ホーム » 小説 » 小説/あ行 » 一年半待て(松本清張)

107 名前:本当にあった怖い名無し :2010/12/20(月) 14:58:58
小説を思い出した。
たぶん松本清張だったと思う。

ある女性が夫を殺した。
夫は無職で働く気もなく、毎日酒ばかり飲んでいた。
酔って暴れては妻に暴力をふるい、おまけに外に女を囲っていた。
事情を知った女性人権派の女弁護士が、妻の弁護を買って出た。
弁護士は世間に向けて全ての事情を暴露した。
妻がずっと夫に耐えてきたこと、殺すつもりはなく暴力をふるわれた末の正当防衛だったと主張した。
マスコミも積極的に利用し、女性はあっという間に悲劇のヒロインになった。
裁判の結果は3年半の執行猶予。
無罪を勝ち取れなかった弁護士は納得できなかったが、
女性は「罪を犯したのだから」と大人しく判決を受け入れた。


108 名前:本当にあった怖い名無し :2010/12/20(月) 15:00:31
数日後、弁護士の元に知らない青年がやってきた。
青年は女性の裁判について根掘り葉掘り聞いた後、自分の話をはじめた。
青年は山奥の炭鉱で働いていた。女性は仕事でそこに来ていた。
美人で聡明な女性に青年は一目惚れし、交際を申し込んだ。
女性は悩みに悩んだ末「3年半待って」と答えた。
青年はその答えを不思議に思ったが、愛する女性の頼みだからと受け入れた。

しばらくして女性は炭鉱から姿を消した。
次に姿を見たのは、事件を起こしたニュースの中でだった。
そして判決は3年半の執行猶予。
夫の酒癖も無職も浮気も、全てはさとい彼女が計画した末の出来事だった。
全てはうまくいった。一つだけ誤算があったとすれば、青年が去ってしまうことだろう。
青年は二度と女性に会うつもりはなかった。
それを執行猶予を勝ち取った弁護士に伝えたかった。
話すだけ話した後、青年は去っていった。後には呆然とした弁護士が残された。

 

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遠くからの声―松本清張短編全集〈08〉(光文社文庫)
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