首となっていた
鴉が訪れると、王子の生首は微笑んだ
不死身の魔物を殺すことはできなかった
鴉は崖から海に飛び込んだ\(^o^)/
END


229 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/17(水) 23:29:49
>>227
付け加えると、王子の生首はそのままずっと晒され続けている

272 名前:本当にあった怖い名無し :2010/11/18(木) 19:57:55
>>227
なんかもう補足しておくけど、王子は戦争反対していたけど、戦争賛成派の部下が王子を軟禁して勝手に戦争をおっぱじめた。
鴉は女だということを周りに隠してて(多分男女差別とかが激しい世界だから)、
鴉は王子を助け出すために娼婦に変装して王宮に忍び込む。王子は鴉が本当は女だということに気が付ついたけど、
戦場でのシーンまで気付いてないフリをしていた。
鴉は「私を食べれば気持ちが伝わります。私は王子の中で生き続けることができます」みたいに言って
なんとか王子を生き延びさせようとするんだけど、気を失ってる間に王子の召し使い達の手で戦場から運び出される。
王子は「呪われた魔物の身でありながら国を乗っ取ろうとして戦争を起こし、大勢の人間を虐殺した魔王」みたいな感じに
世界中に伝えられて歴史に名を残し、ずっと晒し首にされ続けていた。

最後はトーテンコフが「魔物を殺す唯一の方法は、他の魔物に食われること」って言って、
涙ながらに「もし、あなたがあの国を訪れることがあって、まだあのお方の首が晒されていたなら、
どうか貴方があのお方を食べてあげて下さい。そして、あのお方の記憶を受け継ぎ、
あのお方を魔王としてではなく、世界から差別を無くそうとした英雄として語り継いであげて下さい」って
ナイティンゲイルにお願いする。

何十年も経ってからトーテンコフがその国(すでに滅んでいる)の晃夜祭に訪れたら、
王子の首が晒されていた場所にナイティンゲイルの仮面の紋章が彫られていて、
それを見たトーテンコフが朝日を眺めながら涙を流して終わりっていう話。

 

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)
煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...