ホーム » 小説 » 小説/な行 » 忍者帷子万助(山田風太郎)

108 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/24(火) 08:28:00.26
山田風太郎の忍者もの短編より

A藩にはいつの頃からか娘と弟子を連れてやってきて住み着き、
お城の御用学者になったB老人がいた。
一見単なる変り者の爺さんなのだが実は幕府の隠密で弟子Cの
身体中の水分を絞り出して小型のミイラになる能力を利用しA藩の内情を探っていた。
ある程度A藩の秘密を探り終えたので頃合いを見て江戸に戻り、
長年一緒にいるうちに恋仲になった娘とCを結婚させてやろうと思っているB。

そんな中突然娘とともに城に呼び出される。
そこにはB親子以外にもここ一年以内に藩にやってきた父と娘が呼ばれていた。
A藩の殿様は難病にかかり先が長くない。しかしまだ後継ぎがいないので
呼び出された娘らを側室にあげてほしいとのこと。
A藩は隠密が潜り込んでいる事には気付いていたものの、それが誰なのか掴めていなかった。
そのため上記の作戦に出た。

娘を側室とすれば事実上の人質でもあるし、子を設ければより寝返れなくなるだろうと。
好むと好まざるに関わらずBを除く全員が了承させられてしまう。
Bは幕府への忠誠心もさることながらどうしても娘はCにやりたかったので
その場しのぎに「実は娘は弟子ともうやってて妊娠している」と嘘をつく。
するとA藩側に「ならそれが嘘でない証拠に娘が出産するまで預からせてもらう、
もし嘘だった時には娘の命はない」と娘は捕われてしまう。


109 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/24(火) 08:29:02.53
どうにか娘を助けだしたいBとCだが厳重な警備に近づくことすらできない。
時間だけがすぎてゆき、そろそろ生まれなければならない月になった時
ついにCがある手段を思いつく。
Bは城に「今日娘が出産するから」と現れる。
A藩側は明らかに嘘と分かりつつどうでるのか見物とばかりに娘を軟禁している部屋に招く。
そしてその隙にBは小型ミイラ化したCを娘の子宮に突っ込み
殿や家臣が集う前で全裸にさせ腹が確かに膨れ上がっている証拠を見せ
無事釈放させたのだった。

三人はA藩を去り、あとは江戸へ戻って祝言をあげるだけのはずがなぜかCの表情は暗く
急に二人に別れを告げる。
「自分は(娘)様から生まれ、二人は親子になった。親子で結婚はできない」
愕然とする親子を振り返りもせずに立ち去るC。
せっかく命懸けで愛する女を救い出しながら倫理感か生理的にか
娘がダメになってしまったのが切ない。


110 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/24(火) 09:25:43.83
>>108
おお、なんともやるせないな
とんでもな話だが読んでみたくなったよ
紹介ありがとう

 

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