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529 名前:「初体験」デーヴィッド・キュール :2011/01/12(水) 16:38:07
主人公・ロッド・テイラーはダサくてさえない中年の技術者。
休みの日は簡素な部屋で映画と読書。
親交がある人間と言えばいまだ子離れ出来ていない両親と幼少期遊び相手になってくれた優しい叔父だけ。
職場の友達は3人いるが、揃ってロッドとは正反対のハンサムなリア充。
3人のもて自慢を毎日聞かされ、内心不満でいっぱいだった。
この世界のIDカードには人の脳と連動したメモリー・チップが埋め込まれており、
生年月日や国籍などの個人情報から知能指数、果ては物心ついた後の記憶までチップに内蔵されていた。
とある企業からそのメモリー・チップを利用した性体験サービスが開発された。
メモリーの中に残っている記憶を元に、初体験の相手そっくりのロボットを派遣し、
「初めて」を再体験させてくれるサービスだ。
ロボットは相手と同じ姿をしているだけでなく、初体験の時の会話や心理状態、状況まで
そっくり再現してくれるという優れもので巷では大評判だった。

530 名前:「初体験」デーヴィッド・キュール :2011/01/12(水) 16:40:00
3人の仲間もそのサービスを利用し、一人は高校の憧れの先輩との
一人はプール掃除のバイト先で知り合った26歳の未亡人との
一人は同じ高校のアイドル的存在の同級生との
初体験をやり直させてもらい大満足していた。
実は皆初体験の時は不慣れで相手を満足させることが出来ず、苦い初体験となっていた。
しかし、20年の月日を超え、色事では百戦錬磨となっていた彼らは、アンドロイドとは言え
初体験の相手そのものの彼女たちを喜ばせることが出来、大喜びだった。
ロッドは羨ましかったがアンドロイドと性交することへの恐怖感で申し込みに二の足を踏んでいた。

531 名前:「初体験」デーヴィッド・キュール :2011/01/12(水) 16:42:41
実はロッドも初体験時に大失敗していたのだ。
高校時代、初めてできたガールフレンドと一緒に森へ行き、コトをいたそうとしたところ、
何者かの視線を感じ、萎えてしまったのだ。
結局、その何者かは森で暮らす鳥たちだったわけだが・・・・。

ロッドは39歳の誕生日を迎えるが、その年プレゼントをくれたのは両親と叔父の3人しかいなかった。
期待していたわけではないが、3人の仲間の誰からもバースデーカード一つ届かなかったことに少し寂しさを感じた。
ふと、背広のポケットをまさぐるとポケットから、ロッドのIDカードと3人が書いたメッセージカードが出てきた。
何と、3人は誕生日のサプライズとして「初体験再現サービス」をロッドにプレゼントしていたのだ。
メモリー・チップはロッドが外出中に机の中から3人のうちの誰かが持ち出し、サービス会社に提出したらしい。
ロッドはうれしさと戸惑いと興奮で打ち震えた。
今度こそ彼女とイタせる!


532 名前:「初体験」デーヴィッド・キュール :2011/01/12(水) 16:46:42
その時、チャイムが鳴った。
彼女だ!ロッドは大喜びで玄関を開けた。
しかし立っていたのはロッドの叔父だった。
35年前の姿で・・・。
「やぁ、ロッド」叔父の姿をしたアンドロイドはにやりと笑った。
ロッドは声にならない悲鳴をあげたが、逃げ場所はどこにもなかった。
TV画面には「あの時」と同じくヒッチコックの「鳥」が映っていた。

 

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